Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

榎木孝明

日本の俳優、画家 (1956-)

榎木 孝明(えのき たかあき、1956年昭和31年〉1月5日 - )は、日本俳優水彩画家鹿児島県伊佐郡菱刈町(現:伊佐市)出身。

えのき たかあき
榎木 孝明
生年月日 (1956-01-05) 1956年1月5日(68歳)
出生地 日本の旗 日本鹿児島県伊佐郡菱刈町(現:伊佐市
身長 180 cm
職業 俳優画家
活動期間 1978年 -
配偶者 鈴木てるえ
公式サイト オフィス・タカ
主な作品
映画
天と地と
天河伝説殺人事件
春の雪
テレビドラマ
ロマンス
真田太平記
浅見光彦シリーズ』〈フジテレビ版・初代〉
35歳の高校生
花咲舞が黙ってない』シリーズ
相棒』シリーズ
テンプレートを表示

来歴・人物

編集

幼少の頃は、独りで絵を描くのが好きな目立たない大人しい子どもだったという。しかし、そんな息子の軟弱さを許せない父親から厳しく鍛えられたという。その一環として薩摩藩を中心に伝わった古流剣術・示現流の指南を受け、腕を磨いた。流派の教えは芸能界に入ってからも生きており、「どんな仕事でも決して手抜きはしない。言い訳はしない。たとえ自分が悪くなくても全て自分が引き受けよう。たとえ損をしても後からくる得が大きい」という心構えで仕事に臨むという。

鹿児島県立大口高等学校を卒業後、絵が好きだったことから武蔵野美術大学に進学。在学中、アルバイトで芝居を経験し、没頭した。20歳の時に父が肺癌で急死。1978年劇団四季の研究生になり大学を3年次で中退[1]。四季の同期には声優速水奨がいた。1984年連続テレビ小説ロマンス』でテレビデビューを果たして以来、舞台やテレビ、映画、ラジオ等様々な分野で活躍している。

水彩画家としての一面もあり、北海道美瑛町大分県九重町鹿児島市アートギャラリーを設けている。特に風景画を得意としており画集を出版するほか、切手や絵葉書の図案に採用されたこともある。日本国内はもとより、インドネパール等の国を旅をして風景を描き止めている。描いた水彩画は2020年までに8000点近い[2]

特技は上述のとおり古武術。現場では共演者・スタッフを気功にて一瞬のうちにひっくり返してみせるというお茶目な一面もあり、絵画個展のファンクラブ会員限定の茶話会でも、実技を行ったことがある。テレビ番組で介護に古武術の体術を応用した「古武術介護」を実演したこともある(インターネットでも画像による解説[リンク切れ]がある)。

2019年の映画『みとりし』公開後、看取り士の資格を取得した[2]

料理と「不食」

編集

実家は米と野菜、茶、味噌をつくっており食に困ったことはなく、父親がお茶も自分で入れない人だったことを反面教師として料理は得意であった。上京後の浪人・在学中はアパートで学生仲間3-4人から食費を集めて料理を作っていた。出されたものは何でも残さず食べる信条で、ヒマラヤ行きでは現地住民と同じバター茶ヤギ乳を、中央アジア行では遠来の客へのもてなしとして出されたの頭部の丸煮きを食した[2]

後述するように、断食(不食)に挑戦したことがある。きっかけは映画『アダン』出演時、五十嵐匠監督より「こんな感じで」と、モデルとなった画家田中一村あばら骨や眼球が浮き出た写真を見せられたこと。固形物を2週間食べず15キログラム痩せたが、感覚は却って研ぎ澄まされる経験をした[2]

2015年6月18日、フジテレビの情報番組『とくダネ!』の中で、30日間の不食を公表した。体重を80キログラムから71キログラムに落とした様子を、自身のフェイスブックで「不食ノート」として公表した[3]。完全な不食でなく、医師に血液検査を受けながらや砂糖入りコーヒーを摂った。夜は記録カメラ付きの病院の一室で寝たものの、昼は普段通り仕事をした。体重は9キログラム減り、腰痛と膝痛は改善。集中力が増して目覚めがすっきりして、古武術の稽古では身体が軽くなったという。終えた後は妻がつくったけんちん汁を食した[2]

家族

編集

榎木本家は寛政の頃には大地主であり、小触(こぶれ:藩からの命令を村落に伝える役目)をしていた。しかし、孝明の祖父の代に山師からの金鉱山開発の儲け話に乗ってしまい、金を得る事が無いまま全財産を失い菱刈を出る。ちなみに、菱刈鉱山は祖父が掘った坑道の100m下にある。孝明の父、孝志は吉松に住んでいた兄を頼り、師範学校に通うも、榎木家の稼ぎ頭同腹の長男が結核で死亡した為、卒業を待たずに代用教員になる。更に徴兵されて台湾に渡るが、そこで結核に倒れ、回復するも兵器の修理要員となり前線に出ることなく第二次世界大戦終戦を迎えた。ちなみに、孝志が最初に配属された部隊はフィリピンで大勢の犠牲者を出しており、台湾に居る間に榎木家の男子は結核や戦場で孝志の父の前妻の次男を除いて死亡した。戦後は吉松で教員になり、赴任先の学校で台湾で自分を看病していて恋仲になった女性の姉と出会い、彼女の方から好意を寄せられ、彼女の血判付きの恋文を、居候先であった先述の腹違いの兄の嫁が宛て先を確認せずに封を切ってしまった上に、それを孝志本人の手に渡す前に親戚近所に触れ回った事もあって、孝志は彼女と結婚することになった、という。孝明が生まれた後に孝志は菱刈に土地を買い、そこに移住した[4]

出演

編集

浅見光彦

編集

1995年から、フジテレビ系ドラマ『浅見光彦シリーズ』に主役の浅見光彦役として出演する[5]。この浅見光彦役は周囲から当たり役であると評されたといい[5]、同シリーズの原作者である内田康夫も榎木を「新作を書くたび、榎木くんの顔が浮かんで邪魔をする」と高く評価した[5]。2002年に年齢を理由として榎木自ら浅見光彦役から退くことを表明した際(後任の浅見光彦役は中村俊介)、内田の希望により2003年からは光彦の兄で警察庁刑事局長である浅見陽一郎役として、引き続き同シリーズに出演した[5]。2022年から開始された岩田剛典主演のテレビ東京版『浅見光彦シリーズ』では「軽井沢のセンセ」こと原作者の内田康夫役で出演している。

榎木はシリーズ化4年前の1991年に映画『天河伝説殺人事件』で浅見役を演じたが、出演を機に小説を読み始めたところ、その性格があまりに自分とそっくりで、自分の事を書いているのではないかと驚いたとのこと。その後、神田明神で行われた映画のイベントで内田と初めて対面したが、初対面のはずなのに初めての感じがせず、ずっと以前から知っている人に逢えたという不思議な感覚に襲われたという。また、内田も榎木と対面した際「そこに浅見光彦がいる」と同様の感覚になったと語っている[6]

出演作リスト

編集

テレビドラマ

編集

映画

編集

配信ドラマ

編集

舞台

編集

ラジオ

編集

ゲーム

編集

ドキュメンタリー

編集

セル版

編集

著作

編集

書籍

編集
  • 鷹の道
  • チベットの碧
  • スールー漂海
  • 水と緑と光の大地
  • ヒマラヤ物語
  • 空の詩
  • 風の人
  • 風の瞳
  • 光と闇の交差点
  • 旅の面影
  • 心は風のままに(イラスト+エッセイ集)
  • 東京散歩
  • 東京賛歌
  • 風の旅、心の旅
  • 自分への旅
  • いい加減なスケッチのすすめ(水彩画集+教則本)
  • ギリシャの風に吹かれて(水彩画+写真集)
  • ロケ地の情景 日本の世界遺産
  • もっといい加減なスケッチの旅(水彩画集+教則本)※『いい加減なスケッチのすすめ』の続刊
  • 宇宙一切を救うアセンション・プロセス(エハン・デラヴィとの共著)
  • 30日間、食べることやめてみました(2015年10月14日マキノ出版[41]

CDアルバム

編集
  • 空飛ぶ鯨(朗読・歌つき)

はがき

編集

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 第4話は出演なし。

出典

編集
  1. ^ 講談社刊『MORE』No.107(1990年8月号)「インタビュー 榎木孝明」より
  2. ^ a b c d e 【食の履歴書】榎木孝明さん(俳優)「不食」明けのけんちん汁『日本経済新聞』朝刊2020年3月28日土曜朝刊別刷りNIKKEIプラス1(9面)
  3. ^ 「不食」榎木孝明、30日ぶり食べた!大満足の晩餐”. スポーツ報知. 報知新聞社 (2015年6月19日). 2015年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月18日閲覧。
  4. ^ ファミリーヒストリー』2015年2月20日放送分
  5. ^ a b c d 「私の職務経歴書 第16回 俳優 榎木孝明 の場合」[リンク切れ]宅ふぁいる便『私の職務経歴書』
  6. ^ 『黄金の石橋』文春文庫 p.320-321
  7. ^ 未来を見つめた幕末の英雄「横井小楠」 - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. 2024年10月14日閲覧。
  8. ^ 日本の食卓を変えた火の國の女「江上トミ」 - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. 2024年10月14日閲覧。
  9. ^ “内藤剛志主演「警視庁強行犯係 樋口顕」SPドラマ放送 ゲストに生駒里奈、武田航平ら”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2023年6月7日). https://natalie.mu/eiga/news/527573 2023年6月7日閲覧。 
  10. ^ 「警視庁強行犯係 樋口顕」SPドラマ放送、内藤剛志がSNSの炎上絡む事件を追う”. 映画ナタリー. ナターシャ (2024年3月4日). 2024年3月4日閲覧。
  11. ^ 「警視庁強行犯係 樋口顕」第15弾「遠火」、内藤剛志・佐野史郎・榎木孝明のコメント到着”. 映画ナタリー. ナターシャ (2024年11月18日). 2024年11月18日閲覧。
  12. ^ "未解決事件 File.09 松本清張と帝銀事件". NHK. 2022年12月29日. 2022年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月18日閲覧
  13. ^ BS時代劇 塚原卜伝(4)「一拍子の太刀」”. NHKクロニクル. NHK. 2024年8月25日閲覧。
  14. ^ BS時代劇 塚原卜伝(5)「最強の敵」”. NHKクロニクル. NHK. 2024年8月25日閲覧。
  15. ^ “榎木孝明、住友の初代総理事役に「現代人よりも腹が据わっている」”. SANSPO.COM (産経デジタル). (2015年11月10日). https://www.sanspo.com/article/20151110-5OYE5TW4HJMO3CWWM6RQYFBM4E/ 2015年11月10日閲覧。 
  16. ^ "16日 檀れい×国仲涼子2大女優の激突が圧巻!ドラマスペシャル「嫉妬」あらすじと予告動画". ナビコン・ニュース. 14 August 2020. 2020年8月15日閲覧
  17. ^ "中村梅雀、平岡祐太と年の差"機捜バディ"結成". ORICON NEWS. オリコン. 15 April 2020. 2020年4月25日閲覧
  18. ^ 中村梅雀&平岡祐太“機捜バディ”サスペンス!いよいよ今夜放送!/今野敏サスペンス 機捜235”. テレ東からのお知らせ (2020年4月24日). 2020年4月25日閲覧。
  19. ^ “岩田剛典が浅見光彦演じるドラマに伊藤淳史、榎木孝明、丘みつ子、高橋克典ら出演”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2022年2月20日). https://natalie.mu/eiga/news/466381 2022年2月20日閲覧。 
  20. ^ “岩田剛典主演『浅見光彦』シリーズ第2弾決定 舞台は鎌倉「重厚なサスペンスミステリーとなっています」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2022年11月21日). https://www.oricon.co.jp/news/2257628/full/ 2022年11月21日閲覧。 
  21. ^ キャスト”. 『金曜8時のドラマ 今野敏サスペンス 機捜235×強行犯係 樋口顕』公式サイト. テレビ東京. 2024年11月9日閲覧。
  22. ^ “榎木孝明、日曜劇場『Get Ready!』に出演 若かりし頃のエースの恩師役”. ORICON NEWS (oricon ME). (2023年2月25日). https://www.oricon.co.jp/news/2269225/full/ 2023年2月25日閲覧。 
  23. ^ “『赤い霊柩車』ついにファイナル 30周年のメモリアル作品で“明子”片平なぎさが挑むのは史上最悪の事件”. ORICON NEWS (oricon ME). (2023年2月21日). https://www.oricon.co.jp/news/2268610/full/ 2023年2月21日閲覧。 
  24. ^ “水谷豊×岸部一徳×檀れい、痛快エンタメ時代劇『無用庵隠居修行』第7弾 9・28放送決定”. ORICON NEWS (oricon ME). (2023年8月7日). https://www.oricon.co.jp/news/2289971/full/ 2023年8月7日閲覧。 
  25. ^ 特集ドラマ『大岡越前スペシャル~大波乱!宿命の白洲~』放送日&ゲスト出演者決定!”. NHK. NHK (2023年12月1日). 2023年12月30日閲覧。
  26. ^ ホーム > 作品情報 > 映画「スクール・オブ・ナーシング」”. 映画.com. 2016年3月11日閲覧。
  27. ^ “キャスト”. 映画「セーラー服と機関銃 -卒業-」公式サイト. http://sk-movie.jp/cast/ 2016年4月27日閲覧。 
  28. ^ 映画「みとりし 」公式”. twitter (2018年8月9日). 2018年8月20日閲覧。
  29. ^ “松本穂香の主演作「みをつくし料理帖」に永島敏行、榎木孝明、鹿賀丈史が出演”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2020年2月17日). https://natalie.mu/eiga/news/367469 2020年2月17日閲覧。 
  30. ^ “役所広司×小泉堯史で司馬遼太郎「峠」を初映像化、松たか子、田中泯ら出演”. 映画ナタリー. (2018年9月4日). https://natalie.mu/eiga/news/298122 2018年9月4日閲覧。 
  31. ^ “北乃きい×森崎ウィン×小泉孝太郎『おしょりん』予告編公開 吉田正尚からコメントも”. リアルサウンド映画部 (blueprint). (2023年5月31日). https://realsound.jp/movie/2023/05/post-1338761.html 2023年5月31日閲覧。 
  32. ^ 鈴木伸之主演「サラリーマン金太郎」に城田優、石田ニコル、影山優佳、浅野温子、榎木孝明ら”. 映画ナタリー. ナターシャ (2024年10月29日). 2024年10月29日閲覧。
  33. ^ 秋之桜子×寺十吾が届ける「桜文」乃木坂46の久保史緒里が“笑顔を見せない”花魁に”. ステージナタリー. ナターシャ (2022年6月22日). 2022年6月22日閲覧。
  34. ^ “舞台「ジャンヌ・ダルク」主演は初舞台の清原果耶、フランス王シャルル7世役に小関裕太”. ステージナタリー (ナターシャ). (2023年7月21日). https://natalie.mu/stage/news/533646 2023年7月21日閲覧。 
  35. ^ 舞台『ジャンヌ・ダルク』公式サイト Cast/staff”. 舞台『ジャンヌ・ダルク』公式サイト (2023年7月21日). 2023年7月21日閲覧。
  36. ^ “内田康夫原作の「浅見光彦シリーズ」第1作目『後鳥羽伝説殺人事件』を舞台化 西岡德馬、池上季実子、布川隼汰ら出演”. SPICE (イープラス). (2024年4月15日). https://spice.eplus.jp/articles/328019 2024年11月9日閲覧。 
  37. ^ 光る壁画”. 文化庁 脚本データベース. 日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム. 2015年11月3日閲覧。
  38. ^ 榎木孝明(Facebook) 2019年9月8日。 2024年11月11日閲覧。
  39. ^ 榎木孝明(Facebook) 2019年09月16日。 2024年11月11日閲覧。
  40. ^ ミステリーアドベンチャー『春ゆきてレトロチカ』Switchダウンロード版が予約開始。登場人物をドラマティックな楽曲にのせて紹介する最新映像が公開”. ファミ通.com. KADOKAWA (2022年4月15日). 2022年5月1日閲覧。
  41. ^ 榎木孝明“不食本”出版 動機明かす「常識に挑戦したかった」”. スポニチアネックス (2015年11月25日). 2015年11月25日閲覧。
  42. ^ 平成15年用寄附金付年賀はがきの裏面絵柄の意匠等 日本郵便(2020年1月1日閲覧)

外部リンク

編集