NATROMさんによる、過剰診断と東電の責任、に関する主張について
NATROMさんが、福島県における甲状腺がん検診に伴うであろう過剰診断にまつわる事柄、についておこなっている主張は、割とシンプルです。つまり、次のようです。
- 福島県において、原発由来の放射線曝露 (被曝)による、平時より明らかな がん患者の増加(これを流行と表現する)が、起こっていようが起こっていまいが、大多数に検診をおこなうと、結果、過剰診断は発生するであろう。
- 過剰診断が起これば、検診をおこなうきっかけを作ってしまったのは東電なのだから、いずれにしても責任を負うべきであろう。
こうです。要するにNATROMさんは、過剰診断が起こるかどうか、および、東電が責任を負い賠償するかどうか(する/しない の二値)、に関して、原発由来の被曝による甲状腺がん流行という条件は関係しない、と主張なさっている訳です。
この、結構簡単な主張がなぜ理解されないのか、さっぱり解りません。詰まる所、がんが増えていようがいまいが東電は過剰診断の責任を負うべきである、と言っているだけなのですから。
過剰診断が発生するであろうという主張は、がんの流行が発生していないであろう、という主張と同じではありません。がんが流行し、かつ過剰診断も起こる、という現象はあり得ます。すなわち、両立し得るのです。過剰診断の可能性を認めたら自動的に流行の可能性が否定されるものでは無い、という事を、まず理解しておくべきでしょう。
がんの流行が起こっていた事が判明すれば、責任や賠償が上乗せされる、というのはあるのかも知れません。これは、法的なりの色々の観点から考慮される所かと思います。どちらにしろ、これは今の話とは、一応別の話です。