いま空港でトラブル続出…日本人の若者の7割がじつは知らない?「パスポートの落とし穴」
空港で告げられた思いもよらない言葉
今年の夏、知人の20代のAさんは、彼氏と二人でバリ島に行く計画を立てた。彼氏がエアチケットとホテルをネットで予約し、その間、二人で服を買いに行ったり、ガイドブックで遊びの計画を立てたりして、旅行のテンションを少しずつ上げて行った。
そして出発当日、スーツケースを抱えて、張り切って二人で羽田空港に向かった。
空港でポケットWi-Fiを借り、ネックピローを首に巻き付け、いざ出発と、航空会社のカウンターへ。スーツケースに荷物を詰め込み過ぎたAさんは、「この重さで大丈夫かしら」と心配していたところ、スタッフから思いもよらない言葉を投げかけられた。
「あなたは、この飛行機には乗れません」
「は?」
言っている意味が分からない。スタッフはAさんの目を見て、ゆっくりと丁寧な口調で話し始めた。
「あなたのパスポートは残存有効期間が6カ月未満です。だからこの飛行機には乗れません」
Aさんのパスポートの「有効期間満了日」は12月。「まだ5カ月あるから大丈夫」と思っていたが、航空会社のスタッフ曰く、バリ島があるインドネシアは、パスポートの「残存有効期間」が6カ月以上なければ入国できない決まりになっているとのことだった。
想定外の展開に、なんとかならないかとスタッフに訴えた。しかし、「これは国の定めたルールなので」と取り合ってもらえず。結局、二人は飛行機に乗れず、羽田空港で追い返されることになった。
当日キャンセルのため、二人分のエアチケットとホテルの料金60万円は返金されず。Aさんはショックのあまり空港で大泣き、旅行の予約をした彼氏も責任を感じて、激しく落ち込んだ。あまりの可哀そうな姿に、空港にいた外国人が二人を慰めにくるほどだったという。
「パスポートに有効期間があるのは知っていたし、旅行当日も『パスポートを忘れてはいけない』という認識は持っていました。でも、『残存有効期間』というのがパスポートに存在していて、その期間が『6カ月以上必要だ』ということは、今回、初めて知りました。
自分にそういう知識がなかったことがいけなかったですし、すべての予約を彼氏に任せて、自分自身の確認を怠ってしまったこともいけなかったと反省しています」
このようなことが起きても、Aさんと彼氏は、大人の対応をしたという。
「旅行の予算を少しでもレジャーに回そうと思って、航空会社は外資系のLCCを選んだんです。格安のエアチケットを自ら選んだわけですから、そのあたりは自己責任だと思っています。航空会社を責める気にはなれませんでした」
しおらしい言葉に、話を聞いているこちらの胸が痛くなった。