「検索」業界のガリバー米グーグルが、サービスごとに収集してきた個人情報を統合活用し始めた問題で、その開始直前の先月29日、総務省と経済産業省が「注意」あるいは「警告」(イエローカード)に相当する異例の「グーグル株式会社に対する通知」を出して監視に乗り出す構えをみせたことに、「よくやった」と「足りない」の両論が湧き出している。
またしても、新聞やテレビは、両省が通知を出したことを欧州委員会に追随した程度に矮小化して報じているが、これは、それほど単純な話ではない。
肯定論は、対米摩擦を嫌う官邸と外務省、執行能力の乏しさから責任を放棄している消費者庁と公正取引委員会など、政府全体に蔓延する「事なかれ」ムードに加えて、法的な制約がある中で、「積極果敢に、貴重な1歩を踏み出した」というものだ。
一方、EU(欧州連合)の「個人データ保護指令」(法律に相当)違反の疑いを理由に統合延期を求めた欧州委員会や、規制強化のための新法作りに入ったとされる韓国に比べて、両省の対応は「生温い」「弱腰だ」との批判も多く、かなりの説得力がある。
そこで、グーグルの実態はどのようなもので、なぜ、賛否が渦巻くのか。今後を見据えて、この分野で日本人の個人情報はどうすれば守られるのか。今週は、これらの問題を、緊急で検証してみることにした。
丸裸にされるプライバシー
まず、別表をみていただきたい。

ひと言に「個人情報」と言っても、あなたのどんな情報がグーグルによって収集されているのか、その実感が湧かない人は多いだろう。
しかし、この表を見れば、あなたのプライバシーがいかに丸裸にされているかを痛感するはずだ。