日本機械学会は7月23日(月)、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的とした「機械遺産」に、「吉野山ロープウェイ」「卓上複写機リコピー101」「ウォシュレットG」など5件を認定したと発表しました。
▽ 機械遺産Mechanical Engineering Heritage
▽ 2012年度機械遺産パンフレット
2012年度機械遺産に認定されたのは、「ステンレス鋼製車両群(東急5200系と7000系)」「吉野山ロープウェイ」「池貝工場製第1号旋盤(現存最古の動力旋盤)」「卓上複写機リコピー101」「ウォシュレットG(温水洗浄便座)」の5件です。
ステンレス鋼製車両群に含まれるのは、日本で初めて外板にステンレス鋼を採用した東急5200系と、日本初のオールステンレス車両の東急7000系です。これらの車両は「軽量化と車体の無塗装化を可能とし、現在の通勤車両を中心として広く普及しているステンレス車両の原型となった重要な遺産」であることから機械遺産に認定されました。
吉野山ロープウェイは、国内現役最古のロープウェイです。日本機械学会によると、運行開始から80年以上経過した現在も使われている架線支持部材や支柱は、「当時のわが国の材料力学、金属材料技術の優秀さを示す証といえる」とのことです。
理研光学工業(現リコー)が1955年に発売した卓上複写機リコピー101は、日本初の露光・現像一体の卓上型ジアゾ湿式複写機です。同時期に開発されたジアゾ感光紙によって現像後の水洗いが不要になり、無水・無臭の露光・現像を可能にしました。この製品によって、事務文書や伝票の複写が机上で手軽にできるようになり、事務作業の合理化・機械化が進みました。
機械遺産は、日本機械学会の創立110周年記念事業の一環として2007年に設立されました。これまでにマツダの「10A型ロータリエンジン」や「東京帝国大学水力学及び水力機講義ノート」、としまえんの回転木馬「カルーセルエルドラド」などが選ばれており、認定数は2012年度で計55件になりました。