概要
吹き上げる風に乗って連れて行って。君が行ったことのないところまで。
三月。
キミエは幼馴染み達と共に、今はもう廃校となった小学校に集まった。二分の一成人式の後で埋めたタイムカプセルを、十年ぶりに掘り返すためだ。
忘れがたい人が埋めたカプセルの蓋を開けた時、キミエは何をみつけ何を思うのか?
幼心のまだ名前のない感情を、ショパンの調べと共に贈る物語。
カクヨム甲子園2020:ショートストーリー部門大賞受賞
キミエは幼馴染み達と共に、今はもう廃校となった小学校に集まった。二分の一成人式の後で埋めたタイムカプセルを、十年ぶりに掘り返すためだ。
忘れがたい人が埋めたカプセルの蓋を開けた時、キミエは何をみつけ何を思うのか?
幼心のまだ名前のない感情を、ショパンの調べと共に贈る物語。
カクヨム甲子園2020:ショートストーリー部門大賞受賞
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!文字の連鎖反応
小さい頃、漢字ドリルにあった「光」という字が、全然光っていないことに驚きました。当時のことはあまり覚えていませんが「そういうものだ」と頭に叩き込んだ記憶があります。しかし今になり小説を読むと、文章が目が痛いほどに発光する時があります。文字の奥には鮮明な景色が見えるし、ときには人の感情までもが露わになる。私はその発光する瞬間が好きで日々小説の世界に潜り込むのであります。
そして今回カクヨム甲子園2020にて大賞を受賞した、この『たんぽぽ娘』という小説。これがどうも奇妙かつ魅力的な光り方をするのです。「二分の一成人式」で埋めたタイムカプセルを20歳になった主人公たちが掘り起こす物語の中に、組み込…続きを読む - ★★★ Excellent!!!フィクションであることを忘れ、この小説の中に真実の物語を見る。
タイムカプセル掘り起こし。経験されたかた、おられるかな?
本作『たんぽぽ娘』はそのエピソード話。
色鮮やかに蘇る想い出が主人公の回想で語られるのですが、その切り替わりが鮮やか。もう、冒頭で既に筆者朔さんの筆力に悶絶です。
主要登場人物は二名。
一人は「かばきみえ」さん。あだ名、かばちゃん。
可愛いあだ名。おデブでのっそり動くその姿を揶揄したものではなさそうなんです。彼女の容姿が語られることはないのですが、お友だちととても仲良くやっている様子から、いじられキャラ的なものは感じない。だから安心してそのあだ名を読者はすんなり受け入れることができる。
ただね、彼女は自身の姿にコンプレックスがあ…続きを読む