ちょっと前の話だけれど、夏休み、子どもを連れて中央アルプスの木曽駒ケ岳に出かけた。
木曽駒ケ岳は、高山植物咲く氷河地形のカールまでロープウェイで登ることのできる子連れでも登りやすい山。
麓に泊まれば日帰りも可能だけれど、山頂周辺には山小屋も多い。
そんな山小屋の1つ宝剣山荘に泊まった。
【データ】
<メンバー>中学2年生娘と小学2年生息子と自分
<日付>2024年8月中旬
<ルート・所要時間>
(1日目)
埼玉県の自宅(自動車)駒ヶ根・菅の台(バス)しらび平(ロープウェイ)千畳敷へ
千畳敷ロープウェイ駅(1時間5分)宝剣山荘
(2日目)
宝剣山荘(1時間)木曽駒ヶ岳頂上(40分)宝剣山荘(カール散策含め1時間30分)千畳敷ロープウェイ駅
<その他>
ロープウェイ駅から山頂まで4時間弱で往復できるけれど標高は2956m。雨具や防寒具など天気の急変への備えを忘れずに。小さい子連れの場合、いざと言う時はすぐロープウェイ駅に引き返すつもりで登りたい。
1.ロープウェイを下りるとそこはもう高山
麓から歩いて登ることもできるけれど、木曽駒ケ岳を登るのに手軽なのはロープウェイを使うことだ。
自宅のある埼玉から車に子ども2人を乗せ、駒ヶ根市の菅の台へ向かう。8月お盆の平日、高速道路は八王子ジャンクションで少し渋滞したほか思いのほかすいていた。菅の台でバスに乗り換え、細い山道をくねくねと、ロープウェイのしらび平駅へ行く。
駒ヶ岳ロープウェイは混んでいると2時間くらい待つこともあると、どこかで見た気がしたので時間に余裕を持っていたけれど、この日は1台目のロープウェイに難なく乗れた。
そして、ロープウェイはあっという間に標高2600mまで運んでくれる。
千畳敷のロープウェイ駅を下りると、目の前には氷河に削られたカールの地形が広がる。森林限界は超えていて、高山植物咲く緑の草原だ。
ただ、この日は曇り空。カールを囲む稜線の山並みは雲に覆われ見えない。
カールは氷河がスプーンで地面を深くえぐったような地形なので、底は平らで、周りは崖になっている。カールの一番奥からは急な崖を登る。
急な登りでも道は、手すり付きの階段を設置したり、岩を固定して道を広げたりと整備されていて、ほとんどの場所ですれ違い出来る広さがある。人気の山なだけはある。
小学生の足でも急な登りは30分ほどで登り切れる。
登り切ったところで雨が降り出したけれど、宿泊先の宝剣山荘はもう目と鼻の先。雨具を着ずに、足早に小屋へ入る。
2.宝剣山荘の朝日
山小屋に泊まるのは、山の夕日や星や朝日を眺めるため。そして子どもたちにそれを見せたい。
けれどもこの晩は結局ずっと雨だった。
子どもたちは小屋にあるマンガを読んでいて、家にいるのとあまり変わらない。
翌朝は晴れ間が覗いていた。
子どもたちに声をかけるが、ぐっすり眠っていて起きる様子がない。
起こしても起きなかったら僕だけ朝日を見に行くと、子どもたちには前の晩に伝えていたので、そうすることにする。前回、月山に行った時は小学2年生の下の子と僕の2人で登り、下の子は夜、小屋で1人で寝るのを怖がったけれど、今回は姉がいるので、安心しているようだ。僕だけ出かけてもいいかと聞くと、特に嫌がることもなかった。
朝日を見る場所を探して、小屋の裏に少し登る。
待っていると段々と東の空が赤く染まってくる。遠くには八ヶ岳や南アルプスの山並みが見える。
振り返ると近くの宝剣岳も赤く染まっている。
少し移動したりしながら朝焼けの写真を撮る。
太陽はあまりはっきり見えなかったけれど、雲の形や空の色が刻々と変わっていく。
山小屋の部屋に戻ると、子どもたちはぐっすりと眠っていて、僕が出かけたことに気づいていなかった。
3.雷鳥、駒草、山頂
朝食後、小屋を出発して木曽駒ケ岳の山頂を目指す。
段々と雲に覆われていく中、岩がちの道を行く。
中岳のピークを越えて鞍部に下りる途中、雷鳥に出会った。
検索してみると、中央アルプスの雷鳥は一時期絶滅していたのが、2018年頃から別の繁殖地から渡ってきて、復活してきたのだそう。そして近年は人の手で雷鳥を連れてきて繁殖させたりもしているのだそうだ。
子どもたちは初めて雷鳥を見たはずだけれど、さして感動はしていない様子だった。たしかに姿かたちだけ見ると地味かもしれない…。
さらに先へ進むと今度は道端にコマクサが咲いていた。
コマクサも検索してみると、中央アルプスでは絶滅していたのを昭和50年代に植えたりして復活させたのだそうだ。(ただし、前の晩、宝剣山荘にあった本をパラパラ見ていたところ、元々生えていなかった、という説もあるらしい。)
https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/gijyutu/pdf/s581_034.pdf
良くも悪くも、人の手の入った自然ではある。
木曽駒ケ岳山頂に着いた時も、残念ながら雲の中で展望はなかった。
山頂には木曽側の神社と伊那側の神社、2つ社が建っている。山脈の両側からの信仰を集めていたのだろう。そして山頂はなだらかで、社を2つ建てるのに十分な広さがある。
4.千畳敷カール
山頂からは登ってきた道を戻って下りる。
千畳敷カールに下りてからは、登りの時通らなかった剣ヶ池を回って帰った。
前日よりは少し天気が良く、カールの周りの岩山も時々見える。
千畳敷はこうした高山の景色を、長く歩くことなしに見ることのできるのが魅力だ。
ロープウェイで下山後、菅の台バスセンターの近くにある、こまくさの湯に入浴、昼食を食べてから帰宅した。
山の上は曇っていたけれど、麓は晴れ、山の上は涼しかったけれど、下界は暑かった。