概要
それはかつて、同じ劇団『エターナル・ワールド』で活動していた看板女優、渡部エリーからだった。
皆それぞれ家庭を持ち、劇団を辞めていき、やがて解散した。
そんな中で彼女はまた、ミュージカルの舞台に上がろうとしている。
もう一度、彼女に会えるかもしれない。俺が大好きだった、『舞台上のエリー』に……
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- ★★★ Excellent!!!本当に恐ろしいのは人かもしれない
本作のジャンルはホラー。しかし、この作品には幽霊や妖怪といったものは出てこない。
が、それに類する恐ろしい生き物は出てくる。それは人。
主人公は、元々とある小さな劇団に所属していた劇作家。彼には憧れの看板女優がいた。それが同じ劇団に所属するエリーだ。
彼女がいればどんな劇でも輝く、と主人公はエリーに過剰ともいえる信頼と期待を寄せていた。
だが前述したように劇団は解散。主人公はエリーの舞台を書くことも見ることもできなくなってしまう。
そして数年後。
主人公の元に、エリーからの手紙が届く。
これが、すべての「幕開け」だった。
ホラーというジャンル上、万人にお薦めできるかというとちょっと躊躇…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悪名は無名に勝る……のか?
演劇のお話です。
舞台女優のエリーは以前の正攻法で挑む自分を否定し、注目してもらうために過激な方向へどんどん進んでいくのですが、はたしてそれでよかったのかどうか……。
終盤のエリーのセリフは彼女の悲痛な思いを感じさせられて、こんなことして本当に幸せなのかなぁと思ってしまいました。
最後まで読んだあと、エリーは戦場に行った、というタイトルを見て、改めてこの作品のメッセージやテーマについて考えさせられました。
エリーが進んだ道……それは過激で冒涜的で非道徳的で肉体的にも精神的にも傷つく者がたくさんいて……まさに戦場と形容すべき場所でしょう。
この作品で描かれていることは、現実の皆さん…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悍ましいミュージカル、もう観たくない!
エリーの目的は何?ジャンルがホラーなので、そのつもりで読んでいるけど、どう落とすのかが気になって読み進めてしまう作品です。
かつて劇団の作家をやっていた主人公の元に、当時の看板女優だったエリーから手紙が来た。再びミュージカルの舞台に立つという内容。
主人公はもう一度エリーの演技が見たくて劇場に足を運んだが、そこで地獄のような舞台を見せられることになり、家族を連れて行った主人公の家庭にまで影響が出てしまう。
エリーは、主人公の知っているエリーではなくなった。
かつて、どんな役でもエリーの手にかかれば光り輝き、会場は歓声の渦に巻き込まれていたというのに。
一体エリーは何をしたいのか?どう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!突き抜けたものには神が宿る。たとえそのパラメータがどんなものであっても
尖鋭的、前衛的、という言葉について色々と考えさせられる作品でした。
主人公である篠織は知り合いのエリーがやっている舞台を見に行くことになる。
しかし、エリーが関わっている劇団の「演目」は色々な意味で問題のあるものばかりとなっていた。
時には大勢の前でブタを解体、はたまた不謹慎すぎるネタを親子連れが溢れる中で披露。
もちろん、結果は大ブーイング。劇場は出禁となり、あまりのひどさに逆に話題になるような事態にも。
だが、エリーは止まらない。次々と「ヤバいもの」を世に放ち続ける。それに振り回される篠織と、そのヤバさの波紋を受けて崩壊していく日常。
あまりにも酷すぎる。だが、その…続きを読む