翼なき鳥の凱旋歌

王道ながら熱いストーリー、行動原理が明確なキャラクター、よく練られた設定と世界観。これぞ、面白い物語のお手本というべき作品でした。

魔女とレースというテーマ選びの巧さや、展開のテンポの良さもあり、一気に読みきることが出来ました。

web小説で、これほど面白いファンタジーに出会えるとは。

【王道】を研ぎ澄ませばここまで面白い作品へと昇華されるものか。そう驚かずにはいられない作品です。いやまぁ、主人公はちょっと違う気もしますが。

劇中2つの勢力に属するそれぞれの魔女が、大切なものを己の箒に込め、空中レースにて激突します。いかにして魔女の勢力は生まれたのか。彼女達の想い、信念とは。テンポ良くストーリーが進むにつれ、加速度的に面白くなるガール・ミーツ・ババア！
ただただ、【面白い】の粋を集めた作品ですね。

わりと短めですから、引きこまれたら最後、一気に最後まで読めちゃうのもいいですね。

誰しも、それぞれの立場で、信念を持って生きている。
当たり前かもしれないけど、大事なことに気づかせてもらえました。

本作の魔女だってそうだ。
廃れてしまった旧世代。
進化を続ける新世代。
それぞれの信念のもとにレースに賭ける。

非常に読みやすく、素直に楽しめる名作だと思いました。

熱い。ひたすら熱い。
忘れていた思いに胸を焦がすというのはこういうことだと思います。
上質な文章と魅力的なキャラクターも相まって、素晴らしい作品だと思います。
本当に「おもしろい」作品だと思いました。

ちょっとした短編映画を見終わったような気分でございます。長過ぎず、されど短過ぎない。テンポよくストーリーが進み、起承転結が綺麗に収まってて凄いと思わず唸ってしまいました。
話の終わりがこうもスマートに決まると、これぐらいが丁度いいものなんだなと思ってしまいました。

　流行の設定ではありません。主人公は女性、しかも老婆です。なのに、なぜでしょう？　しっかり感情移入できてしまう。心が震え、熱くなる。

　作品を読み終えた後、感動と共に頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けました。そう「大切なものを思い出せ！」と誰かから叱咤されたかのような……私は大切な事を忘れていたのかもしれません。そうです。こうゆう作品が「おもしろい」のです。

　素晴らしい物語でした。感謝と、尊敬、そして惜しみない賞賛と共に、三つの★をつけさせていただきます。というか、★五つぐらいつけたい。今まで「カクヨム」で読んだ作品の中で一番だったかもしれません。全力でお勧めいたします。

この作品を読んでいると、自然と頭の中に宮崎アニメが上映される。
しかも、昨今のちょっと枯れた趣のある作風じゃない。
カリオストロの城や、ラピュタのような、ワクワクする冒険活劇の宮崎アニメだ。
ふてぶてしいまでに元気一杯の老婆、高慢ちきなライバル、すっとぼけたところのあるヒロインといったキャラクターたちの生き生きとしたやり取りは楽しく、箒レースシーンは迫力満点、読み終えた時に「なんと、気持ちの良い連中なんだろう」と思わず呟いてしまうほどに心地よい読後感も素晴らしい。
「面白いとは、こういうことだ」と言わんばかりに完成度の高い短編だ。

ただただ好みの作風です。面白い。
設定が良い、キャラが良い、そしてなにより演出が良い。
ジジイキャラの大好きな私ですが、ばばあもいいもんですね（おい

王道は外さず、しかし王道に依らない。

クィディッチなんざ目じゃねえぜ！
濃厚な魔女っ子ストーリーを堪能していただきたい。