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「ゲーム」と「SF」が、これからの社会を考えるうえで「重要な意味」をもつ理由

アニメやゲーム、映画の中だけの出来事だった「仮想現実」や「仮想空間」。

それらを「現実」のものにする革命的技術・メタバースの名が広まって早数年、VRやスマートグラス、Apple Vision Proが登場し、その存在はより身近なものになりつつあります。

しかし、そもそも私たちはなぜメタバースに、仮想空間という「もう一つの現実」に行ってみたいと思うのでしょうか。

そこには人間の根源的な、ある「欲望」があるのではないかと、哲学者の戸谷洋志さんは分析します。

戸谷さんの新著『メタバースの哲学』から、私たちの未来を変えるかもしれないメタバースの「正体」に迫るヒントをご紹介します(『メタバースの哲学』の一部を抜粋・再編集しておとどけします)。

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【前の記事】「20世紀最大の女性思想家が語った「地球疎外」という考え方…それがいま「大きな意味をもつ」理由」より続きます。

メタバースとは何であるのか

なぜ私たちはメタバースを求めるのか。それを明らかにすることが、本書のテーマだ。しかし、そうした議論を展開していくためには、その出発点として、メタバースの概念そのものを厳密に定義することが必要である。それが本章の課題である。

最初に断っておかなければならないが、メタバースに関する統一的な定義はない。また、少なくともメタバースは、完全な形態としてはまだこの世界に存在していない。したがって、現実に存在する何らかの事物を根拠にして、実証的にメタバースを説明することはできない。

Photo by gettyimages

そのため本章では、メタバースに対する端的な定義を述べることは諦め、この概念が生まれてきた歴史、現在において存在するいくつかのプラットフォーム、メタバースの理想像、またそれを支える技術としてのVRについて多角的に検討することで、メタバースとは何であるかを立体的に浮かび上がらせていきたい。

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