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イソップ童話に「北風と太陽」という話がある。
いまさら解説もいらないと思うが、北風と太陽が旅人に上着を脱がせるのを競った。北風は旅人が懸命に抵抗したので、上着を脱がせるのに失敗したが、太陽には暑くてすぐ脱いだという話だ。
東京五輪の誘致に成功したニュースを聞いて、この童話を思い出した。
どういうことかと言えば、日本経済の改革をどうやったら実現できるか、という話である。それから、いま焦点になっている消費税引き上げにも少し絡んでいる。
私はかねて環太平洋連携協定(TPP)が日本の改革を促すテコになる、と主張してきた。TPPに参加するかどうかは、日本自身の選択であるが、同時に外圧でもある。なにも外国と交渉しなくても、日本が自分自身で貿易の門戸を一段と開いていくことができれば、それに越したことはない。
外圧を大義名分に国内の改革を進める
だが、国内のさまざまな事情によって、それが難しければ「外国にも譲歩を求めるのだから、日本も外国の要求を一部認めて、譲歩するのはやむを得ない」という論法で国内を説得する。
そういう意味で、外国との交渉を大義名分に、国内の改革を進める。つまり外圧を利用するのだ。
この話は4月26日付コラムをはじめ、2年前からあちこちで何度も書いてきたから、詳しく繰り返さないが、外圧は日本にとって安楽な話ではない。
だから、北風と考えてもいい。農業にしろ医療にしろ現状維持を望む勢力がいて、それを改めようとすれば、関係業界にとっては生身を切り刻むような話になる。
では、東京五輪はどうか。こちらは太陽なのではないか。