ヴェストファーレン体制
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ヴェストファーレン体制は、三十年戦争の講和条約であるヴェストファーレン条約によりもたらされたヨーロッパの勢力均衡(バランス・オブ・パワー)体制である。日本では英語読みからウェストファリア体制とも呼ばれる。この枠組みにより、宗教的にはプロテスタントとローマ・カトリック教会が対等となることで、政治的にはローマ・カトリック教会によって権威付けられた神聖ローマ帝国の領邦が主権が認められたことで、中世以来の超領域的な存在の影響力は薄れ、世俗的な国家がそれぞれの領域において有する主権の平等などの現代国際法の諸原則は生まれた。
この体制は、当時のヨーロッパ列強、フランス王国、神聖ローマ帝国、スウェーデン王国(バルト帝国)によって維持されたが、18世紀の戦争(大北方戦争、第二次英仏百年戦争)によって形骸化した。しかし、本条約を尊重した「ウェストファリアシステム」は、18世紀中も継続し、ナポレオン戦争によって完全に崩壊させられるまで名目的に体制は維持され続けた。