はじめまして、沖縄在住ライターのmiya-neeです。
IT技術の最先端を行き、新製品を世に生み出し続けるMicrosoft。その日本マイクロソフトと縁あって取材に至ってしまい、内心おどおどしております。
今回は学生のIT育成プロジェクトとして展開中の「Digital Youth Project」を主軸にご紹介していきます。
まずは、日本マイクロソフト品川オフィスに行ってみた
マイクロソフトといえば、WindowsやブラウザのIEなどで一般にも知名度が高く、このインターネット時代の幕開けに貢献した誇り高き歴史を持つ憧れのIT企業です。技術がハイテクなら、社内もハイテク! クオリティの高いオシャレ感と斬新なデザインの社内をまずは見学させてもらいました。
基本的なミーティングスペース。
各部屋にはプロジェクター、または液晶モニターが常備され、常にWeb会議ができる環境を整えており、場所にとらわれない働き方を推奨する背景がここに伺えます。
リビングルームをイメージしたコーナーでは、Xbox 360を体験できます。
最新パソコンの展示コーナー。他にモバイルコーナー、最新のマイクロソフト製品のコーナーなども。
そして、ハイテク極まりないWebミーティングスペース。奥には170インチの大きなタッチパネル式液晶ディスプレイが見えます。
Office Service Centerは、社員の使うIT機器、ソフトウェアのサポートや修理、管理を担当する場所。社員専用のサポートがあるとは、驚きです。
社員食堂のOne Microsoft Cafe。Suicaとクレジットカードでの支払いのみです。現金使用不可なのが効率的で粋ですね。
外にいるような空気感を味わって欲しいとオープンテラスをイメージした席。
次世代の学生のIT力を育成する!Digital Youth Project
「Digital Youth Project」とは
次世代を担う若者たちへのICT活用提案を通じて国際競争力となる、ITスキル・プレゼン力・想像力を育てる場を提供し、実社会や世界で活躍できる人材を育成するプロジェクト。
「世界で活躍できる人材を育成する」
今回私はこの言葉に惹かれ、どれほど斬新で革新的な世界がそこに広がっているのか、また実際に目にし体験した若者はどう感じ、どのような影響を受けるのか。このプロジェクトには「何か未来の光を感じる」と興味を抱き、春日井良隆さんにお話を伺ってきました。
人物紹介:春日井良隆
日本マイクロソフトのUXエバンジェリスト。エバンジェリストとは一言で表現すると「伝道師」。OSやブラウザのようなクライアント周りを得意とし、Windows8やIE11などの新製品や今後の展開、時にはHTML5の講演も行い、広範囲で活躍。現在は学生をターゲットにしたプロジェクトも担当している。
まず漠然とした質問ですが、ITについてどんな考えをお持ちですか?
「どのような産業でも、ITを使いこなさざるを得ない時代が来ると思います。
例えば、ITとは縁遠いと思われそうな農業でも天候や土壌管理、漁業なら魚がいる場所の特定などが考えられますね。経験に頼っていた予測や変化への気づきをITを利用して分析する、経験と組み合わせてより精度を高めるという使い方です。ITはあらゆる分野で必要不可欠な存在になっていくはずです。」
このプロジェクトを立ち上げたキッカケは?
「日本のITの国際競争力が低下していることは、メディアでたびたび指摘されていますが、私自身も同じように感じています。仕事柄、他の国の同僚と話す機会が多いのですが、インドや中国はもとより、アジア圏ではベトナムやフィリピンに勢いを感じます。この状況を教育現場からなんとかしたい、これが大きな要因ですね。」
なぜ、学生たちをターゲットに?
「首都圏や関西圏を中心に、ビジネスのコンテストやワークショップを運営するコミュニティや学生団体がありまして、どれも結構、盛り上がっているんですが、学生さんたちと話しているとカンヌライオンズ(旧カンヌ国際広告祭)に出せるような広告を企画したいというような威勢のいい声が聞こえてきます。
でも、HTMLはおろか、スマホのアプリをどうやって作るのかは知らないし、さほど興味はないと言う。しかし、今や広告にインタラクションの要素は不可欠ですし、複数のメディアと連動した仕掛けも当たり前になってきています。これらは技術で成り立っているので、その技術的な背景を知らなければ、実装どころか発想もできないぞ!と。」
ITが切り離せない時代に、一人でも多くのデベロッパーを育てたい。
そんな思いのもと、2012年から始まったDigital Youth Project。
現在、「だれかをハッピーにするアプリ」をテーマにDigital Youth Awardにてコンテストを開催中。アプリ部門・アイデア部門の応募を行っており、アプリ部門のグランプリと準グランプリの受賞者はマイクロソフト本社が主催する学生ITコンテスト「Imagine Cup」世界大会に日本代表としてノミネートされます。
Imagine Cupは今までにニューヨーク、シドニー、ロシアなどで開催しており、プレゼンはもちろん英語。 日本代表チームには、プレゼンと英語の特訓という素敵な副賞がもれなくついてくるとのこと。
世の中をハッピーにするアイデアを!Digital Youth College
学生向けワークショップ「Digital Youth College」では、学生×企業をテーマに各企業が持つノウハウを学生に向けアウトプットし、バックアップしながら育成するという手法がとられ、昨年は面白法人カヤック、楽天などとの興味深いセミナーが開催されました。
今回のテーマは、「社会貢献できるアプリ」
2012年12月21日、IMPACT Japan主催の「アイデアをかたちにする ワークショップ」と題し、約30名の大学生と専門学校生が集合。講師は、TEDxTokyoの中心メンバーであるジョセフ・テイム、イギリス出身のダレン・バルコム、韓国出身のアルヴィン・チャン。
午前中は講師陣の説明やプレゼンを聞き、手順やアイデア出しの法則を学びます。
午後からは、ユーザーの心理を深く理解するためにエンバシーマップを使い、各チームでブレインストーミング。
ユーザーとは…どんな声を聞く? どんなことを感じる? どんな行動を取る? どんな事を言う? 目には何が映る?
手も会話も止まることなく動き続ける学生たち。討論し続けるその真剣な眼差しを見て「今、ここでもの凄いことが起きているのかもしれない!」と感じました。
時間の経過と共に生まれる一体感なのか、誰が言うともなく勝手に分担化され、熱いトークと笑い声が周囲に響き渡ります。
学生に鋭い質問を投げかけられ、ありとあらゆる知識をアウトプットし続けるメンター(指導者)たち。
学生たちの集中力は衰えるどころか、時間と共に増していき、「波に乗る」とは本来こんなイメージなのだろうと思う光景がココにありました。
途中、気分転換を兼ねてゲームをしようと講師から提案。粘土とレゴ5個を使って一番高く積み上げられるのはどのチームか?という場面もありました。
朝9:30からスタートしたワークショップも佳境に入り、最後は各チームプレゼンの準備へ。解説用のボードを作る制限時間は約60分。
プレゼンはボードで解説し、その後小道具のタブレットフレームを使用してスキット(寸劇)で説明します。
こちらのチーム、アプリ名はなんと「ボウサイズ」。どこかで聞いたような名前ですね。
災害時に家族や友人の安全確認ができ、今現在の安全な場所や安全な非難経路、災害の種類に応じて一番近くの避難場所を通知してくれるGPS機能を利用したアプリのアイデアです。
最後に、講師から各チームへの講評。やり尽くした達成感が学生たちの表情には現れ、笑い声の絶えない時間でした。その後はピザを食べながらの交流会。全行程が終了したのは21:30頃でした。しかし、学生たちの会話は途切れず、帰る気配は全くありません。
今回、東北から参加したメンバーはTEDxTohokuの中心メンバーでもあり、今年2月16日に仙台で開催されるDigital Youth Collegeにも参加予定。今回同様、丸1日のワークショップだそうです。興味のある方は、ぜひ下記をチェック!
参加した学生たちの感想
「自由なアイデアを形にするプロセスとアプリに落とし込むことを前提にした一連の作業は面白かったです。アプリ=プログラミングと最初からアレルギーのある方もいると思いますが、行き詰ったらメンターや講師が助けてくれます。参加する価値あり。無料ですしね。」(アイデアコース参加)
「アプリ制作は初体験だっため不安がありましたが、入力し始めると時間を忘れて没頭していて。急に理解できてくる瞬間というのがあって、そこからぐんぐん面白く感じました。最後はもう終わり!?まだやりたい!と少し残念な気分でした。」(アプリ開発コース参加)
まとめ
実際には、ワークショップに応募する時点で意識の高い学生たちだと伺いましたが、そこには想像を絶する世界が存在し、学生たちの持つダイナミックな発想は、タイミングさえ合えば今すぐ社会に貢献できるレベルなのかなと。Digital Youth Projectは、若者にチャンスを与え、チャレンジする場を提供し、思考から実践へと導く様々な要素を盛り込んだグローバル化を視野に入れた「おもしろでわくわく」な世界でした。
最後に、学生の皆さんへ。
人は誰しも、不安や自信喪失に陥ることがあります。でももし目の前にチャレンジできる環境やチャンスを掴めるかもしれない場があったならば、それは未来の自分へのチャンスです。そして、二度と訪れることのないチャンスかもしれません。だからこそ、ぜひ動き出してください。自分の未知なる可能性へと。そして、21世紀を生きる自分の未来へと。