又吉直樹さん作「火花」を読了
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第153回芥川賞受賞おめでとうございます。 帯見たら160万部突破してました。
- 作者: 又吉直樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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概要
かけだしの若手芸人である主人公「徳永」と、主人公の尊敬する先輩「神谷」の出会いから成長までを描いた作品。芸人として、一般的な世間とは違った世界を進まれた著者の作品だけに、新鮮。
漫才師ってなんなのか、という問いに対する著者の主張が見られたというのもありますが、もっと面白かった部分も。 尊敬する先輩である神谷は、バイトもせずに漫才一筋、それでも鳴かず飛ばず、完全に世間のレールから外れた生き方を貫きます。それに対して主人公は世間に合わせた漫才をやり、深夜バイトもし、やがて成長してテレビ出演も多くなり… と、尊敬していたはずの神谷と主人公徳永の異なる生き方の対比が書かれていて、そこが面白い。
- 世間から外れる生き方をすると、 どれだけリスクがあるのか、どんなにかっこいいか、どれだけ辛いか、どう見えるか
それと対比して世間にある程度合わせる生き方はどうなのか、 そんなことが書かれてます。
感情の書き方も分析的で面白い。自分だったら寂しいのヒトコトが、著者にかかれば50文字の詳細な分析結果、として現れるようで、その人間観察力に感動です。人間や感情、面白さ、漫才に対する分析的な書き方だけでなく、ストーリー展開も練られてると感じました。
印象に残った文
一つだけの基準をもって何かを測ろうとすると目がくらんでまうねん。例えば、共感至上主義の奴達って気持ち悪いやん? 共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、飛び抜けて面白いものって皆無やんな。
一つの基準で計るなと。
神谷さんは、無理に笑おうとしているように見えた。普段はこんなにも状況説明的な言葉は使わない。
主人公、観察しすぎ。
メールで謝罪文を送ると、すぐに返信が会ったが、「酔うてて、全然覚えてないから大丈夫やで!」という文面の似合わない感嘆符が妙に哀しかった。
メールの感嘆符でさえ感情説明の道具にしてしまうなんて。