あのユニクロが今秋冬の主力商品を値上げする。フリースジャケットやウルトラライトダウンなど軒並み1000円も値上げするという。
アパレルのプライスリーダーたるユニクロが値上げに踏み切れば、コスト高騰に窮していたアパレル業界は『待ってました』と一斉に値上げに走るのは火を見るよりも明らかだが、消費者はどう反応するだろうか。
アパレル流通に詳しい流通ストラテジストの小島健輔氏は「古着購入がメジャー化する」と読み解く――。
何もかも「値上がり」へ! もう無い袖は振れない…
アパレルだけでなく食品や燃料、公共料金など何もかもが軒並み高騰する中、黒田日銀総裁が言うように『仕方ないよね』と消費者が受け入れるはずもない。
無い袖は振れないからだ。
厚生労働省の毎月勤労統計によると、21年の実質賃金指数は100.6とコロナ前19年の101.2を下回った。特にパートタイム労働者の労働時間回復が遅れており、所定内労働時間で4%、所定外労働時間では20.7%も下回った。
名目賃金は正社員で1.0%、パートタイム労働者で0.9%増加したが、物価の上昇に追い付かなかった。総務庁の家計調査でも21年の勤労者世帯実収入は名目0.7%減、実質0.4%減だったが、インフレに直面した22年の4月では名目は0.6%減でも実質は3.5%減と値上げに飲み込まれている。
22年に入ってはロシアのウクライナ侵攻や中国のゼロコロナ政策で物流が混乱し、あらゆる資源が高騰しているのに加え、内外金利差で円安が急進。資源や消費財の多くを輸入に頼る我が国は未曾有のインフレに直面しているが勤労者の所得は伸び悩み、実質所得はみるみる目減りしている。
無い袖は振れぬのが現実で、何もかもが値上げされる中、何かを我慢して購入を抑制するか、同品目のグレードを落とすしか方策がないのが実情だ。