降水型
降水型(こうすいかた、こうすいがた)とは、
- 形状などによる降水の種類のこと。雨、雪、雹など。
- 水の形態と関連させた、成因による降水の種類のこと。温かい雨、冷たい雨、細氷型の3種類がある。雨#雨の形成参照。
- 総観気象学的観点から見た、成因による降水の種類のこと。本項で解説する。
- 気候区分の区分基準のひとつで、降水量やその季節変化をもとにした降水の種類のこと。ケッペンの気候区分では、w、s、fなどの降水型がある。
降水型(こうすいかた、こうすいがた)とは、総観気象学的観点から見た、成因による降水の種類のこと。降水現象の原因を、気圧配置に代表されるような広域的な気象の状態[1]から探っていくと、降水をいくつかの型に分けることができる。
種類
[編集]前線性
[編集]前線性降雨。暖気と寒気の衝突によってできる前線の影響が大きい降水。降水域(降水帯)は帯状に分布する。寒冷前線の場合はあまり長くない時間にまとまった雨が降り、温暖前線の場合は比較的長い時間にあまり多くない量の雨が降る。
低気圧性
[編集]低気圧性降雨。渦状の循環を伴う低気圧の影響が大きい降水。降水域は低気圧の中心部(コア)付近に円形にできる。前線を伴う低気圧の場合は、前線の降水域とつながる。低気圧の性質にもよるが、比較的長い時間にあまり多くない量の雨が降ることが多い。
地形性
[編集]地形性降雨。地形性の上昇気流の影響が大きい降水。降水域は山脈と平行に分布し、山頂から見て風上側の山麓に分布する。また、地形性降雨の際は、山頂から見て風下側の山麓に、フェーン現象による乾燥した風が吹く雨陰が発生する。地形によってさまざまで、海洋の近くの山脈では強い雨、盆地側の山脈や内陸の山脈では弱い雨になりやすい。低い山脈では風下側にも雨が及んで、地形性になりきれずに対流性になる。
対流性
[編集]対流性降雨。非地形性の上昇気流の影響が大きい降水。降水域は、広域的な大気不安定の場合円形のものが散在し、収束線の場合帯状に分布する。短い時間にまとまった雨が降り、降水量の変化が激しい。熱帯の海洋で多く見られる。また、熱帯や夏季の温帯の陸上では、地形の影響を若干受けた対流性降雨が多く見られる。スコールや夕立と呼ばれるものの多くがこれに該当する。
台風性
[編集]台風性降雨。台風の影響が大きい降水。対流性降雨、前線性降雨、低気圧性降雨の特徴を持つ。降水域は、台風の中心の周りに太いドーナツ状に分布し、中心部(目)付近は降水が無いか少ない。周辺部ではスパイラル・バンドに伴う帯状の降水域が螺旋状に複数伸び、中心から離れたところには降水域の塊を形成することがある。
脚注
[編集]出典
[編集]- 雨はなぜ降るの? - ウェイバックマシン(2003年6月28日アーカイブ分) 關 浩和
- あぜっ地理(気候要素~気温・降水・風~) 畔田豊年