コロナの感染拡大が止まらない。陽性者数が前月比200%超という日が続いている。8月5日には、東京都が発表した新規陽性者数は5000人を超えた。その中で20代が1600人超、30代が1100人超で、合わせて半数近くを占めている。
新型コロナワクチンを接種したくても予約ができないという側面もあるとはいえ、20~30代の中でワクチン接種に消極的な人が少なくない現状もあるようだ。それは一体なぜなのか。35歳の歌人・鈴掛真さんが同世代の話なども聞き、「ワクチンを打ちたくない」一面を紹介する。なお、医療の専門知識については「こびナビ」の木下喬弘医師にご協力をいただき、監修をお願いしている。
ワクチン禁止令を出す企業まで登場!?
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が、全国の自治体で着々と進められています。
僕はちょうど1回目の接種を済ませたところで、8月半ばに2回目の接種を受けることも確定しています。
しかし、ワクチンに対して不信感を募らせている人も少なくありません。
根拠のない陰謀論やデマが横行し、ワクチンを保管している冷蔵庫や冷凍庫の「#プラグを抜こう」という呼びかけがSNSで拡散される事態にまで発展。
さらに、大手住宅メーカーの社長がワクチン接種に反対しており、予防接種を受けた従業員にペナルティを課しているという衝撃の報道までありました。
僕は現在35歳で、同年代の周囲はワクチン接種を既に受けたか、あるいは受ける予定の人が大半ですが、先日、ワクチン反対派の知人と直接話す機会がありました。
反対派の人たちは、どんな考えで「ワクチンを打たない」と決めているのか、その理由を探ってみました。
ワクチン反対派に理由を訊いてみた
それは、僕が1回目のワクチン接種を受ける直前のある日、知人と雑談していたときのこと。
ワクチン接種は高齢者から若年層へと段階的に進められている中、僕は30代としては比較的早めに接種を受けられることになったのですが、30代で同世代の知人A氏がこんなことを言ったのです。
「え、ワクチン打つの?(笑)
俺の家にも区から接種の案内来たけど、受ける気ないから開封もしてない!」
……何がおかしいんだろう、という疑問や、どんな内容でも自治体からのお知らせは開封した方がいいんじゃない?という心配は置いておいて、どうして接種を受ける気がないのか、僕はA氏にわけを訊いてみました。
「へぇ……なんで打たないの?」
「インフルエンザの予防接種もしたことないけど、今までインフルエンザにかかったことないから!
予防接種した人に限ってインフルエンザにかかってる人とか毎年見てると、普段やらないことはやるべきじゃないって思う!」
……正直、反論したい気持ちは山ほどありました。でも、話がこじれるとややこしいので、
「あ、そうなんだ……僕はもし感染して重症化になったりしたくないから受けに行ってくるよ!」と、その場はそれとなくやり過ごしました。
確かに、感染症に対するワクチンの効果は完全なものではありません。若年層を中心に見受けられる副反応による体調不良も話題になっています。
そのため、ワクチンの接種は強要されるものではなく、あくまで個人の判断に委ねられるものである、というのが僕の個人的な見解です。
とはいえ、ワクチン接種を受けようとする人を面と向かって揶揄するようなA氏の態度には、正直なところ良い気分はしませんでした。
また、別の20代の知人B氏は、SNSで以下のように投稿していました。
“そもそも若年層は新型コロナで重症化する確率が低いのに、高確率で体調不良になるワクチンを仕事休んでまで打ちたくない!”
なるほど……彼らは彼らなりの信念を持って接種に反対している。しかし、その信念には、新型コロナウイルスやワクチンに対する誤解が根付いていることは否めませんでした。
ワクチンを打つか打たないか、それは新型コロナウイルスやワクチンに対して正しい知識を得た上で決断してほしいと、僕は願ってやみません。
ここからは、そもそも「ワクチンとは何か」から改めて理解を深めていこうと思います。