―第1部― インテリジェンスレポート
■分析メモ No.36 「外務省幹部の異動と北方領土交渉の展望」
■分析メモ No.37 「スノーデン事件」
―第2部― 読書ノート
■読書ノート No.44 『本は10冊同時に読め!』
■読書ノート No.45 『スパイのためのハンドブック』
■読書ノート No.46 『統合の終焉 EUの実像と論理』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤さんの今後の予定(8月中旬まで)
現代ビジネスからのお知らせ
深読みジャパン
邦丸: 今日はこのニュースです。
伊藤: 「スポーツ報知」芸能面。「AKB48 3年連続でオリコン上半期1、2位を独占」。
AKB48が金字塔を打ちたてました。オリコン2013上半期ランキングが昨日発表され、AKB48がシングルランキングで3年連続して上半期1位、2位を独占しました。オリコンが発表した上半期ランキングでは、『さよならクロール』が期間内に192万6000枚を売り上げて首位、2位に112万7000枚で『So long!』が入りました。3年連続の首位は、1968年にランキングの発表が開始されて以来、史上初。また、3年連続で2作がミリオン入りするという、こちらも史上初の快挙を達成しました。
邦丸: えー、われらが佐藤 優さんが報知新聞、あるいは雑誌『WiLL』などで、このAKB48を熱く語っておられる。
佐藤: そんなに熱く語ってないですよー。
邦丸: へへへへ。
佐藤: ただ、おもしろいんですよ。だって、一極に全部が集中しちゃうっていうんで、政治も文学の世界もAKBも一緒なんですね。小説だったら、村上春樹のものだけが断トツで、その次はほとんどいない。政治だと、自民党が非常に強くなって一極的な感じになってくる。
これね、ここ十数年で新自由主義的な競争が本当に定着しつつあるかなと思うんですね。要するに、ワーッと競争させて、1位が賞を総獲りしちゃう。これがいちばんわかりやすく表れているのが、AKBだなと思っているんですよ。だから関心を持っているんです。
(略)
佐藤: AKBに誰が入っているかということについても、ほとんど知らないおじさんたちっていうのが圧倒的多数だけど、逆に、知っているとなると、全員の名前を知っている。
邦丸: はいはい。
佐藤: こういう感じになる。あるいは、のめり込んでCDを100枚ぐらい買う人が結構いますよね。
邦丸: います、います。
佐藤: こういうように極端ですよね。AKBは国民的アイドルじゃないですよ。美空ひばりとか、山口百恵とか、松任谷由実とは違うんですよ。
邦丸: ふむふむ。
佐藤: ここのところにおもしろさがあると思うんですね。以前だったら、ミリオンセラーなら誰もが歌詞を知っていましたよ。
伊藤: そう。今は歌えないですものね、AKBの歌。
佐藤: 確かに聴いたことはあるけどって、そういう感じですよね。そこがおもしろいと思うんですよ。
邦丸: AKB48を宗教論としてとらえると、これまたおもしろい。
佐藤: これ、本当に宗教なんですよ。要するに、カトリック教会でもプロテスタント教会でも、キリスト教の中ではそれぞれの教会は対抗しているじゃないですか。私なんかプロテスタントでしょ。だから、「ローマ教皇が新しい人になってよかったですね」と言われても、「それが何なの?」。プロテスタントからすると、ぜんぜん関係ないんですよ。中ではいろいろ張り合っている。ところが、キリスト教の外との関係においては、キリスト教として団結する。そういうものとすごく似ているんですね。
AKBでも大島優子さんを好きな人と指原莉乃さんを好きな人は、お互いにアンチだったりして仲が悪い。ところが、AKBを守るということになると、カチッと一緒に守る。これ、何の構造に似ているかというと、ひと昔前の“会社”。
邦丸: 会社?
佐藤: そう。会社の中ではいろんな競争がある。いろんな悪口も言い合うけれど、外から文化放送の悪口を言われると、みんな「なんだ?」と。「うちはそんな悪い会社じゃないぞ」となる。こういう感じと似ていると思うんですね。
ところが最近、会社の中でいろいろバラバラになってきちゃっているから、あまり帰属意識が強くなくなっている。それから、同じ会社に一生勤めるという感じでもなくなっている。でも、あの「会社」みたいな感じって日本人は好きなんですよね。それがAKBに向かわせる。僕はそんなふうに見ているんですよ。