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地上基幹放送局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

地上基幹放送局(ちじょうきかんほうそうきょく)は、無線局の種別の一つである。基幹放送局の一種でもある。

定義

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総務省令電波法施行規則第4条第1項第2号に「地上基幹放送放送法第2条第15号 の地上基幹放送をいう。)又は移動受信用地上基幹放送(同法第2条第14号に規定する移動受信用地上基幹放送をいう。以下同じ。)を行う基幹放送局(放送試験業務を行うものを除く。)」と定義している。

特定地上基幹放送局

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電波法令に次のように定義している。

  • 電波法第6条第2項に「自己の地上基幹放送の業務に用いる無線局」
  • 電波法施行規則第4条第1項第2号の3に「基幹放送局のうち法第6条第2項に規定する特定地上基幹放送局(放送試験業務を行うものを除く。)」

特定地上基幹放送事業者の保有する地上基幹放送局のことである。 これに対して基幹放送局提供事業者の保有する地上基幹放送局は特定地上基幹放送局以外の地上基幹放送局特定以外の地上基幹放送局という。

放送法第20条第1項第1号では、日本放送協会(NHK)の国内放送の地上基幹放送は特定地上基幹放送局に限るとしている。 つまり、NHKの地上波による国内放送は、NHK自らが地上基幹放送局を開設して実施しなければならない。

特定基地局

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電波法第27条の12に「陸上に開設する移動しない無線局であつて、次の各号のいずれかに掲げる事項を確保するために、同一の者により相当数開設されることが必要であるもののうち、電波の公平かつ能率的な利用を確保するためその円滑な開設を図ることが必要であると認められるもの」と規定し、同条第2号には「移動受信用地上基幹放送に係る放送対象地域放送法第91条第2項第2号に規定する放送対象地域をいう。)における当該移動受信用地上基幹放送の受信」がある。 つまり、移動受信用地上基幹放送の基幹放送局提供事業者は地上基幹放送局の開設にあたり、携帯電話事業や無線アクセスシステム事業の電気通信事業者と同様に特定基地局の開設計画を策定し、実施しなければならない。

引用の促音の表記は原文ママ

開設の基準

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総務省令基幹放送局の開設の根本的基準

による。

概要

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一般に地上波放送局と呼ばれるもので、従前の種別の放送局に相当する。

臨時目的放送局(イベント放送局および臨時災害放送局)、コミュニティ放送局、外国語放送局、受信障害対策中継放送局が含まれる。

免許

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種別コードは、特定地上基幹放送局以外の地上基幹放送局はBB、特定地上基幹放送局はBC。免許の有効期間は臨時目的放送局を除き5年。ただし、中継国際放送以外は当初に限り有効期限は5年以内の一定の日となる。(沿革も参照)

原則として簡易な免許手続の対象ではないので、予備免許を取得し落成検査に合格して、免許が付与される。 簡易な免許手続の対象となる地上基幹放送局は、適合表示無線設備のみを用いるものに限られる[1]。 これは受信障害対策中継放送(通称ギャップフィラー中継局のことである。

旧技術基準の無線設備の免許

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無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準改正 [2] により、旧技術基準に基づく無線設備が条件なしで免許されるのは「平成29年11月30日」まで [3]、 使用は「平成34年11月30日」まで [4] とされた。

旧技術基準の無線設備とは、

  • 「平成17年11月30日」[5]までに製造された機器
  • 経過措置[3]として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに製造された機器[6]

である。

新規免許は2017年(平成29年)12月1日以降はできないが、使用期限はコロナ禍により[7]「当分の間」延期[8]された。

詳細は無線局#旧技術基準の機器の使用を参照。

運用

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無線局運用規則第5章 地上基幹放送局及び地上一般放送局の運用による。

操作

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原則として空中線電力2kWを超えるテレビジョン基幹放送局は第一級陸上無線技術士による、それ以外は第二級陸上無線技術士以上の無線従事者による管理(常駐するという意味ではない。)を要する。ただし、受信障害対策中継放送局及びコミュニティ放送局無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものについては、第三級総合無線通信士以上又は第二級陸上特殊無線技士以上の無線従事者による管理で足りる。 これらは地上基幹放送局の無線設備を制御する放送事業用固定局の管理にも適用される。

無線従事者が不要となるのは電波法施行規則第33条に「簡易な操作」として規定されている次の各号の操作に限られる。

  • 第6号(5) 適合表示無線設備のみを使用する無線局の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作を規定する告示[9]
この告示各号の規定は、ギャップフィラー中継局の管理に無線従事者を不要にし普及を促進するための処置である。
  • 第8号 その他に別に告示するものを規定する告示[9]
    • 第3項第1号(9)に規定する音声混合器又は映像混合器の操作

検査

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  • 落成検査は、上述の通り簡易な免許手続の対象であるもののみ対象外である。
  • 定期検査は、電波法施行規則第41条の2の6第2号により、次のものが対象外である。
1. 空中線電力0.25W以下のFM放送ギャップフィラー中継局
2. 空中線電力0.05W以下のテレビ放送用地上基幹放送局
この号の規定は、「簡易な操作」の規定と同様にギャップフィラー中継局の普及を促進するための処置である。
  • 変更検査は、落成検査と同様である。
定期検査の周期
電波法施行規則別表第5号第2号により、
(1) 演奏所を有するもの又は放送対象地域ごとの放送系のうち最も中心的な機能を果たすもの(コミュニティ放送を行うもの及びコミュニティ放送の電波に重畳して多重放送を行うものを除く。)1年
(2) (1)に該当しないもの 5年
検査は登録検査等事業者等による点検が可能で、この結果に基づき一部省略される。

沿革

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1950年(昭和25年)

  • 電波法施行規則[10]制定時に放送局が「放送業務を行う無線局」と定義された。また、放送業務が「一般公衆によつて直接受信されることを目的とする無線電話テレビジヨン又はフアクシミリによる無線通信業務 」と定義された。
    • 免許の有効期間は3年。ただし、当初の有効期限は電波法施行の日から3年(昭和28年5月31日)までとされた。
    • 音声混合器の操作に無線従事者は不要とされた。
引用の促音、拗音の表記は原文ママ

1952年(昭和27年)- 音声混合器又は映像混合器の操作に無線従事者は不要となった。 [11]

1953年(昭和28年)- 6月1日に最初の再免許がなされた。

  • 以後3年毎の5月31日に満了するように免許された。

1988年(昭和63年)- 免許の有効期間は5年となった。ただし、臨時目的放送局については「当該放送の目的を達成するために必要な期間」、中継国際放送を行う放送局については「免許の日から5年」となった。 [12]

  • 以後5年毎の10月31日に満了するように免許される。施行日の時点で免許されていた局の有効期限は経過措置により従前のまま。

1990年(平成2年)- 音声混合器又は映像混合器の操作に無線従事者を不要とする規定は告示に規定するものとなった。 [13]

1993年(平成5年)

  • 電波利用料制度化[14]、電波法別表第6第6項の「放送をする無線局」が、ただし多重放送の放送局は第7項の「多重放送をする無線局」が適用
  • コミュニティ放送局の有効期限の日は、これ以外の放送局と異なる日に。[15]

2007年(平成19年)- 空中線電力0.05W以下の受信障害対策中継放送用地上波デジタルテレビ放送局は定期検査の対象外に[16]

2008年(平成20年)

  • 空中線電力0.05W以下の地上波デジタルテレビ放送用中継局は簡易な操作の対象に[17]
  • 再免許に際し、アナログ地上波テレビ放送の免許の有効期限は「平成23年7月24日」までとされた。

2010年(平成22年)- 特定基地局の対象に移動受信用地上放送の受託放送事業者の放送局(現・移動受信用地上基幹放送の基幹放送局提供事業者の地上基幹放送局)が追加[18]

2011年(平成23年)

2015年(平成27年)- 空中線電力0.25W以下のFM放送ギャップフィラー中継局と空中線電力0.05W以下のテレビ放送局は定期検査の対象外に[22]

2016年(平成28年)- 空中線電力0.25W以下のFM放送ギャップフィラー中継局は簡易な操作の対象に[23]

局数の推移
年度 平成11年度末 平成12年度末 平成13年度末 平成14年度末 平成15年度末 平成16年度末
放送局 アナログ 26,807 26,712 26,524 25,402 22,608 23,945
デジタル 22 68
年度 平成17年度末 平成18年度末 平成19年度末 平成20年度末 平成21年度末 平成22年度末
放送局 アナログ 22,362 21,902 18,253 17,614 17,610 17,401
デジタル 2,600 3,882 5,214 7,666 8,002 11,766
年度 平成23年度末 平成24年度末 平成25年度末 平成26年度末 平成27年度末
特定地上基幹放送局 アナログ 2,596 2,644 2,489 2,468 2,552
デジタル 12,147 12,631 12,834 12,934 12,947
特定以外の地上基幹放送局 15 43 71 161 183
年度 平成28年度末 平成29年度末 平成30年度末 令和元年度末 令和2年度末
特定地上基幹放送局 アナログ 2,621 2,690 2,767 2,825 2,865
デジタル 12,954 12,959 12,958 12,963 12,993
特定以外の地上基幹放送局 10 12 16 16 2
年度 令和3年度末 令和4年度末      
特定地上基幹放送局 アナログ 2,887 2,890    
デジタル 12,990 12,992  
特定以外の地上基幹放送局 2  
総務省情報通信統計データベース
  • 地域・局種別無線局数[24](平成12年度以前)
  • 用途別無線局数[25](平成13年度以降)

による。

脚注

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  1. ^ 無線局免許手続規則第15条の4
  2. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  3. ^ a b 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項および平成19年総務省令第99号による同附則同条同項改正
  4. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第1項
  5. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正の施行日の前日
  6. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項
  7. ^ 無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 -新スプリアス規格への移行期限の延長-(総務省報道資料 令和3年3月26日)(2021年4月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  8. ^ 令和3年総務省令第75号による無線設備規則改正
  9. ^ a b 平成2年郵政省告示第240号 電波法施行規則第33条の規定に基づく無線従事者の資格を要しない簡易な操作(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
  10. ^ 昭和25年電波監理委員会規則第3号
  11. ^ 昭和27年電波監理委員会規則第5号による電波法施行規則改正
  12. ^ 昭和63年郵政省令第54号による電波法施行規則改正
  13. ^ 平成2年郵政省令第15号による電波法施行規則改正および平成2年郵政省告示第240号制定
  14. ^ 平成4年法律第74号による電波法改正の施行
  15. ^ 平成5年郵政省令第61号による電波法施行規則改正
  16. ^ 平成19年総務省令第58号による電波法施行規則改正
  17. ^ 平成20年総務省告示第328号による平成2年郵政省告示第240号改正
  18. ^ 平成21年法律第22号による電波法改正の施行および平成22年総務省令第51号による電波法施行規則改正
  19. ^ 平成23年総務省令第64号による電波法施行規則改正
  20. ^ 平成23年総務省令第102号による電波法施行規則改正
  21. ^ 平成23年法律第60号による電波法改正により、別表第6第7項が「受信障害対策中継放送をする無線局及び多重放送をする無線局」と改正
  22. ^ 平成27年総務省令第96号による電波法施行規則改正
  23. ^ 平成28年総務省告示第285号による平成2年郵政省告示第240号改正
  24. ^ 平成12年度以前の分野別データ(総務省情報通信統計データベース - 分野別データ)(2004年12月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  25. ^ 用途別無線局数 総務省情報通信統計データベース - 分野別データ

関連項目

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外部リンク

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