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実用数学技能検定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
実用数学技能検定
英名 Global Mathematics Certification
略称 数学検定・算数検定
実施国 日本の旗 日本
資格種類 民間資格[1]
分野 教育・教養
試験形式 筆記
認定団体 日本数学検定協会
後援 文部科学省
認定開始年月日 1992年(平成4年)
等級・称号 1級 - 11級、ゴールドスター・シルバースター
公式サイト https://www.su-gaku.net/
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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実用数学技能検定(じつようすうがくぎのうけんてい)は、公益財団法人日本数学検定協会が実施する数学算数検定であり、一般に数学検定または算数検定と呼ばれる。

概要

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  • 1990年に高田大進吉が個人で始めた数学能力検定が発端である。1992年任意団体・日本数学検定協会が発足し、1級 - 8級まで8階級を設けて広めた。1994年に文部省(現・文部科学省)により実用数学技能検定として発展させると決まり、同時に1級・準1級を新設し、従来の1級を2級に、2級を準2級に改称した。さらに1995年に1次を計算技能検定、2次を数理技能検定とする体制を確立する。そして1999年7月に文部省認可の公益法人・財団法人日本数学検定協会(以下、財団という)が発足した。
  • 2002年には文部科学省の「確かな学力の向上のための2002アピール」学びの薦めで活用が例示され、全国54大学学部において推薦入試で利用された。2003年12月に東京都葛飾区教育委員会が策定した「葛飾区教育振興ビジョン」で、小学校の卒業までに6級、中学校の卒業までに3級の取得を目安に掲げている。その後、文京区でも教育改革ビジョンの第1次答申で同様の内容が盛り込まれた。この他にも基礎基本の定着、確かな学力の向上、主体的な学習活動の育成のために、本検定の活用を掲げる教育行政が増えてきている。日本以外にも同様の資格試験(英語: Suken, Global Mathematics Certification)を発足させている。
  • 以前は「数検」の通称で親しまれていたが、数検は財団設立者高田大進吉個人の所有する商標で多額の使用料が必要だったため、財団では2011年7月から、検定の通称を「数検」から「数学検定」に改めた。
  • 通称は5級 - 1級が「数学検定」・12級(かず・かたち検定)- 6級が「算数検定」である。
  • 財団に対しては、平成21年に文部科学省生涯学習政策局より公益法人としての事業運営について改善指導がなされ、平成21年11月27日付で当該協会理事長名で「法人運営の改善経過について」(詳細については、http://www.suken.net/zaidan/naibu/naibu_pdf/houkoku.pdf )なる報告がなされた。このことに関して公益法人に対する市民調査委員会が当時の文部科学大臣 高木義明氏及び同副大臣 鈴木寛氏を介し文部科学省生涯学習政策局宛てに平成22年12月21日付で公開質問状を提出した模様であるが、その後の経緯は不明のままである。
  • 2008年に財団の所在地の隣接地(地番が1号だけずれている)を所在地とする日本数学検定協会株式会社(以下、株式会社という)が設立・登記され、財団設立者の高田大進吉が代表取締役に就任した。ほどなくして財団が実施する実用数学技能検定(通称・「数学検定」)が存続したまま、株式会社が数学検定(通称・「数検」)を開始、また財団は所在地を東京都台東区上野5-1-1に変更し、数学検定が何らかの理由により分裂したことが明らかになった。
  • 2018年12月18日に無学年制算数学習タブレットRISU 算数を提供するRISU Japanと飛び級人材育成を目指し業務提携開始。2019年2月2日より学習レベルを成績スコアから自動判定し、数学検定・算数検定の受検階級を推薦するシステムの提供を開始。[2][3]

検定概要及び技能の概要

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括弧内のレベルは日本数学検定協会公表の目安である。受検者の年齢学歴などの属性によって、受検可能な級が制限されることはない。

数学検定

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1級 - 5級の間を数学検定と呼び、6級以下を算数検定と呼ぶ。

1級(大学程度・一般)

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検定の内容
技能の概要
情報科学社会の発展や生環境の保全あるいは経済活動などを計画的に推進するために必要な数学技能
  1. 自然科学に密着した数学上の諸技法を駆使し、諸法則を活用することができる。
  2. 抽象的な思考ができる。
  3. 身の回りの事象について、数学的に推論ができる。

準1級(高校3年生程度)

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検定の内容
数列極限関数と極限、いろいろな関数(分数関数無理関数)、合成関数逆関数、微分法・積分法、行列の演算と一次変換、いろいろな曲線、複素数平面、基礎的統計処理、コンピュータ(数式処理)など
技能の概要
情報科学社会に対応して生じる課題や問題を迅速かつ正確に処理するために必要な数学技能
  1. 自然現象や社会現象の変化の特徴をつかみ、表現することができる。
  2. 身の回りの事象を、数学を用いて表現できる。

2級(高校2年生程度)

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検定の内容
証明、分数式、高次方程式、いろいろな関数(指数関数対数関数三角関数・高次関数)、直線円の方程式軌跡と領域、微分係数と導関数不定積分と定積分、等差数列等比数列ベクトル複素数方程式の解、確率分布と統計的な推測、コンピュータ(数値計算)など
検定の概要
日常生活や業務で生じる課題や問題を合理的に処理するために必要な数学技能(数学的な活用)
  1. 複雑なグラフの表現ができる。
  2. 情報の特徴をつかみ、グループ分けや基準を作ることができる。
  3. 身の回りの事象を数学的に発見できる。

準2級(高校1年生程度)

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検定の内容
集合、数と式、1元1次不等式、二次関数・グラフ、二次不等式、三角比、データの分析、場合の数、確率、整数の性質、n進法図形の性質、コンピュータ(流れ図近似値)、統計処理の基礎、離散グラフ数学の歴史的観点など
検定の概要
日常生活や社会活動に応じた課題を正確に処理するために必要な数学技能(数学的な活用)
  1. グラフや図形の表現ができる。
  2. 情報の選別や整理ができる。
  3. 身の回りの事象を数学的に説明できる。

3級(中学校3年生程度)

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検定の内容
平方根式の展開因数分解二次方程式三平方の定理の性質、相似比・面積比・体積比、簡単な二次関数、簡単な統計、近似値誤差など
検定の概要
社会で創造的活動を行うために役立つ基礎的数学技能
  1. 簡単な構造物設計計算ができる。
  2. 斜めの長さを計算することができ、材料の無駄を出すことなく切断したり行動したりすることができる。
  3. 製品や社会現象を簡単な統計図で表示することができる。

4級(中学校2年生程度)

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検定の内容
文字を用いた簡単な式の四則混合計算文字式の利用と等式の変形、連立方程式平行線の性質、平行線と線分三角形の合同条件四角形の性質、相似条件、一次関数散布図相関表、四分位範囲箱ひげ図 など
検定の概要
社会で主体的かつ合理的に行動するために役立つ基礎的数学技能
  1. 二つのものの関係を文字式で合理的に表示することができる。
  2. 写真地図・印刷物の拡大・縮小時の材料計算ができる。
  3. 簡単な情報をヒストグラムなどで表示することができる。

5級(中学校1年生程度)

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検定の内容
負の数を含む四則混合計算、文字を用いた式、一次式の加法減法、一元一次方程式、基本的な作図平行移動・対称移動・回転移動空間における直線や平面位置関係、扇形の弧の長さと面積、平面図形の構成、空間図形の切断・投影展開柱体錐体表面積体積直交座標、負の数を含む比例反比例度数分布表とヒストグラム、平均値と範囲、確率の基礎など
検定の概要
社会の変化に対応して生活するために役立つ基礎的数学技能
  1. 負の数がわかり、社会現象の実質的正負の変化をグラフに表すことができる。
  2. 基本的な図形を正確に描くことができる。
  3. 二つのものの関係や変化を直線で表示することができる。

算数検定

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12級(かず・かたち検定)~6級の間を算数検定と呼ぶ。

6級(小学校6年生程度)

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検定の内容
整数・小数分数の四則混合計算、円の面積、柱体の体積、速さの理解、縮図・拡大図、対称性などの理解、基本的単位の理解、比の理解、比例や反比例の理解、資料の整理、簡単な文字と式、簡単な測定や計量の理解など
検定の概要
身近な生活に役立つ操作を伴う算数技能
  1. 容器に入っている液体などの計量ができる。
  2. 地図上で実際の大きさや広さを算出することができる。
  3. 二つのものの関係を比やグラフで表示することができる。
  4. 簡単な資料の整理をしたりにまとめたりすることができる。

7級(小学校5年生程度)

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検定の内容
整数・小数の四則混合計算、約数倍数、分数の加法・減法、三角形・四角形の面積、三角形・四角形の内角の和、立方体直方体の体積、平均、単位量あたりの大きさ、多角形図形の合同、円周の長さ、柱体、簡単な比例、基本的なグラフの表現、割合百分率の理解など
検定の概要
身近な生活に役立つ算数技能
  1. コインの数や紙幣の枚数を数えることができ、金銭の計算や授受を確実に行うことができる。
  2. 複数の物の数や量の比較を円グラフや帯グラフなどで表示することができる。
  3. 消費税などを算出できる。

8級(小学校4年生程度)

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検定の内容
整数の四則混合計算、小数・同分母分数の加法・減法、概数の理解、正方形長方形の面積、立方体・直方体の理解、角の大きさ、平行・垂直の理解、平行四辺形ひし形台形の理解、表と折れ線グラフ、伴って変わる二つの数量の関係の理解、そろばんの使い方など
検定の概要
身近な生活に役立つ算数技能
  1. 都道府県人口の比較ができる。
  2. 部屋や家の広さを算出することができる。
  3. 単位あたりの料金から代金が計算できる。

9級(小学校3年生程度)

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検定の内容
整数の表し方、整数の加法・減法、2位数を掛ける乗法、1位数で割る除法、小数・分数の意味と表し方、小数・分数の加法・減法、長さ・重さ時間の単位と計算、時刻の理解、円と球の理解、二等辺三角形正三角形の理解、数量の関係を表す式、表や棒グラフの理解など
技能の概要
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能
  1. 色紙などを、計算して同じ数に分けることができる。
  2. 調べたことを表や棒グラフにまとめることができる。
  3. 体重を単位を使って比較できる。

10級(小学校2年生程度)

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検定の内容
百の位までの加法・減法、乗法の意味と九九、簡単な分数、三角形・四角形の理解、正方形・長方形・直角三角形の理解、箱の形、長さ・水の体積と単位、時間と時計の見方、人数や個数の表やグラフなど
技能の概要
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能
  1. 商品の代金やおつりの計算ができる。
  2. 同じ数のまとまりから、全体の数を計算できる。
  3. リボンの長さやコップに入る水の体積を単位を使って表すことができる。
  4. 身の回りにあるものを分類し、整理して簡単な表やグラフに表すことができる。

11級(小学校1年生程度)

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検定の内容
百の位の数の表し方、十の位までの加法・減法、時計の見方、いろいろなものの形と位置など
技能の概要
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能
  1. 画用紙など100を超えるものの数を数えて、数字で表すことができる。
  2. 10を超える数の加法及び減法ができる。
  3. 缶やボールなど身の回りにあるものの特徴を捉えて、分けることができる。

12級(かず・かたち検定)

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検定の内容

1次、2次の区別はない

具体例による大小・長短・多少など簡単な比較、前後・左右の理解、位置の判断、具体例による二つのものの過不足・増減・軽重・広狭の判断、同じと違うの理解、個数や順番、10までの数字の理解と表現、10までの数の加法・減法、積み木の個数など

いずれの級も検定の内容に挙げた項目の全てが出題されるわけではない。また、内容に挙げていない項目が出題されることがある

合格基準

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  • 1級・準1級:1次で70%程度(7点満点)の得点で、かつ2次で60%程度(4点満点)の得点
  • 2級:1次で70%程度(15点満点)の得点で、かつ2次で60%程度(5点満点)の得点
  • 準2級:1次で70%程度(15点満点)の得点で、かつ2次で60%程度(10点満点)の得点
  • 3級 - 5級:1次で70%程度(30点満点)の得点で、かつ2次で60%程度(20点満点)の得点
  • 6級 - 8級:70%程度(30点満点)の得点(1次・2次の区分なし)
  • 9級 - 12級:70%程度(20点満点)の得点(1次・2次の区分なし)

その他

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以下の内容は、2022年度に実施される検定について記述したものである。

  • 団体受検は、学校学習塾などが実施している。志願できる検定級は準1級 - 11級。2012年度は15回(ただし、準1級は11回、9級 - 11級は13回、12級は2回)設定されている。5人以上で団体受験ができる。
  • 個人受検は4月10日・7月24日・10月30日(いずれも日曜日)に実施する。
  • 2次の数理技能検定は、電卓定規コンパス分度器を使用できる。
  • 1級・準1級・2級のいずれかに合格すると当検定の問題を作成でき、採用された場合は作成料が作問者に支払われる。また、高等学校卒業程度認定試験の必修科目「数学」が免除される。
  • 大学・短期大学専門学校高等学校・中学校での入学試験の優遇があるほか、単位認定校も増加している。
  • 数学のビジネスへの活用を目的として同団体が2006年よりビジネス数学検定WBTで実施している。同検定の第14回以前はスコア方式、以降は1級から3級の級別で評価される。

脚注

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  1. ^ かつては文部科学省認定だったため公的資格だった。(現在は文科省後援の民間資格)
  2. ^ 算数検定とRISU Japan、飛び級人材育成を目指し業務提携”. RISU Japan(リスジャパン)株式会社. 2023年3月13日閲覧。
  3. ^ 算数検定とRISU JAPAN、飛び級人材育成を目指し新サービスを共同開発”. RISU Japan(リスジャパン)株式会社. 2023年3月13日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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