バイオジェン
現地語社名 | Biogen Inc. |
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以前の社名 | Biogen Idec |
種類 | 公開会社 |
市場情報 | |
業種 | 製薬、バイオテクノロジー |
事業分野 | 医薬品 |
設立 | 1978年 |
創業者 | |
本社 | 、 |
主要人物 | |
製品 | |
売上高 | 10,173,400,000 アメリカ合衆国ドル (2022年) |
営業利益 | 2,840,700,000 アメリカ合衆国ドル (2021年) |
利益 | 3,046,900,000 アメリカ合衆国ドル (2022年) |
ウェブサイト | https://www.biogen.com/ |
バイオジェン(英: Biogen Inc.)はアメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置く医薬品メーカー[4]。 『ニューヨーク・タイムズ』によればバイオテクノロジー分野では最古参の会社の1つ[5]。新たな治療方法の探究から医薬品の製造、販売まで行っており、神経疾患、自己免疫疾患、希少疾患を主な対象としている[3]。
沿革
[編集]1978年、スイスのジュネーヴで科学者らと3名の投資家が創薬会社 Biogen NV を設立した[6]。創業者には科学者のウォルター・ギルバート、フィリップ・シャープ、ハインツ・シャーラー、ケネス・マレイ、チャールズ・ワイズマンがいる[7]。1982年、バイオジェンは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに新本社を置き、翌年1983年にNASDAQに上場した[8]。
2003年、バイオジェンは米国サンフランシスコのアイデック製薬会社 (Idec Pharmaceuticals) と合併、バイオジェン・アイデック (Biogen Idec) となった[6][5]。アイデックは1985年にモノクローナル抗体の開発、製品化を目的として設立された会社であり[6]、合併当時はジェネンテックと共同で権利を有する医薬品リツキサンにより急成長していた[5]。加えて、アイデックが非ホジキンリンパ腫の治療薬として開発したゼヴァリンは世界で初めて承認された放射免疫療法薬剤であり、前年2002年に米国で販売を開始したところだった[9]。
2006年5月、バイオジェン・アイデックはConforma Therapeuticsを買収した。この会社は1999年に設立され、熱ショックタンパク質の一種でがん細胞の増殖に関連しているHsp90の阻害剤を研究するなど、悪性腫瘍を専門としていた[10]。続いて6月には、2003年から共同研究を行っていたスイスの製薬会社Fumapharmを買収した[11]。翌2007年、Syntonix Pharmaceuticalsを買収した。血友病の治療薬ElocateとAlprolixはこの会社に由来するものだった[12]。
2015年、会社名を合併前のバイオジェンに戻した[6]。2017年に血友病の治療薬を扱うバイオベラティブがバイオジェンから分社した[注釈 1][13]。
2018年、米国の製薬会社ファイザーから統合失調症の新薬候補PF-04958242を取得し、神経精神領域に事業を拡大した[14]。
2021年6月8日、アルツハイマー病の世界初の治療薬「ADUHELM™ (アデュカヌマブ)」が米国FDAから承認を受けたことを発表した[15]。
製品
[編集]多発性硬化症
[編集]- アボネックス (Avonex) - インターフェロンβ-1a製剤
- 多発性硬化症の治療薬。1996年に再発型の多発性硬化症の治療薬としてアメリカ合衆国で承認された[16]。
- タイサブリ (Tysabri) - ナタリズマブ
- ファンピラ (Fampyra) - ファンプリジン
- テクフィデラ (Tecfidera) - フマル酸ジメチル
- プレグリディ (Plegridy) - インターフェロンβ-1a
- ジンブリタ (Zinbryta) - ダクリズマブ
その他
[編集]- FUMADERM - フマル酸エステル
- リツキサン (Rituxan) - リツキシマブ
- Gazyba - オビヌツズマブ
- スピンラザ (Spinraza) - ヌシネルセン
- コールド・スプリング・ハーバー研究所のアドリアン・クライナーとアイオニス・ファーマシューティカルズの共同研究により創薬された脊髄性筋萎縮症の治療薬[21]。バイオジェンは2012年からアイオニスと提携しており、スピンラザに関するライセンス契約を締結している[22]。
- レケンビ - レカネマブ
- Qalsody - トフェルセン
日本におけるバイオジェン
[編集]バイオジェンは2000年から日本で事業を展開しており、日本法人としてバイオジェン・ジャパン株式会社を設置している[25]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “Board of Directors bio”. バイオジェン. 2018年6月14日閲覧。
- ^ “Leadership Detail”. バイオジェン. 2018年6月14日閲覧。
- ^ a b c “Validea's Top Five Healthcare Stocks Based On Warren Buffett - 6/17/2018”. NASDAQ. (2018年6月17日) 2018年6月19日閲覧。
- ^ “BIIB:US”. Bloomberg. 2018年6月13日閲覧。
- ^ a b c ANDREW POLLACK (2003年6月24日). “Idec to Merge With Biogen in $6.8 Billion Deal”. New York Times 2018年6月14日閲覧。
- ^ a b c d e f “沿革”. バイオジェン・ジャパン. 2018年6月13日閲覧。
- ^ “About Biogen”. Biogen. 2018年6月13日閲覧。
- ^ “About_History”. バイオジェン. 2018年6月14日閲覧。
- ^ 戸倉雅彦、藪内由史「ゼヴァリンの開発経緯と放射免疫療法の今後」『Drug Delivery System』第28巻第3号、日本DDS学会、2013年、197-204頁、doi:10.2745/dds.28.197、2018年6月14日閲覧。
- ^ “Biogen Idec buys cancer drug firm Conforma”. PharmaTimes Online. (2006年5月4日) 2018年6月18日閲覧。
- ^ “Biogen Idec agrees to buy Swiss company Fumapharm”. PharmaTimes Online. (2006年6月1日) 2018年6月18日閲覧。
- ^ “Better Together, or Apart? Biogen, Bioverativ Head Down Separate Paths”. Xconomy. (2017年2月1日) 2018年6月18日閲覧。
- ^ 白石透冴 (2018年1月22日). “仏サノフィ、米血友病薬企業を約1兆2800億円で買収”. 日本経済新聞電子版 2018年6月15日閲覧。
- ^ a b 西邨紘子 (2018年3月13日). “米バイオジェン、ファイザーから新薬候補を取得”. 日本経済新聞電子版 2018年6月15日閲覧。
- ^ “2021年06月08日 ADUHELM™(アデュカヌマブ)アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬として米国FDAより迅速承認を取得”. www.biogen.co.jp. 2021年6月9日閲覧。
- ^ 隅野留理子「多発性硬化症治療薬インターフェロン ベータ-1a 製剤(アボネックス® 筋注用シリンジ30μg)の薬理学的特性および臨床試験成績」『日本薬理学雑誌』第129巻第3号、日本薬理学会、2007年、209-217頁、doi:10.1254/fpj.129.209、2018年6月13日閲覧。
- ^ (PDF) 総合製品情報概要 タイサブリ点滴静注300mg. バイオジェン・ジャパン 2018年6月15日閲覧。.
- ^ 北村正樹 (2014年6月27日). “タイサブリ:4週に1回の静注で済む多発性硬化症治療薬”. 日経メディカル (日経BP) 2018年6月13日閲覧。
- ^ “多発性硬化症薬の販売中止、米アッヴィとバイオジェン”. 日本経済新聞電子版. (2018年3月3日) 2018年6月15日閲覧。
- ^ “リツキサン”. 医薬品インタビューフォーム (全薬工業). (2010) 2018年6月13日閲覧。.
- ^ Ken Garber (2016-10-11). “Big win possible for Ionis/Biogen antisense drug in muscular atrophy”. Nature Biotechnology 34: 1002–1003 2018年6月14日閲覧。.
- ^ “Biogen Shells Out $75M to Develop Ionis' Nusinersen after Positive Phase III Results”. Genetic Engeneering & Biotechnology news. (2016年8月1日) 2018年6月14日閲覧。
- ^ “米当局、エーザイのアルツハイマー薬承認 病気の進行抑制”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2023年1月7日). 2023年1月7日閲覧。
- ^ “難病ALSの薬、遺伝子に働きかける新タイプ 米FDAが迅速承認:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2023年4月26日). 2023年6月9日閲覧。
- ^ “多発性硬化症の患者さんの実態調査”. 産経デジタル (2017年5月30日). 2018年6月15日閲覧。