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近鉄ク6561形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

近鉄ク6561形電車(きんてつク6561がたでんしゃ)とは、近畿日本鉄道1952年に製作した、名古屋線用の通勤電車である。

サ531(ク6561形6561号車)

概要

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名古屋線の急行用車両を増強する為、1952年3月に近畿車輛で6561 ‐ 6565の5両が製造された[1]。大阪線用の制御車として製造されたク1560形と同時期の製造であるが、内装や扉の数などが同車と異なる。

車体・台車

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名古屋線では初となる全鋼製19 m車体を採用しており、片側2扉・窓の配置はd2D10D3である[2]。またノーシルノーヘッダ・張り上げ屋根となっている[3]。ブレーキは全車ともA動作弁のA自動空気ブレーキである[4]

台車はK-67を装備している[5]

車内設備

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車内は両端がロングシート・扉間は10列の転換クロスシートである[6][3]

運用・改造

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ク6561は1958年8月に6421系と組み特急用として使用するため付随車に改造している[6][1]。特急として使用することから扉を車端寄りに移設し、オールクロスシートに改造した。また便所・洗面所・冷房装置・シートラジオなどを取り付けている[6]。この改造によりサ6531形に形式変更を行った。

ク6561形6561 → サ6531形6531

他の4両はその後も主に急行として使用され、1959年の名古屋線改軌の際には6531・6562がKD-31B形台車に履き替えている[3]。一方それ以外はD-18A台車を改造して使用した[3]

1960年以降、10100系10400系などの特急車が増備されたことにより、6421系などの従来の特急車は順次格下げとなり、サ6531もその対象となった[1]。格下げにより3扉化され扉付近はロングシート化されている[3]。冷房装置はしばらく残存していたが後に撤去された[2]

1969年6月には全車に2灯化が実施されている[5]

1975年にはク6562・ク6563が付随車になりサ6561形に形式変更となった[5]。改造にあたっては機器撤去のみであり、乗務員室扉は残存している[7]

ク6561形6562・6563 → サ6561形6562・6563

1977年にはサ6531を除く全車両が養老線に転属している。この際、台車をKD-32Nに交換している[5]

1979年にはサ6531も養老線に転属し[注 1][9]、台車をKD-32Nに交換した[10]。また同年サ6562とサ6563は運転台機器を再度設置。6563は再びク6561形となり、6562は近代化計画で電動車が不足するため、MMC制御器と6441系と同じ三菱電機MB-148AF、パンタグラフも搭載し、一形式一両の制御電動車モ6561形に改造されている[1][11][12]

サ6561形6562 → モ6561形6562
サ6561形6563 → ク6561形6563

その後1984年4月に支線区の番号が3桁化された事から、この時点で唯一残存していたサ6531は千の位の6を取り、サ531に改番された[13]

サ6531形6531 → サ531形531

その後もサ531は420系の中間車として使用された。

廃車

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ク6563 - 6565は1983年9月に、モ6562は1984年3月に廃車され、これによりサ6531(→サ531)以外の車両は全廃となった[11][14]

サ531についても600系の転入により、1992年12月8日付で廃車となったため[15]、これにより本形式は全廃となっている。

脚注

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注釈

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  1. ^ 団体輸送を考慮し、トイレは残されている[8]

出典

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  1. ^ a b c d 鉄道ピクトリアル1981年12月臨時増刊号(No.398)『近畿日本鉄道』「私鉄車両めぐり[119] 近畿日本鉄道」229頁
  2. ^ a b 鉄道ピクトリアル 1975年11月臨時増刊号(No.313)『近畿日本鉄道』「私鉄車両めぐり[106] 近畿日本鉄道」 88 - 90頁
  3. ^ a b c d e 鉄道ピクトリアル 1969年4月号(No.222)『私鉄車両めぐり(78) 近畿日本鉄道[4]』 72 - 73頁
  4. ^ 三好好三『近鉄電車』p.162
  5. ^ a b c d 東京工業大学鉄道研究部 『新版 私鉄電車ガイドブック 近鉄』126頁
  6. ^ a b c 鉄道ピクトリアル 1960年3月号(No.104)『私鉄車両めぐり(38) 近畿日本鉄道[3]』 46 -47頁
  7. ^ 東京工業大学鉄道研究部 『新版 私鉄電車ガイドブック 近鉄』136頁
  8. ^ 鉄道ピクトリアル 1992年12月臨時増刊号(No.569)『近畿日本鉄道』「私鉄車両めぐり[148] 近畿日本鉄道」 262頁
  9. ^ 飯島・藤井・井上『私鉄の車両13 近畿日本鉄道II』p.123
  10. ^ 飯島・藤井・井上『私鉄の車両13 近畿日本鉄道II』p.178-179
  11. ^ a b 清水武『養老線電車回顧』p.38 - 39
  12. ^ 東京工業大学鉄道研究部 『新版 私鉄電車ガイドブック 近鉄』173頁
  13. ^ 鉄道ピクトリアル 1985年5月臨時増刊号『新車年鑑 1985年版』150頁
  14. ^ 鉄道ピクトリアル 1985年5月臨時増刊号『新車年鑑 1985年版』154頁
  15. ^ 鉄道ピクトリアル 1993年10月臨時増刊号『新車年鑑 1993年版』198頁

参考文献

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  • 鉄道ピクトリアル
    • 「特集 近畿日本鉄道」『鉄道ピクトリアル』第104号、電気車研究会、1960年3月。 
    • 『鉄道ピクトリアル』第222号、電気車研究会、1969年4月。 
    • 「近畿日本鉄道特集」『鉄道ピクトリアル』第313号、電気車研究会、1975年11月。 
    • 「近畿日本鉄道特集」『鉄道ピクトリアル』第398号、電気車研究会、1981年12月。 
    • 「特集 近畿日本鉄道」『鉄道ピクトリアル』第569号、電気車研究会、1992年12月。 

外部リンク

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関連項目

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