「若者に風呂なし物件が人気」は本当か?
最近「若者に風呂なし物件が人気」といった趣旨の報道が物議を醸しました。
ほぼ同時期に複数のメディアが似たような記事を発信したことが直接のきっかけですが、若者の貧困問題が根っこにあるにもかかわらず、それを考慮しないで1つの文化、ファッションのように片付けていることに対する非難や疑問の声が、それこそ若者を中心に湧き起こりました。昨年末に海外メディアが、日本で「三畳一間」の狭小物件のニーズが高まっていると指摘したことなどもこれに影響しているようです。
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筆者はアメリカ発のミニマリズムが日本において生存主義(サバイバリズム)の色彩を強めていることについて、これまでさまざまな媒体で語ったり、書いたりしてきました。モノを極限まで減らすことや、住空間をコンパクトにするミニマリズム、シンプルライフの流行が、先行きが不透明で転落のリスクに脅かされた過酷な時代状況と無縁ではないことが浮かび上がってきたからです。
「風呂なし物件」や狭小物件が一部の若者たちから歓迎されているという情報は、例えそれがデータとして正しいものであったとしても、「そもそも経済的な問題が背後にあるのではないか」といった憶測が多くの人々から寄せられたことから分かるように、選択肢が限られた中での前向きな適応に過ぎない可能性を見過ごしかねません。この視点を欠いていたことがニュースサイトのコメント欄やSNSでの猛批判を招いたのです。