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2014.04.08

体を使うか、頭を使うか---迫りくる「空前の人手不足」にあなたはどう対応しますか?

藤野 英人 プロフィール

学歴や資格に頼っていてはうまくいかない!

海外の事例を見ても、大量に移民を受け入れると、後々大きな社会問題を引き起こす可能性があります。特に「現在の」日本にはとても偏狭な人たちが多いので、近い将来に大きな衝突が起きるのは避けがたいものと思われます。

それは在日韓国人や在日中国人、もしくは日系ブラジル人に対する感情や対応をみればわかります。何年も日本に住んでいて日本語をしゃべり日本に溶け込んで暮らしている人たちとさえ付き合うのが苦手な人たちが、肌の色も文化も風習も違う人たちがさらにたくさん入ってくることに耐えられるでしょうか?

本来、移民の問題は大いに議論しなければいけないのですが、私たちは議論が得意ではなく、臭いものにはすぐに蓋をしてしまいます。また政治家の立場で考えてみたとしても、この問題に正面から取り組んでみてもあまり得票に結びつくとは思えません。しかし、一方で人手が足りないと難しい分野は確実に増えています。

おそらく正面で議論されないままに、規制緩和、法律の解釈の緩和、制度の運用による弾力化などで、なし崩し的に移民は増えていくものと思われます。これから増える大量の老人の面倒を誰が見るのか、という問題にもつながります。要は国民的合意もなされないまま、覚悟もないまま、しかし現実的な必要性から大量の移民が入ってくるのです。

それはきっとさまざまな軋轢を生むし、いろいろな問題も起こると思いますが、決して悪いことばかりではないように思います。多様な数多くの価値観の対立を経て、日本は真に成熟した国になることでしょう。ただし、それはずっとずっと先の話ですが。2100年ぐらいまでには東京もロンドンやニューヨークのような多国籍都市になっていることでしょう。

なんにせよ、上の図のAの領域にいる人たちは短期的には収入の改善が見込めるでしょう。最近はやりの「マイルドヤンキー」の人たちの一部は潤う可能性があります。

ものすごく頭を使える人たちにはさらによい社会になります。Cの人たちですね。必要なのは偏差値が高いとか学歴が高いというのとは違う意味での頭の良さです。社会の変化に柔軟に対応して、電子商取引やスマホ化をうまくビジネスに組み立てながら、ビジネスをクリエイトできるごく一握りの人たちです。

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頭を使う人は稼げるという話を聞いて、じゃあ資格を取りに行こうと考えるのはこの層の人ではありません。だいたい弁護士や公認会計士になっても稼げるかどうかはわからないのですから。

顧客は誰なのか、顧客に対してどのようなサービスを展開するのか、競合とはまったく違う方法で顧客に満足してもらにはどうするべきか、ということを突き詰めて考えることこそが肝心なのであって、学歴や資格にだけ頼っていてもあまりうまくいかない社会になるでしょう。といより、もうすでにそのような社会になっています。

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