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2024.10.10

総事業費62億円の静岡市「歴史博物館」の大失敗…「どうする家康」効果むなしく目標を大きく下回る来場者

「どうする家康」効果もむなしく

静岡市は10月2日、総事業費62億円をかけた「歴史博物館」の2023年度の有料入館者は8万人余にとどまったことを明らかにした。

本来は、入場者数を年50万人と見込んで、歴史博物館を観光誘客の中核施設とする計画だったが、大失敗の結果となった。

目標の6分の1以下という惨憺たる入場者となった大きな理由は、目玉展示となるのが久能山東照宮所蔵の歯朶具足(国の重要文化財)レプリカなどというお粗末な代物しか用意できなかったことである。

静岡市の歴史博物館は2022年7月にプレオープンして、翌年1月から始まるNHK大河ドラマ「どうする家康」の放映が決まっていた。

レプリカが目玉で入場者が入らない静岡市歴史博物館(筆者撮影)
 

絶好の機会ととらえ、駿府(現・静岡市)と関係の深い徳川家康の企画を全面に打ち出せば、入場者数は大きく伸びると期待した。

大河ドラマ「どうする家康」人気にあやかって、家康が埋葬された静岡市根古屋の久能山東照宮は、過去最高となる約60万人もの参拝客が訪れた。

一方、鳴り物入りで新設された歴史博物館は約8万3千人とあまりにも対照的な結果となってしまった。

リニア中央新幹線の南アルプストンネル計画に、さまざまな言い掛かりをつけた川勝平太・前知事は歴史博物館の計画でも「いったん棚上げすべき」と厳しい意見を何度も繰り返し、2度も意見書を静岡市に送った。

「本物の鎧は東照宮にあるのに、歴史博物館にどういうソフトを持ち込むのかが問われる」などとレプリカ展示に問題があることも指摘していた。

歴史博物館建設地のすぐ近くでは、家康の最後の居城だった駿府城跡の天守台発掘が行われた。

その結果、駿府城天守台は約68m×約61mで、約45m×約41mの江戸城天守台をしのぐ、「日本一の天守台」であることがわかっている。

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