人気になったマンガにも…
裏を返せば、これまで「特別扱い」を受けてきた結婚という関係のあり方に疑問を抱かせるほどに、阿佐ヶ谷姉妹の楽しげな様子は素敵であるということかもしれません。
ところで今年は、阿佐ヶ谷姉妹のドラマ以外にも、同性どうしの豊かな関係を描いた作品が注目を集めました。ゆざきさかおみによるマンガ『作りたい女と食べたい女』(通称『つくたべ』)です。同作は『このマンガがすごい!2022』オンナ編で2位に入っています。
『つくたべ』は、同じマンション(の別の部屋)に住む独身の女性二人の物語です。
料理好きで本当は思い切りたくさんの料理を作りたいけれど、一人暮らしゆえのそれが叶わずストレスを抱えている野本さんが、ある日、それまで面識のなかった春日さんが大量のフライドチキンを買い込んで帰宅したのを見かけ、思い切って、「あの、夕食はお済みでしょうか」と声をかけます。それ以降、野本さんが食事を作り、春日さんが食べるという不思議な関係が始まる…というのが大まかなあらすじです。
この二人の関係も、これまであまり描かれることがなかった独特の手触りをもつものですが、お互いに配慮し合い、ケアし合う様子は、じつに楽しげで、豊かなものに見えます。
(ちなみに、野本さんは、会社の同僚男性から弁当を持ってきていることを褒められ、「いいお母さんになるなって…」などと言われた際には、食事を作ることが「男性のため」という文脈に回収されてしまうことに不快感をにじませます)