これは、上海で留学中の韓国人の留学生から聞いた話だ。
彼女が語る内容は、奇妙で寒気がするような出来事だったという。
その日、Aと呼ばれる韓国人の女の子は、友人たちと登山の計画を立てていた。メンバーは男女五人ずつの合計十人。Aの彼氏もその中の一人で、ほかの男女の関係は深く語られなかったが、単なる友人同士か、もしかしたら別のカップルも混ざっていたのかもしれない。
登山の当日、Aは体調不良を理由に麓で待つことを選んだ。仲間たちは心配したが、彼女の意思を尊重して九人だけで登山を始めた。最初はそれで問題ないと思われたが、時が経つにつれ、一向に戻らない仲間たちに対する不安が膨らんでいった。
やがて体調も回復し、いてもたってもいられなくなったAは、一人で山を登る決心をする。その山はそれほど高くなく、危険な印象はなかった。しかし、山の中腹で下山してくる女友達四人と出くわしたとき、不安は一時的に薄れた。
「男たちはどこにいるの?」
Aが尋ねると、女たちは「山頂にいる」と答えた。景色を楽しんでいるらしい。その答えに少し安心し、女友達と別れた後、Aはさらに登り続けた。
しかし、山頂に到着したとき、彼女を待っていたのは、青ざめた顔をした男たち五人だった。山頂からの景色を楽しむどころか、動揺しきった様子で、何か異様な空気が漂っていた。
Aが何があったのか尋ねると、彼氏が口を開いた。
「山頂に着く直前で、女たちとはぐれたんだ。探したけど見つからない。もしかしたら、もう死んでいるかもしれない。」
「何を言ってるの?」Aは動揺しながら反論した。
「さっき下山中の女の子たちとすれ違ったわよ。みんな無事そうだった。」
だが、男たちは首を横に振るだけだった。
「それはありえない。俺たちと連絡を取らずに勝手に下山なんてするはずがない。まして、君に会ったのなら、何か伝言を残すはずだ。」
言われてみれば確かに、すれ違った女友達の態度はどこか冷淡で、普通ではなかったように思えた。不安が募り、Aは一人で山を下ることにした。
下山中、女友達たちの姿を見ることはなかった。麓に着いた頃には彼女は恐怖と不安で泣きそうになっていた。彼氏や友達に会うために周囲を探し回ったが、結局誰にも会えなかった。
そのとき、近くの店で流れるテレビに目が留まった。ちょうどその山での遭難事故が報じられていた。画面には、女性四名と男性五名の遺体が発見されたというニュースが映し出されていた。そして、亡くなった人々の名前が読み上げられたとき、Aの耳は疑いようのない真実を捉えた。
そこには、友人たちと彼氏の名前が記されていた。
しかし、確かにAは山中で彼らと会話をしたはずだった。すれ違った女友達たちも、山頂にいた男たちも――では、あの時Aが出会った「彼ら」は一体誰だったのだろうか?
[626 本当にあった怖い名無し 2011/09/24(土) 10:56:23.55 ID:GN9ksJje0]