2022.11.08
「ガリガリ君のCM」を見て感じた、世界的には「異常」な日本人の「当たり前」
インフレ率「最下位」の国で世界的にインフレが生じ、日本でも物価高が家計を直撃している現在。しかしマクロな視点で見てみると、1995年ごろから日本では「賃金も物価もほぼ横ばい」であり、現状からは考えられない「慢性デフレ」状態だ。
その理由を説明するカギは、値上げを忌避する日本人の行動パターンにある。【前編】『世界中がインフレでも、日本だけ「ずっと慢性デフレ」という残念な現実』に引き続き、新刊『世界インフレの謎』から抜粋して紹介しよう。
その理由を説明するカギは、値上げを忌避する日本人の行動パターンにある。【前編】『世界中がインフレでも、日本だけ「ずっと慢性デフレ」という残念な現実』に引き続き、新刊『世界インフレの謎』から抜粋して紹介しよう。
「値上げ嫌い」と「価格据え置き慣行」
拙著『物価とは何か』の中で私は、日本の消費者に「値上げ嫌い」というレッテルを貼りました。それは文字どおりの好き嫌いという意味ではなく、【前編】『世界中がインフレでも、日本だけ「ずっと慢性デフレ」という残念な現実』で述べたように、値上げを見ると他店に逃げるという行動のことを指しています。
米欧の消費者とて値上げが好きということは決してなく、嫌いであることに違いはないでしょう。しかし他店に逃げることはせず、値段が高いその店で我慢して買うという行動をとります。それが日本の消費者との大きな違いです。
日本の消費者が値上げ嫌いなのは、もともとそういう国民性だからというわけではありません。インフレ予想が低いからなのです。では、なぜ日本人のインフレ予想が低いのかと言えば、それは長期にわたってゼロ近辺のインフレを経験してきたからです。