Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                
コンテンツにスキップ

ゴルゴサウルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゴルゴサウルス
生息年代: 後期白亜紀カンパニアン, 76.6–75 Ma
ロイヤル・ティレル古生物学博物館のゴルゴサウルス全身骨格
地質時代
中生代後期白亜紀カンパニアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
階級なし : 真竜盤類 Eusaurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
階級なし : 新獣脚類 Neotheropoda
階級なし : 鳥吻類 Averostra
下目 : 堅尾下目 Tetanurae
階級なし : 鳥獣脚類 Avetheropoda
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
階級なし : ティラノ盗類 Tyrannoraptora
上科 : ティラノサウルス上科 Tyrannosauridea
階級なし : 汎ティラノサウルス類 Pantyrannosauria
階級なし : 真ティラノサウルス類 Eutyrannosauria
: ティラノサウルス科 Tyrannosauridae
亜科 : アルバートサウルス亜科Albertosaurinae
: ゴルゴサウルス属 Gorgosaurus
学名
Gorgosaurus
Lambe1914
シノニム
  • Deinodon horridus? Leidy1856
  • Laelaps falculus? Cope1876
  • Laelaps hazenianus? Cope1876
  • Laelaps incrassatus Cope1876
  • Dryptosaurus kenabekides? Hay1899
  • Gorgosaurus sternbergi Matthew & Brown, 1923
  • Albertosaurus libratus? Russell, 1970

ゴルゴサウルス学名: Gorgosaurus、「恐ろしいトカゲ」の意)は、約7660万年前から7500万年前の後期白亜紀カンパニアンにあたる北アメリカ西部に生息した、ティラノサウルス科に属する獣脚類恐竜の属。化石はカナダアルバータ州から発見されており、可能性のあるものはアメリカ合衆国モンタナ州からも産出している。古生物学者は本属をタイプ種 G. libratus のみからなるとみなしているが、誤って本属に割り当てられた種もいる。

他の既知のティラノサウルス科と同様にゴルゴサウルスは二足歩行の捕食動物で、成体の体重は2トンを超えた。大きく鋭い歯が顎に並び、2本指の前肢は比較的小型であった。ゴルゴサウルスはアルバートサウルスに最も近縁であり、ティラノサウルスとはやや遠縁である。ゴルゴサウルスとアルバートサウルスは極めて似ており、主に頭骨と歯の繊細な差異により区別される。G. libratus をアルバートサウルスに分類する、すなわちゴルゴサウルスをアルバートサウルスのジュニアシノニムと考える専門家もいる。

ゴルゴサウルスは西部内陸海路の端に沿った豊かな氾濫原に生息していた。ゴルゴサウルスは頂点捕食者であり、数多くのケラトプス科ハドロサウルス科を捕食していた。一部地域ではゴルゴサウルスは別のティラノサウルス科恐竜ダスプレトサウルスと共存していた。両者の体格は大まかに同程度であるものの、生態的地位を異としていた証拠がある。ゴルゴサウルスはティラノサウルス科の中で化石記録が最も多く、多数の標本が知られており、個体発生や生活環およびその他生物学的観点からの研究が可能となっている。

記載

[編集]
G. libratus の成体と亜成体の、ヒトとの大きさ比較

ゴルゴサウルスはティラノサウルスやタルボサウルスよりも小型で、体格はアルバートサウルスダスプレトサウルスに近い。成体は全長8 - 9メートルに達した[1][2]。成長しきった成体は体重約2.5トン[3][4]、あるいは2.8 - 2.9トンにもなった可能性があると推定されている[5][6]。これまでに発見されている最大の頭骨は頭骨長99センチメートルで、ダスプレトサウルスのものよりもわずかに小さい[1]。他のティラノサウルス科と同様に、頭骨はボディサイズと比較して大型であるが、頭骨には空洞が存在して、大きな孔により軽量化がなされていた。アルバートサウルスとゴルゴサウルスの頭骨はプロポーションとしてダスプレトサウルスはじめ他のティラノサウルス科よりも長く上下に低い。吻部の先端は鈍く、鼻骨頭頂骨が頭骨の正中線に沿って癒合し、これは他のティラノサウルス科にも共通する。眼窩は楕円形や鍵穴型というよりも円形であり、これも他のティラノサウルス科の属と共通する。涙骨の高い鶏冠状の突起はそれぞれの目の前方にあり、これはアルバートサウルスやダスプレトサウルスと同様である[2]。アルバートサウルスとは、脳を取り巻く骨の形状の際から区別できる[7]

ゴルゴサウルスの歯は全てのティラノサウルス科の属に典型的である。吻部の正面に位置した8本の前上顎骨歯は小型で密に並んでおり、断面はD字型である。ゴルゴサウルスの上顎骨の最前方の歯もまた、形状が前上顎骨歯に類似する。残りの歯は断面が楕円形であり、他の大半の獣脚類ではブレード状になっている[2]。8本の前上顎骨歯の他には26 - 30本の上顎骨歯、30 - 34本の歯骨歯がある。本数はアルバートサウルスやダスプレトサウルスに近く、タルボサウルスやティラノサウルスよりは少ない[8]

復元図

ゴルゴサウルスのボディプランは他の全てのティラノサウルス科と共通する。巨大な頭はS字型の首の端に備わる。大きな頭とは対照的に、前肢は非常に矮小である。前肢の指は2本だけであるが、第3中手骨が確認できる標本も複数あり、他の獣脚類に見られる第3指の痕跡が残されている。ゴルゴサウルスの後肢は地面に着かない小さな第1趾も含めてそれぞれ4本の指をもつ。他の獣脚類と比べると、ティラノサウルス科の後肢は全体的な体サイズに対して長い[2]。これまで知られているゴルゴサウルスの最大の大腿骨は長さ105センチメートルに達する。より小型のゴルゴサウルスの標本では脛骨が大腿骨よりも長く、これは速く走る動物に典型的なプロポーションである[1]。大型の標本ではこの2つの骨は等しい長さである[9]。長く重厚な尾は頭部と胴部のバランスを取り、重心は腰の上にあった[2]

古生物学者フィリップ・J・カリーは2001年に G. libratus のホロタイプ標本に皮膚の印象化石が見られることを報告した。彼は元々、皮膚が本質的に滑らかで他の恐竜に見られるウロコを持たず、大型現生鳥類に見られる二次的に羽毛を失った皮膚に似ていると報告した[10]。ある種のウロコはホロタイプ標本に存在していたが、これらのウロコは非常に小型で、さらに互いの距離も離れた状態で存在していた。別のゴルゴサウルスの皮膚化石からはより密で大型のウロコが確認されているが、ハドロサウルス科などの恐竜と比較するとそれでもきめ細かいウロコとなっている[11]。これらの標本はいずれも特定の骨や特定の部位と関連付けられていなかった[11]Encyclopedia of Dinosaursケネス・カーペンターは、ゴルゴサウルスの尾に由来する皮膚の印象化石は円形ないし五角形の小型のウロコが確認できると指摘した[12]

発見と命名

[編集]
現在は Gorgosaurus libratus の幼体とみなされている、Gorgosaurus sternbergi のタイプ標本 AMNH 5664

Gorgosaurus libratusローレンス・ラムが1914年に初めて記載した[13][14]。属名はギリシャ語の γοργος/gorgos(「恐ろしい」の意)と σαυρος/saurus(「トカゲ」の意)に由来する[15]。タイプ種は G. libratus で、種署名はラテン語の動詞 librare(「バランスを取る」の意)の過去形を語源に持つ[14]

Gorgosaurus libratus のホロタイプ標本 CMN 2120 は頭骨の備わったほぼ完全な骨格であり、1913年にチャールズ・モートラム・スタンバーグが1913年に発見した。この標本は完全な前肢が発見された初めてのティラノサウルス科の標本であり[13]、産地はアルバータ州のダイナソーパーク累層で、オタワカナダ自然博物館英語版が所蔵している[7]ニューヨークアメリカ自然史博物館から派遣された発掘家は同時期にアルバータ州のレッドディア川で活動しており、数百におよぶ恐竜の標本を収集した。これにはG. libratus の完全な頭骨4つが含まれ、さらにそのうち3つは骨格と繋がっていた。1923年にマシューとブラウンはこれら4つの標本を記載した[9]

標本 AMNH 5458

また、マシューとブラウンは5番目の骨格 AMNH 5664 を記載しており、これはチャールズ・ヘイゼリアス・スタンバーグが1917年に収集して博物館に売ったものであった。これは他のゴルゴサウルスの標本よりも小型であり、頭骨は上下に低く軽量で、四肢のプロポーションは長かった。骨の間の数多くの縫合線は癒合していなかった。マシューとブラウンはこれらの特徴をティラノサウルス科の幼体のものであるとしたが、それでもなお新種 G. sternbergi のホロタイプとして記載した[9]。今日では、古生物学者はこの標本を G. libratus の幼体とみなしている[2][7]。他の何十もの標本がダイナソーパーク累層から発掘されており、アメリカとカナダの各地の博物館に所蔵されている[1][7]G. libratus は化石記録においてティラノサウルス科で最も代表的であり、事実上完全な成長過程が知られている[2][16]

1856年にジョゼフ・ライディモンタナ州から産出した2本のティラノサウルス科の前上顎歯を記載した。これらが何の動物の物であるかは示唆されていなかったものの、歯は大型かつ頑強で、ライディはこれらにデイノドンと命名した[17]。マシューとブラウンは1992年にこれらの歯はゴルゴサウルスのものと区別できないとコメントしたが、デイノドンの骨格要素が存在しないため2属をシノニムにしない方針を選び、以前に命名された ?Deinodon libratus をそのままにした[18]。デイノドンの歯はゴルゴサウルスのものに非常に似ているものの、ティラノサウルス科の歯が極度に均一であるため、確実にどの属のものであるかは判断ができなかった。デイノドンは現在では一般に疑問名とされている[16]G. libratus あるいは D. horridus のシノニムである可能性があるものには、他に Laelaps falculusLaelaps hazenianusLaelaps incrassatus および Dryptosaurus kenabekides がいる[19]

1991年にフィリップ・J・カリーアルバータ州で標本 TMP91.036.0500 の距骨を発見した。発掘調査に同行していたダレン・タンケと共に掘り出したところ、全長5.5メートルの、推定年齢11歳の亜成体のゴルゴサウルスが産出した。この標本は、首を後ろに曲げて四肢を体の中に引き込み、尻尾を背中側に反らせた、デスポーズという姿勢を取る。この標本はロイヤル・ティレル古生物学博物館に所蔵され、2021年には最も完全なティラノサウルス類の化石としてギネス世界記録に認定された[20]

標本 USNM 12814。かつては AMNH 5428 であった

モンタナ州のツーメディスン累層ジュディスリバー累層から産出した複数のティラノサウルス科骨格はおそらくゴルゴサウルスに属するが、G. libratus か新種であるかは確定していない[7]。モンタナ州から産出した標本 TCMI 2001.89.1 はインディアナポリス子供博物館に所蔵されており、病理の証拠が複数確認できる。例を挙げると、治癒した脚、肋骨、骨折した椎骨、歯を失うこととなった下顎先端の骨髄炎、脳腫瘍が見られる[21][22]

誤同定された種

[編集]

20世紀にはゴルゴサウルスに誤って割り当てられた種も複数あった。小型ティラノサウルス科の完全な頭骨 CMNH 7541 はさらに新しい時代である後期マーストリヒチアンのモンタナ州ヘルクリーク累層 から発見され、チャールズ・W・ギルモアが1946年に Gorgosaurus lancensis と命名した[23]。この標本はロバート・T・ベッカーが1988年にナノティラヌスに改名した[24]。現在では多くの古生物学者がナノティラヌスをティラノサウルス・レックスの幼体とみなしている[2][16]。同様に、1955年にエフゲニー・マレーヴ英語版モンゴルネメグト層から産出した小型ティラノサウルス科標本 PIN 553-1 と PIN 552-2 に Gorgosaurus lancinatorGorgosaurus novojilovi と命名した[25]ケネス・カーペンターはこの小型標本を1992年に Maleevosaurus novojilovi に改名した[26]が、現在はいずれもタルボサウルス・バタールの幼体と考えられている[2][16][27]

分類と系統

[編集]
亜成体個体の復元図

ゴルゴサウルスは獣脚亜目ティラノサウルス科アルバートサウルス亜科に分類され、わずかに後の時代に生息したアルバートサウルスと最も近縁である[8]。未記載のものが存在する可能性はあるものの、記載された属でアルバートサウルス亜科に分類されるものは上記2属だけである[7]。2004年にアメリカの古生物学者トーマス・R・ホルツ・ジュニア英語版アパラチオサウルスがアルバートサウルス亜科であることを示唆する系統解析を発表した[2]が、アパラチオサウルスはティラノサウルス科のすぐ外側に位置する基盤的なティラノサウルス上科として記載されていた[28]後のホルツによる未発表の研究では、アパラチオサウルスは元の系統的位置に戻された[29]。ダスプレトサウルスやタルボサウルスといった他の全てのティラノサウルス科の属はティラノサウルス亜科に分類される。ティラノサウルス亜科と比較してアルバートサウルス亜科の体躯は細長く、頭骨のプロポーションは小さく上下に低く、脚の下部(脛骨)と足(中足骨趾骨)が長い[8][30]

Gorgosaurus libratusAlbertosaurus sarcophagus の類似性ゆえに、専門家は長らく両者を一つの属に統合していた。最初に与えられたアルバートサウルスに優先権が与えられ、ゴルゴサウルスはしばしばそのジュニアシノニムと考えられた。ウィリアム・ディラー・マシュー英語版バーナム・ブラウンは早くも1922年にその区別を疑った[18]Gorgosaurus libratus は1970年にデイル・ラッセルにより Albertosaurus libratus としてアルバートサウルスに再分類され[1]、後の数多くの論文著者が彼の研究に従った[28][31]。2属を統合したことでアルバートサウルスの地理的・時間的生息範囲は大きく拡張された。他の専門家は2属を別属として扱い続け[2]、カナダの古生物学者フィリップ・J・カリーはアルバートサウルスとゴルゴサウルスの間にはダスプレトサウルスとティラノサウルスの間ほどの2属を常に区別する解剖学的相違点があると主張した。また、アラスカ州ニューメキシコ州および北アメリカの他の地域で発見された未記載のティラノサウルス科が状況の明確化に役立つと彼は綴った[7]グレゴリー・ポールGorgosaurus libratusAlbertosaurus sarcophagus の祖先であると主張した[32]

インディアナポリス子供博物館の骨格マウント

以下は2013年に Loewen らが行った系統解析に基づくティラノサウルス科のクラドグラム[33]

ティラノサウルス科

ゴルゴサウルス

アルバートサウルス

ティラノサウルス亜科

ダイナソーパーク累層のティラノサウルス科

ダスプレトサウルス・トロスス

ダスプレトサウルス・ホルネリ

テラトフォネウス

ビスタヒエヴェルソル

リトロナクス

ティラノサウルス

タルボサウルス

ズケンティラヌス

古生物学

[編集]

生活環

[編集]
ティラノサウルス科の成長曲線を示すグラフ。青色がゴルゴサウルス。Erickson et al. 2004 に基づく

グレゴリー・M・エリクソン英語版らは骨の組織学を用いて死亡年齢を推定し、ティラノサウルス科の成長と生活環を研究した。成長曲線は様々な個体の年齢と体サイズを対応させてグラフにプロットすることで作成される。ティラノサウルス科は生涯を通じて成長を続けるが、幼年期の後4年間は驚異的な成長を遂げる。この急激な成長が終わるころに性成熟が起こると考えられ、成体の成長速度は極めて緩やかになる。様々な体サイズのゴルゴサウルスの標本5つを検査し、エリクソンは急成長期における最大成長率を年間50キログラムと計算した。これはダスプレトサウルスやティラノサウルスといったティラノサウルス亜科よりは緩やかであるが、アルバートサウルスと並ぶ値である[34]

ゴルゴサウルスは生涯の半分を幼年期に費やした後、わずか数年で最大サイズに近い体躯まで成長する[34]。これにより、巨大なティラノサウルス科と他の小型獣脚類との中間サイズの捕食動物がいなかったため、ティラノサウルス科の幼体がその生態的地位を埋めていたことが示唆されている。同様のパターンが現生のコモドオオトカゲに見られ、彼らは木を這って虫を捕食するところから始まって緩やかに成長し、大型脊椎動物を引きずり倒すことのできる巨大な頂点捕食者に至る[2]。アルバートサウルスを含む他のティラノサウルス科は年齢の混ざった群れを示唆する集合化石が発見されているが、ゴルゴサウルスには群れで行動していた化石証拠がない[35][36]

古病理学

[編集]
ロバート・T・バッカーと複数の骨が傷ついた骨格。ヒューストン自然科学博物館英語版 "Dinosaur Mummy: CSI" 展より

Gorgosaurus libratus のホロタイプ CMN 2120 については病理研究も進んでおり、右第3肋骨、第13 - 14腹肋骨、左腓骨の論文が出ている。左第4中足骨は中央と遠位端に荒い外骨腫が生じている。右足第3指の第3趾骨は変形し、鉤爪は極めて小さく不定形であると記載された。これらの病理は別の恐竜と遭遇した際に発症した可能性がある[37]

別の標本 TMP 94.12.602 は複数の病理がある。右腓骨軸の中央には縦に10センチメートルの骨折が走る。複数の肋骨に治癒痕があり、腹肋骨には偽関節が生じている。顔には噛まれたことに由来する病変があり、この個体が死ぬ前に傷が治癒しつつあったことが示唆されている[37]

ロイヤル・ティレル古生物学博物館にて、デスポーズを取った亜成体標本 TMP91.36.500

TMP91.36.500 は右腓骨を噛まれたが完全に治癒した痕跡を持つ、もう一つのゴルゴサウルスの標本である。歯骨にも治癒痕があるほか、論文執筆者は右足の趾骨のキノコ状の骨化過剰英語版に言及して記載した。趾骨に同様のキノコ形の肥大化が見られる未同定のオルニトミムス科がおり、ラルフ・モルナーはこれをゴルゴサウルスのものと同様の病理であると推論している[37]。また、TMP91.36.500 は特徴的なデスポーズで保存されている[38]

別の標本には右腓骨にわずかに治癒した構造が見られ、骨に巨大な仮骨を残している。2001年にブルース・ロスチャイルドと他の古生物学者が行った研究では、ゴルゴサウルスに割り当てられた54本の足の骨に疲労骨折がないか調査されたが、発見されなかった[37][39]

古生態学

[編集]
ROM 1247

大半の Gorgosaurus libratus の標本はアルバータ州ダイナソーパーク累層から発見された[7]。この層は7650万年前から7480万年前の中期カンパニアンにあたり[40]、特に Gorgosaurus libratus の化石は7660万年前から7510万年前にあたる本層の下部から中部から産出した[41]。モンタナ州のツーメディスン累層ジュディスリバー累層もまたゴルゴサウルスの化石が堆積している。当時この地域は北アメリカを半分に分断していた西部内陸海路の西岸に沿った海岸平野であった。ララミー変動により西部でロッキー山脈の隆起が始まると、そこから巨大な川が流れて海岸沿いの氾濫原に侵食された堆積物を運搬した。[42][43] 。気候は顕著な季節性を伴った亜熱帯気候で、ダイナソーパーク累層に保存された多数のボーンベッドの堆積物に代表されるように、定期的な干ばつにより恐竜が大量死することもあった。針葉樹林冠を形成した一方、火葬植生英語版シダ木生シダ被子植物により構成された[44]。約7300万年前には西部内陸海路が拡大を始め、かつては海抜の高かった地域にも海進し、ダイナソーパーク累層の生態系を水没させた。この海進はベアパウ海と呼ばれ、巨大なベアパウ頁岩英語版に海洋堆積物が保存されている[43]

ロイヤル・ティレル古生物学博物館の標本
カスモサウルスランベオサウルスを追うゴルゴサウルス

ダイナソーパーク累層には莫大な量の脊椎動物化石が保存されている。多種多様な魚類が河川や三角江を泳ぎ、具体的にはガーチョウザメサメエイなどがいた。カエルサンショウウオカメワニチャンプソサウルス類もまた水辺に生息していた。アズダルコ科翼竜アパトルニス英語版などオルニトゥラエ類鳥類が頭上を飛び、エナンティオルニス類アヴィサウルス多丘歯目後獣下綱真獣下綱の哺乳類と共に地上に生息していた。陸上生活を送るトカゲも数多くの種が生息しており、テユー科トカゲ科オオトカゲ科アシナシトカゲ科が生息していた。特に、発見される恐竜化石の豊富さと多様性は比類ない。ケラトプス科の大規模な群れはハドロサウルス科ランベオサウルス亜科サウロロフス亜科の同じく大規模な群れとともに氾濫原を歩き回った。他の植物食性のグループとしてはオルニトミムス科テリジノサウルス科パキケファロサウルス科、小型の鳥脚類ノドサウルス科アンキロサウルス科が代表的であった。オヴィラプトロサウルス類トロオドン科といった小型の肉食恐竜は小型の獲物を捕食し、ダスプレトサウルスやゴルゴサウルスという体重が2桁増すようなティラノサウルス科はさらに大型の獲物を狙った[43]。中間型の肉食動物の生態的地位は若いティラノサウルス科が占めた可能性がある[1][2][45]サウロルニトレステスの歯骨がダイナソーパーク累層から発見されており、おそらくゴルゴサウルスの思われる若いティラノサウルス科恐竜の歯型が残されていた[46]

ダスプレトサウルスとの共存

[編集]
ダイナソーパーク累層のダスプレトサウルス標本 FMNH PR308。フィールド博物館

ダイナソーパーク累層の中層で、ゴルゴサウルスはより希少なティラノサウルス科のダスプレトサウルスと共存していた。これは2属のティラノサウルス科が同所的に生息した数少ない例の一つである。現代の捕食動物の群集では、同様の体格をした捕食者は解剖学的・行動的・地理的差異により競争を制限され別々の生態的地位に分かれる。ダイナソーパーク累層のティラノサウルス科の間でのニッチの違いはまだ理解がよく進んでいない[47]。1970年にデイル・ラッセルは、ゴルゴサウルスが一般に足の速いハドロサウルス科を積極的に狩り、彼らより重厚なダスプレトサウルスには角や鎧を纏っていて厄介で数の少ないケラトプス科アンキロサウルス科が残されたと仮説を立てた[1]。しかし、同時代を示すモンタナ州のツーメディスン累層から産出したダスプレトサウルスの標本OTM 200 は腸の領域に幼体のハドロサウルス科の残骸が残っており[48]、別のボーンベッドからは3頭のダスプレトサウルスが少なくとも5頭のハドロサウルス科と共に発見された[35]

他の恐竜のグループとは異なり、標高差を利用した棲み分けは両属に見られなかった[47]。しかし、ゴルゴサウルスの化石はダイナソーパークといった北部の層で一般的であり、ダスプレトサウルスの種の化石は南方で豊富であった。このパターンは他の恐竜でも見ることができる。カスモサウルス亜科のケラトプス科やサウロロフス亜科のハドロサウルス科も、モンタナ州のトゥーメディスン累層などカンパニアンの北アメリカ南部に多く、セントロサウルス亜科ランベオサウルス亜科は北方の緯度で支配的である。このティラノサウルス亜科、カスモサウルス亜科、サウロロフス亜科の間の生態的パフォーマンスを共通していることがこの分布パターンに示されているとホルツは提唱した。マーストリヒチアンの終わりにはティラノサウルス・レックスのようなティラノサウルス亜科、エドモントサウルスクリトサウルスといったサウロロフス亜科、トリケラトプストロサウルスなどのカスモサウルス亜科が北アメリカ西部へ拡散した。その一方でヒパクロサウルスなど少数の種からなるランベオサウルス亜科は希少となり、アルバートサウルス亜科とセントロサウルス亜科は絶滅した[2]。しかし、セントロサウルス亜科の場合はシノケラトプスのようにアジアで成功したものもいる[49]。アルバートサウルス亜科の化石はヘルクリーク累層でも発見されたが、これはティラノサウルス属に属する種であると有力視されている[50]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g Russell, Dale A. (1970). “Tyrannosaurs from the Late Cretaceous of western Canada”. National Museum of Natural Sciences Publications in Paleontology 1: 1–34. 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n Holtz, Thomas R. (2004). “Tyrannosauroidea”. In Weishampel, David B.; Dodson, Peter; Osmólska Halszka. The Dinosauria (Second ed.). Berkeley: University of California Press. pp. 111–136. ISBN 978-0-520-24209-8 
  3. ^ Seebacher, Frank (2001). “A new method to calculate allometric length-mass relationships of dinosaurs”. Journal of Vertebrate Paleontology 21 (1): 51–60. doi:10.1671/0272-4634(2001)021[0051:ANMTCA]2.0.CO;2. ISSN 0272-4634. http://dinoweb.ucoz.ru/_fr/4/A_new_method_to.pdf. 
  4. ^ Benson, R. B. J.; Campione, N. S. E.; Carrano, M. T.; Mannion, P. D.; Sullivan, C.; Upchurch, P.; Evans, D. C. (2014). “Rates of Dinosaur Body Mass Evolution Indicate 170 Million Years of Sustained Ecological Innovation on the Avian Stem Lineage”. PLoS Biology 12 (5): e1001853. doi:10.1371/journal.pbio.1001853. PMC 4011683. PMID 24802911. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4011683/. 
  5. ^ Therrien, F.; Henderson, D.M. (2007). “My theropod is bigger than yours...or not: estimating body size from skull length in theropods”. Journal of Vertebrate Paleontology 27 (1): 108–115. doi:10.1671/0272-4634(2007)27[108:MTIBTY]2.0.CO;2. http://dinoweb.ucoz.ru/_fr/4/My_theropod_is_.pdf. 
  6. ^ Campione, Nicolas E.; Evans, David C.; Brown, Caleb M.; Carrano, Matthew T. (2014). “Body mass estimation in non-avian bipeds using a theoretical conversion to quadruped stylopodial proportions”. Methods in Ecology and Evolution 5 (9): 913–923. doi:10.1111/2041-210X.12226. 
  7. ^ a b c d e f g h Currie, Philip J. (2003). “Cranial anatomy of tyrannosaurids from the Late Cretaceous of Alberta” (PDF). Acta Palaeontologica Polonica 48 (2): 191–226. http://www.app.pan.pl/article/item/app48-191.html?pdf=39. 
  8. ^ a b c Currie, Philip J.; Hurum, Jørn H; Sabath, Karol (2003). “Skull structure and evolution in tyrannosaurid phylogeny”. Acta Palaeontologica Polonica 48 (2): 227–234. http://www.app.pan.pl/archive/published/app48/app48-227.pdf. 
  9. ^ a b c Matthew, William D.; Brown, Barnum (1923). “Preliminary notices of skeletons and skulls of Deinodontidae from the Cretaceous of Alberta”. American Museum Novitates 89: 1–9. hdl:2246/3207. 
  10. ^ Currie, P. (2001). 2001 A. Watson Armour Symposium: The Paleobiology and Phylogenetics of Large Theropods. Field Museum of Natural History, Chicago.
  11. ^ a b Holtz, T. 2001. Phil Currie celebration, tyrant skin, and other things. Dinosaur Mailing List post. http://dml.cmnh.org/2001Jul/msg00243.html. Accessed: 15 March 2014
  12. ^ Carpenter, Kenneth (1997). “Tyrannosauridae”. In Currie, Philip J.; Padian Kevin. Encyclopedia of Dinosaurs. San Diego: Academic Press. pp. 768. ISBN 978-0-12-226810-6 
  13. ^ a b Lambe, Lawrence M. (1914). “On the fore-limb of a carnivorous dinosaur from the Belly River Formation of Alberta, and a new genus of Ceratopsia from the same horizon, with remarks on the integument of some Cretaceous herbivorous dinosaurs”. Ottawa Naturalist 27: 129–135. 
  14. ^ a b Lambe, Lawrence M. (1914). “On a new genus and species of carnivorous dinosaur from the Belly River Formation of Alberta, with a description of Stephanosaurus marginatus from the same horizon”. Ottawa Naturalist 28: 13–20. 
  15. ^ Liddell, Henry G.; Scott, Robert (1980). Greek-English Lexicon (Abridged ed.). Oxford: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-910207-5. https://archive.org/details/lexicon00lidd 
  16. ^ a b c d Carr, Thomas D. (1999). “Craniofacial ontogeny in Tyrannosauridae (Dinosauria, Coelurosauria)”. Journal of Vertebrate Paleontology 19 (3): 497–520. doi:10.1080/02724634.1999.10011161. http://www.vertpaleo.org/publications/jvp/19-497-520.cfm. 
  17. ^ Leidy, Joseph (1856). “Notice of remains of extinct reptiles and fishes, discovered by Dr. F.V. Hayden in the badlands of the Judith River”. Proceedings of the Academy of Sciences in Philadelphia 8: 72–73. 
  18. ^ a b Matthew, William D.; Brown, Barnum (1922). “The family Deinodontidae, with notice of a new genus from the Cretaceous of Alberta”. Bulletin of the American Museum of Natural History 46 (6): 367–385. hdl:2246/1300. 
  19. ^ Weishampel, D.B., Dodson, P., and Osmólska, H. (eds.). (2004). The Dinosauria. 2nd edition. University of California Press, Berkeley.
  20. ^ Record-breaking Specimens of the Royal Tyrrell Museum”. ロイヤル・ティレル古生物学博物館 (2021年10月6日). 2021年10月7日閲覧。
  21. ^ Pickrell, John (2003年11月24日). “First dinosaur brain tumor found, experts suggest”. National Geographic News. 2008年2月7日閲覧。
  22. ^ Meet the Gorgosaur”. The Children's Museum of Indianapolis. 2008年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年2月7日閲覧。
  23. ^ Gilmore, Charles W. (1946). “A new carnivorous dinosaur from the Lance Formation of Montana”. Smithsonian Miscellaneous Collections 106: 1–19. 
  24. ^ Bakker, Robert T.; Williams, Michael; Currie, Philip J. (1988). “Nanotyrannus, a new genus of pygmy tyrannosaur, from the latest Cretaceous of Montana”. Hunteria 1 (5): 1–30. 
  25. ^ Maleev, Evgeny A. (1955). “New carnivorous dinosaurs from the Upper Cretaceous of Mongolia” (Russian). Doklady Akademii Nauk SSSR 104 (5): 779–783. 
  26. ^ Carpenter, Ken. (1992). “Tyrannosaurids (Dinosauria) of Asia and North America”. In Mateer, Niall J.; Chen Peiji. Aspects of Nonmarine Cretaceous Geology. Beijing: China Ocean Press. pp. 250–268 
  27. ^ Rozhdestvensky, Anatoly K. (1965). “Growth changes in Asian dinosaurs and some problems of their taxonomy”. Paleontological Journal 3: 95–109. 
  28. ^ a b Carr, Thomas D.; Williamson, Thomas E.; Schwimmer, David R. (2005). “A new genus and species of tyrannosauroid from the Late Cretaceous (middle Campanian) Demopolis Formation of Alabama”. Journal of Vertebrate Paleontology 25 (1): 119–143. doi:10.1671/0272-4634(2005)025[0119:ANGASO]2.0.CO;2. ISSN 0272-4634. http://www.bioone.org/doi/pdf/10.4202/app.2012.0003. 
  29. ^ Holtz, Thomas R. (2005年9月20日). “RE: Burpee Conference (LONG)”. 2007年6月18日閲覧。
  30. ^ Currie, Philip J. (2003). “Allometric growth in tyrannosaurids (Dinosauria: Theropoda) from the Upper Cretaceous of North America and Asia”. Canadian Journal of Earth Sciences 40 (4): 651–665. Bibcode2003CaJES..40..651C. doi:10.1139/e02-083. http://www.ingentaconnect.com/content/nrc/cjes/2003/00000040/00000004/art00014. 
  31. ^ Paul, Gregory S. (1988). Predatory Dinosaurs of the World. New York: Simon & Schuster. p. 464pp. ISBN 978-0-671-61946-6. https://archive.org/details/predatorydinosau00paul 
  32. ^ Paul. G.S. The Princeton Field Guide to Dinosaurs, Princeton University Press, 2010. P. 105.
  33. ^ Loewen, M.A.; Irmis, R.B.; Sertich, J.J.W.; Currie, P. J.; Sampson, S. D. (2013). Evans, David C. ed. “Tyrant Dinosaur Evolution Tracks the Rise and Fall of Late Cretaceous Oceans”. PLoS ONE 8 (11): e79420. Bibcode2013PLoSO...879420L. doi:10.1371/journal.pone.0079420. PMC 3819173. PMID 24223179. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3819173/. 
  34. ^ a b Erickson, Gregory M., GM; Makovicky, Peter J.; Currie, Philip J.; Norell, Mark A.; Yerby, Scott A.; Brochu, Christopher A. (2004). “Gigantism and comparative life-history parameters of tyrannosaurid dinosaurs”. Nature 430 (7001): 772–775. Bibcode2004Natur.430..772E. doi:10.1038/nature02699. PMID 15306807. 
  35. ^ a b Currie, Philip J.; Trexler, David; Koppelhus, Eva B.; Wicks, Kelly; Murphy, Nate (2005). “An unusual multi-individual tyrannosaurid bonebed in the Two Medicine Formation (Late Cretaceous, Campanian) of Montana (USA)”. In Carpenter, Kenneth. The Carnivorous Dinosaurs. Bloomington: Indiana University Press. pp. 313–324. ISBN 978-0-253-34539-4 
  36. ^ Tanke, Darren H.; Currie, Philip J. (1998). “Head-biting behavior in theropod dinosaurs: paleopathological evidence”. Gaia 15: 167–184. オリジナルの2008-02-27時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080227134632/http://www.mnhn.ul.pt/geologia/gaia/12.pdf. 
  37. ^ a b c d Rothschild, B., Tanke, D. H., and Ford, T. L., 2001, Theropod stress fractures and tendon avulsions as a clue to activity: In: Mesozoic Vertebrate Life, edited by Tanke, D. H., and Carpenter, K., Indiana University Press, p. 331–336.
  38. ^ Reisdorf, A.G., and Wuttke, M. (2012). "Re-evaluating Moodie's Opisthotonic-Posture Hypothesis in fossil vertebrates. Part I: Reptiles – The taphonomy of the bipedal dinosaurs Compsognathus longipes and Juravenator starki from the Solnhofen Archipelago (Jurassic, Germany)." Palaeobiodiversity and Palaeoenvironments, doi:10.1007/s12549-011-0068-y
  39. ^ Molnar, R. E., 2001, Theropod paleopathology: a literature survey: In: Mesozoic Vertebrate Life, edited by Tanke, D. H., and Carpenter, K., Indiana University Press, p. 337–363.
  40. ^ Eberth, D.A. (2005). "The geology." In: Currie, P.J., and Koppelhus, E.B. (eds), Dinosaur Provincial Park: A Spectacular Ancient Ecosystem Revealed. Indiana University Press: Bloomington and Indianapolis, 54–82.
  41. ^ Arbour, V.M.; Burns, M.E.; Sissons, R.L. (2009). “A redescription of the ankylosaurid dinosaur Dyoplosaurus acutosquameus Parks, 1924 (Ornithischia: Ankylosauria) and a revision of the genus”. Journal of Vertebrate Paleontology 29 (4): 1117–1135. doi:10.1671/039.029.0405. 
  42. ^ English, Joseph M.; Johnston, Stephen T. (2004). “The Laramide Orogeny: what were the driving forces?”. International Geology Review 46 (9): 833–838. Bibcode2004IGRv...46..833E. doi:10.2747/0020-6814.46.9.833. http://web.uvic.ca/~stj/Assets/PDFs/04%20JE%20&%20STJ%20IGR%20Laramide.pdf. 
  43. ^ a b c Eberth, David A. (1997). “Judith River Wedge”. In Currie, Philip J.; Padian, Kevin. Encyclopedia of Dinosaurs. San Diego: Academic Press. pp. 199–204. ISBN 978-0-12-226810-6 
  44. ^ Braman, Dennis R.; Koppelhus, Eva B. (2005). “Campanian palynomorphs”. In Currie, Phillip J.; Koppelhus, Eva B.. Dinosaur Provincial Park: A Spectacular Ancient Ecosystem Revealed. Bloomington: Indiana University Press. pp. 101–130. ISBN 978-0-253-34595-0 
  45. ^ Farlow, James O. (1976). “Speculations about the diet and foraging behavior of large carnivorous dinosaurs”. American Midland Naturalist 95 (1): 186–191. doi:10.2307/2424244. JSTOR 2424244. 
  46. ^ Jacobsen, A.R. 2001. Tooth-marked small theropod bone: An extremely rare trace. p. 58–63. In: Mesozoic Vertebrate Life. Ed.s Tanke, D. H., Carpenter, K., Skrepnick, M. W. Indiana University Press.
  47. ^ a b Farlow, James O.; Pianka, Eric R. (2002). “Body size overlap, habitat partitioning and living space requirements of terrestrial vertebrate predators: implications for the paleoecology of large theropod dinosaurs”. Historical Biology 16 (1): 21–40. doi:10.1080/0891296031000154687. https://semanticscholar.org/paper/ccb6ab8b4949d95a9b09ef3fdbe7114b65ecb525. 
  48. ^ Varricchio, David J. (2001). “Gut contents from a Cretaceous tyrannosaurid: implications for theropod dinosaur digestive tracts”. Journal of Paleontology 75 (2): 401–406. doi:10.1666/0022-3360(2001)075<0401:GCFACT>2.0.CO;2. ISSN 0022-3360. 
  49. ^ Xu, X.; Wang, K.; Zhao, X.; Li, D. (2010). “First ceratopsid dinosaur from China and its biogeographical implications”. Chinese Science Bulletin 55 (16): 1631–1635. Bibcode2010ChSBu..55.1631X. doi:10.1007/s11434-009-3614-5. 
  50. ^ Molnar, R.E. (January 1980). “An Albertosaur from the Hell Creek Formation of Montana”. Journal of Paleontology 54 (1): 102–108. JSTOR 1304167.