「Z世代」とは何か。
この世代はどんな社会を経験しているのか、どんな特徴があるのか。そもそも特徴をひとくくりに語っていいものなのか……。
こうした問いと格闘した『世界と私のA to Z』。
著者であるZ世代当事者の竹田ダニエル氏と、経済思想史を専門とする東京大学准教授の斎藤幸平氏が、Z世代について語った。
12月13日に本書の文庫版が刊行されることを記念し、『群像』2023年1月号掲載の対談記事を特別公開する。
シリコンバレーから見える景色
斎藤 『世界と私のA to Z』を大変面白く読みました。ただ手に取られた方は最初、著者はどういう方なんだろうと疑問に感じると思うんです。今日も写真はNGですが、25歳というのは本当か、普段はどういう活動をしているのか、もしかしたら著名なおっさんの裏アカなんじゃないのかとか(笑)。
竹田 アメリカ在住の25歳ではなく、日本に住んでいるおじさんなんじゃないの? とはよく言われます(笑)。顔を出していないのは、自分の発言を先入観なく受け取ってほしいからだけれども、はっきりした言葉で強い意思を伝えているからか、おじさん説が根強いみたいです。
自分は生まれも育ちもアメリカですが、長期休みは日本の塾に通ったり、大学は日本とアメリカで半々で、人生のちょうど半分くらいを日本とアメリカで分けて生活してきました。そして今はアメリカで理系研究職に就いています。
斎藤 理系研究職!? 今回上梓された『世界と私のA to Z』とは全く関連性がないように思えますが、文章を書くことになったのはどういった経緯があったのでしょうか。