米政府が、中国を対象にした新たな半導体輸出規制を検討していることが分かった。これまでは先端半導体の中国などの「懸念国」への直接的な輸出を規制していたが、今後はこれらの国と取引のある東南アジアや中東などの国々にも規制対象を広げる。これにより中国が現在利用している米制裁の抜け道をふさぐ狙いがある。
東南アジアと中東、対中規制の抜け道に
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。東南アジア諸国は最近、中国が米国から直接入手できない高度なAI半導体を購入するための抜け道と見られることが多い。シンガポールなどの国では非公式市場が出現しているという。
密輸業者は通常の貨物や個人の手荷物を介して、米エヌビディア(NVIDIA)製の最先端AI半導体を密かに中国に持ち込んでいる。さらに、中国企業は米国の規制を回避するために、東南アジアで子会社を設立し、先端半導体を購入している。
アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなどの国々は最近、独自のAIエコシステム(経済圏)の構築に数十億米ドルを投じており、中東も米政府の監視対象になってきた。
米政府、主要ファウンドリーに書簡
これとは別に米政府は最近、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子などの主要ファウンドリー(受託生産)企業に対し、いくつかの制限事項を通知する書簡を送った。「先進的な半導体製造技術を用いて製造された半導体や、特定の性能基準に達する半導体を中国に輸出するためには、ライセンスを申請する必要がある」と書かれている。
関係者によると、これらの基準により、サイズやトランジスタ数、AIモデルのトレーニングに利用可能な半導体を制限する。以前の規則でも先端GPU(画像処理半導体)やメモリー半導体の中国への出荷を制限していたが、新規則ではメーカーに求める禁止事項をより明確にする。