初日の最終気配値で見ると時価総額が2221億円で、すでに新興市場を代表するかのような企業価値になっている。
この価値を正当と見るか、過度で行きすぎたプレミアムがついたと見るかは議論の余地があるだろうが、・・・
ミクシィの第2幕はM&Aも視野に入れた成長戦略
mixiはさらなる飛躍的な成長のためのいくつかのロケットを持っている。時価総額が適正かどうかは、このロケットのうち何発が成功裏に打ち上げられ、何発が不発に終わるかにかかっている。なので、投資家はこの1年間で、広告収益の堅調な拡大のみでなく、どんなロケットが見事に打ち上げられるかを注視してみるべきだし、一方でmixi経営陣は各ロケットの打ち上げ時期、軌道をmixiは投資家から舐めるようにモニターをされることを覚悟することが必要。
mixiの成長戦略は記事によると下記の通り。
私がmixiの投資家(私はこんな割高感の高い株は買わないが・・・)なら以下の5つのロケットとその打ち上げタイミングを注視する。
- ロケット1号:釣った魚への餌のばらまきロケット
SNSで最も大事なコンテンツは自分が参加したいコミュニティがそこにあるかどうかであり、mixi以外にそれがあるならば、mixiで時間を過ごす必要はユーザにはない。10億円ほどのお金を投じてインフラ整備をするようであるが、500万人という釣った魚への餌としてはそれでは不十分であり、魅力のあるコミュニティが外にあればすぐトラフィックは外に流れてしまうだろう。
mixiロイヤルティを高めるためには、mixiニュースのようなmixiにとってはコストであるが、ユーザにとってはコストにならない餌をある程度まかなければならない。プレミアムユーザなんてせこいことは言わずに、調達した資金をもとに餌をばらまき、魅力の高いコミュニティ創出のためのリッチなインフラを整備する策を年内にどれだけ打てるかが非常に重要だろう。
- ロケット2号:コンセプトだけの域を抜け出した広告の開発ロケット
「SNSの特性を活かした効果の高い広告メニューの開発」というのは半年以上前から話だけはよくきくのだが、実は実際にお目にかかったことがない(私が知らないだけかもしれないが・・・)。mixiには、
などの選択肢は残されていない。社長が成長戦略の柱として投資家に対して実行をコミットしたわけだから、広告主がすいよせられるような効果の高い広告を早急に開発する義務がある。自身が市場に対して提示した成長戦略を速やかに実行に移すことは、上場企業の経営者の負うべき重い責務である。
- ロケット3号:新規収益モデルの種ロケット
中長期的に重要視している展開として「新しい収益モデルの創出」を挙げた。既存事業では、mixiでデジタルコンテンツを販売したり、ユーザー間の売買やBtoCのECを展開したりすることを描いている。
中長期的なので年内に収益化につなげるような収益モデルを構築するのは無理だろうが、あたりはずれが当然ある世界なので、年内に種まきはきちんとしておかなければならないだろう。どんな種を今年仕込み、来年での収穫が可能かどうか、その見通しくらいは年内には見たいところだ。
MySpaceがGoogleから巨額の金額をもぎとったが、これはもちろんmixiも狙っているところだろう。ただ、トラフィックをいくらで販売するかは交渉ごとの話しなので、自社の成長戦略に思いっきり組み入れることはできないのでいれていないだけで、金額が大きく、それなりに確実な目玉となる成長のロケットであることは間違いない。
水面下で既に話がでている可能性が高いが、今は空き部屋の多い高級マンションのような感じでトラフィックが無駄に流れ出てしまっているため、大きな金額を狙いつつも手早くビジネスをまとめることも経営者の手腕として求められる。
- ロケット5号:本当に飛ぶのか?課金ロケット
現在mixiの売上高は82%が広告収入で、18%がユーザーから直接徴収するプレミアム収入(mixiにオプション機能を付けることで月額315円を課金)となっている。このプレミアム課金の比率を上昇させていくことを目指す。
インタビューを聞いていなく、記事を読んでいるだけなので、本当に笠原さんが上記のようなことを言ったのかわからないが、プレミアム課金の比率を18%から上昇させていくことを考えているとすれば、かなり驚きである。
例えば、mixiの売上が将来的に480億円になるとして、その売上の25%が課金収益だとすると、課金売上は120億円である。それだけの売上をあげるためには、現行の料金で考えた場合、課金ユーザは320万人ほどに達する必要がある。ひっくり返っても無理とはいわないが、そこに注力するくらいなら効果の高い広告の開発をやったほうが合理的なように思える。