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第3族元素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
3
周期
4 21
Sc
5 39
Y
6 57
〜71

*
7 89
〜103

*

第3族元素(だいさんぞくげんそ)とは周期表の第3カラムに属する元素。ただし、IUPACが周期表の公式な標準を定めていないため、採用する周期表により複数の異なる定義がある。

  1. スカンジウム (21Sc)、イットリウム (39Y)、ランタン (57La)、アクチニウム (89Ac)
  2. スカンジウム (21Sc)、イットリウム (39Y)、ルテチウム (71Lu)、ローレンシウム (103Lr)
  3. スカンジウム (21Sc)、イットリウム (39Y)、ランタノイド (57La-71Lu)、アクチノイド (89Ac-103Lr)
  4. スカンジウム (21Sc)、イットリウム (39Y)

以下では、3.のグループについて述べる。

スカンジウム族とも呼ばれる。スカンジウム族にも、第3族と同様に意味の曖昧さがある。

スカンジウム、イットリウム、ランタノイド(アクチノイドは含まない)は、希土類元素(レアアース)と総称される。

第3族は第1族や第2族と異なり、閉殻になっていないd軌道(あるいはf軌道)を持つことから遷移元素として取り扱われる。

性質

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電子配置を持つ。3価の陽イオンとなりやすい。

内殻電子に不対電子や空軌道を持つ電子構造を有する。(dブロック元素fブロック元素

電子配置 第1イオン化エネルギー
(kJ mol-1)
第2イオン化エネルギー
(kJ mol-1)
第3イオン化エネルギー
(kJ mol-1
電子親和力
(電子ボルト)
電気陰性度
(Allred-Rochow)
イオン半径
(pm; M3+)
金属結合半径
(pm)
融点
(K)
沸点
(K)
酸化還元
電位 E0 (V)
スカンジウム
[Ar]3d14s2 631.0 1235 2389 0.188 1.20 88
(6配位)
101
(8配位)
163 1814 3103 -2.03
イットリウム
[Kr]4d15s2 615.6 1181 1980 0.307   104
(6配位)
116
(8配位)
178 1799 3609 -2.37
ランタノイド ランタン
[Xe]5d16s2 538.1 1067 1850 0.5 108 117
(6配位)
130
(8配位)
1.87 1193 3730 -2.37
セリウム
[Xe]4f15d16s2 534.4 1047 1949 <0.5 1.06 115
(6配位)
128
(8配位)
183 1071 3699 -2.34
プラセオジム
[Xe]4f36s2 527.2 1018 2086 <0.5 1.07   182 1204 3793  
ネオジム
[Xe]4f46s2 533.1 1034   <0.5 1.07 112
(6配位)
181 1297 3373 -2.32
プロメチウム
[Xe]4f56s2 538.6 1052   <0.5     180 1373 3273  
サマリウム
[Xe]4f66s2 544.5 1068   <0.5     179 1345 2076 -2.30
ユウロピウム
[Xe]4f76s2 547.1 1085   <0.5   109
(6配位)
198 1099 1800 -1.99
ガドリニウム
[Xe]4f75d16s2 593.4 1170   <0.5   108
(6配位)
179 1585 3523  
テルビウム
[Xe]4f96s2 565.8 1112   <0.5     176 1629 3503  
ジスプロシウム
[Xe]4f106s2 573.0 1126   <0.5   105
(6配位)
175 1680 2840  
ホルミウム
[Xe]4f116s2 581.0 1139   <0.5     174 1743 2968  
エルビウム
[Xe]4f126s2 589.3 1151   <0.5     173 1795 3136  
ツリウム
[Xe]4f136s2 596.3 1163 2288 <0.5     172 1818 2220  
イッテルビウム
[Xe]4f146s2 603.4 1174 2430 <0.5     194 1097 1467 -2.22
ルテチウム
[Xe]4f145d16s2 523.5 1340   <0.5 114 100
(6配位)
1.72 1925 3675  
アクチノイド アクチニウム
[Rn]6d17s2 499 1170       126
(6配位)
188 1323 3473 -2.13
トリウム
[Rn]6d27s2 587 1110 1930   1.11 108
(6配位)
180 2028 5061  
プロトアクチニウム
[Rn]5f26d17s2 568           161 2113 4300  
ウラン
[Rn]5f36d17s2 597.3       1.22 117
(6配位)
138 1405 2070 -1.80
ネプツニウム
[Rn]5f46d17s2 604.6           130 910 4273 -1.83
プルトニウム
[Rn]5f67s2 560       1.22 114
(6配位)
160 913 3503 -2.00
アメリシウム
[Rn]5f77s2 580           181 1449 2284 -2.07
キュリウム
[Rn]5f76d17s2 588             1618    
バークリウム
[Rn]5f97s2 608             1323    
カリホルニウム
[Rn]5f107s2 610             1173    
アインスタイニウム
[Rn]5f117s2 629             1133    
フェルミウム
[Rn]5f127s2 641                  
メンデレビウム
[Rn]5f137s2 650                  
ノーベリウム
[Rn]5f147s2 660                  
ローレンシウム
[Rn]5f147s27p1 470                  

第3族元素は+3価(あるいは+2価)の状態を取り易く、化学的性質も互いによく似ている。中でもイットリウムはジスプロシウムやホルミウムとよく似ている。

相違点を挙げると、スカンジウムはある程度アルミニウムとの類似性を示し、共有結合半径イオン半径も、どのランタノイド元素よりも小さい。またスカンジウムの酸化物の塩基性はランタノイド元素の酸化物より弱く、スカンジウムの塩化物はランタノイド元素の酸化物より揮発性が高い。

一方、イットリウムの共有結合半径もイオン半径もジスプロシウムやホルミウムとほぼ同じで、水酸化物の塩基性など化学的性質も両者によく似ている。

アクチノイド元素もランタノイド元素と性質がよく似ているが、+5価以上の高次酸化状態を取りやすい傾向がある。またランタノイド元素やアクチノイド元素のイオンは有色のものが多く、それらイオンの大半が常磁性を示す(La3+、Ce4+、Yb2+、Lu3+が常磁性を示さない)。

引用文献

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  1. 化学便覧 基礎編, 日本化学会編, 改訂5版, 丸善
  2. R.B.ヘスロップ, K. ジョーンズ, 無機化学, 東京化学同人

関連項目

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