
お酢を飲むのは肝臓に悪い?健康リスクとおすすめの摂取方法を解説
健康や美容意識の高い方に人気のお酢。「お酢が肝臓に悪いって本当?」「お酢にはどんな効果があるの?」など気になる方もいるのではないでしょうか。この記事ではお酢が肝臓に与える影響や飲むタイミング、1日の摂取目安量やお酢を取り入れる際のポイントについて解説します。ぜひ参考にして毎日の生活にお酢を取り入れてみてください。

医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期研修を経て総合診療医として幅広い疾患の治療に携わる。 2020年からは見た目のコンプレックスを解消してよりよい人生を送ることができるような医療を提供したいとの願いから医療法人ウェルパートナーで主任医師を勤め、美容皮膚科領域での診療をメインに行っている。続きを読む
お酢が肝臓に与える影響は?

健康や美容意識の高い方に人気のお酢。「お酢が健康にいいというのは嘘?」「お酢は肝臓に悪いという噂を聞いたけど本当?」など気になる方も多いのではないでしょうか。
今回はお酢が肝臓に与えるさまざまな影響について解説します。
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子
肝臓の健康への5つの【ポジティブ】な影響
穀物酢や米酢、黒酢や果実酢など、さまざまな種類が存在しているお酢。お酢は肝臓の健康に対して、ポジティブな影響をもたらすことが期待されている食品です。
今回はお酢が肝臓に良いといわれる理由について詳しく解説するので、ぜひ毎日の生活にお酢を取り入れてみてくださいね。
① 内臓脂肪を減少させる
お酢に含まれている酢酸は、肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能が報告されている成分です。
食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによって内臓脂肪が多くなると、肝臓にも脂肪が過剰に蓄積されて肝臓の機能低下などを引き起こす恐れがあります。
肥満や内臓脂肪の蓄積は運動や食事など生活習慣全般の見直しが必要ですが、肥満気味の方やお腹のまわりに脂肪が付きやすい方は、お酢を習慣化させるのもおすすめです。
② 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発症を予防
深いコクとまろやかな酸味が特徴的な黒酢は、非アルコール性脂肪肝(NASH)の発症予防に対してポジティブな影響があるとの報告があります。
非アルコール性脂肪肝(NASH)は肝臓に過剰な脂肪が蓄積されている状態で、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによって引き起こされます。
健康診断で肝臓の数値を指摘された方は、生活習慣の見直しをしつつ、黒酢の習慣を追加してサポートしてみるのもよいでしょう。
HFDは肝臓に脂肪肝、過形成を発生させ、BVはmiRの発現を変化させる可能性が示唆された。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsptsuppl/43/0/43_3-C-P-127/_article/-char/ja/
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子酢が脂肪肝やNASHの予防、改善に効果が期待できるとする研究結果が報告されています。もちろん、確実な効果が立証されたわけではありませんが、酢が肝臓の機能維持を優しくサポートしている可能性は期待できるでしょう。
脂肪肝やNASHは生活習慣の改善が非常に重要ですが、補助的な手段として酢を習慣にしていくのもおすすめですよ。
③お酢に含まれる「酢酸菌酵素」は飲酒時の負担を和らげる
お酢の主成分である酢酸に含まれている酢酸菌酵素は、飲酒時の身体への負担を和らげる可能性がを示唆する研究結果も報告されています。
酢酸菌酵素はアルコールの分解を促す効果がある成分です。
お酒を飲む機会が多い方は酢が使われているおつまみを選んだり、飲酒前にお酢を飲んだりするのもおすすめです。
ただし、お酢を摂ったからといってアルコールの悪影響を完全になくすことはできません。基本的には飲酒量や飲酒の頻度を減らすことが大切です。
アルコール飲料と同時に酢酸菌配合食品を摂取した際に,呼気中エタノール濃度が有意に低減することを報告した.このことから,酢酸菌酵素によって胃,または腸でのアルコール飲料中のエタノールの分解が促進されて,呼気中のエタノール濃度が抑制された可能性があることが示唆された.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/50/4/50_286/_pdf
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子お酢にはアルコールの分解を促進する酵素が含まれているため、胃や腸でのアルコール分解を促して体への負担を軽減する可能性があります。
一方で、公表された研究結果は大規模な臨床研究ではないため、お酢とアルコールの関係を証明するにはもう少し踏み込んだ研究が必要でしょう。現時点では、過度な過信は禁物です。
アルコールによる肝機能異常などが気になる方はお酢を試してみるのもおすすめですが、第一に節酒を心がけてください。
④抗酸化作用がある
お酢に多く含まれている酢酸やクエン酸などの有機酸には抗酸化作用があるため、肝臓の細胞を活性酸素から保護してくれる性質を持ちます。
抗酸化作用を重視して毎日の生活にお酢を取り入れたい場合はポリフェノールが多く含まれている黒酢など選ぶとよいでしょう。
⑤一時的な疲労感を緩和する
お酢に含まれているクエン酸は、日常生活や運動後の一時的な疲労感を緩和することが報告されている成分です。
クエン酸は、肝臓での乳酸分解に必要な成分です。乳酸は疲労物質とも呼ばれており、クエン酸を摂ると乳酸の分解がスムーズに行われやすくなるため疲労回復に役立つと考えられているのです。
肝臓に負担をかけないためにも、日常生活で疲れを感じやすい方やトレーニング中の方はクエン酸を豊富に含むお酢を摂取するのもよいでしょう。
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子お酢には、疲労回復によいとされるクエン酸が含まれています。
疲労物質とされる乳酸の分解をサポートするだけでなく、血液をサラサラにして血流を改善する効果もあるとされています。血流が良くなると肝臓での有害物質の分解が効率的になるため肝臓への負担も軽減するでしょう。
長期的に見れば動脈硬化を予防して、肝臓など全身の臓器の健康を守ることにもつながります。
お酢を摂取することの悪い影響はある?
健康に対して、ポジティブな影響をもたらすことが期待されているお酢。しかし、飲み方によっては肝臓や腎臓などの臓器に悪い影響をもたらす恐れもあるので気を付けましょう。
お酢を摂取することで、肝臓などの臓器に引き起こされる悪い影響についても解説します。
①お酢の摂りすぎは胃腸に刺激を与える

健康にいいお酢は適量を楽しむ分には問題ありませんが、穀物酢やリンゴ酢などのお酢のとりすぎは胃や腎臓に悪い影響をもたらす可能性があるので気をつけましょう。
お酢は酸性の食品なので一度に多量のお酢を飲むと、胃腸の粘膜に強い刺激を与えてしまいます。とくに空腹時に飲むと胃の粘膜にダメージを及ぼすこともあるため注意が必要です。お酢と摂るときは、濃度や量を調整するとよいでしょう。
②歯のエナメル質を溶かす可能性も
酸性のお酢をとりすぎると、歯を覆っているエナメル質を溶かしてしまう恐れがあります。酸による歯への負担を軽減するためにも、飲み過ぎには気を付けましょう。
歯のエナメル質が溶けると、虫歯や歯の痛みなどが現れやすくなってしまいます。
頻繁にお酢を飲む場合はストローを使って飲んだり、飲んだ後に水で口をすすいだりするなど、飲み方を工夫してみるのもおすすめです。
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子お酢にはさまざまな健康効果が期待できますが、摂りすぎるとかえって体に悪影響を及ぼすことがあります。
お酢は酸性度が高いため、過剰に摂取すると胃や腸の粘膜、歯などにダメージを引き起こす場合があるのです。
とくに空腹時などに摂るときは少量にする・飲料で薄めるといった対策がおすすめです。
お酢を摂るのにおすすめのタイミング、量は?
効果的にお酢を楽しむには、過剰摂取にならないようにお酢の適量や飲むタイミングを知っておくとよいでしょう。
お酢の1日あたりの摂取量の目安やおすすめの飲むタイミングについてご紹介します。
お酢の摂取量の目安

健康のためにお酢を飲む場合は、1日あたり大さじ1(15ml)を目安にして毎日飲むとよいでしょう。
お酢の酸味が苦手という場合は、砂糖や蜂蜜などが添加されている市販のお酢ドリンクを取り入れてみるのもおすすめです。
お酢ドリンクは飲みすやすい特徴がありますが、糖質量が多いデメリットもあります。ジュース感覚で飲み過ぎると太ってしまうので、飲む量には気を付けましょう。
お酢の効果を得るためには毎日継続的に約大さじ一杯(15ml)のお酢をとることをおすすめします。
https://www.mizkan.co.jp/health/sunochikara/#tripplepower
お酢を飲むのにおすすめのタイミング
お酢を飲むタイミングは決められていないので、毎日続けて飲みやすいタイミングで取り入れるとよいでしょう。
ただし、空腹時にお酢を飲むと胃腸への刺激が強いため、食事中や食後に摂るのがおすすめです。
食事中に摂取するお酢は、胃酸の分泌を促すので消化吸収をサポートしてくれます。胃腸への負担を抑えたいときは食事中に摂取するとよいでしょう。
また、ダイエット中の場合は食後の血糖値の急上昇を抑えるためにも、食事中にお酢を摂取するのがおすすめです。
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子お酢の1日の摂取量の目安は大さじ1程度です。空腹時などでなければそのまま摂っても問題ありませんが、酸味が苦手な方は飲み物に混ぜて摂ってもよいでしょう。
また、お酢の健康効果を引き上げるにはご紹介したように食事中に摂るのがおすすめです。食事の直前に「食前酒」の位置づけで摂ることもできます。
お酢の取り入れ方のポイント
健康や美容にいい影響をもたらすお酢。お酢を毎日継続して摂取するためには、いくつかのポイントを押さえておくとよいでしょう。
簡単にお酢を飲めるお酢ドリンクの作り方や、料理でのおすすめの活用方法を紹介します。
①水や炭酸で割って「お酢ドリンク」を作る

水や炭酸水などで割って作るお酢ドリンクは、手軽に毎日お酢をとりたい方に向いています。
お酢独特のツンとした匂いが苦手な場合は、炭酸水で割ると酸味を和らげられます。飲みやすいお酢ドリンクを作りたい場合は、蜂蜜や砂糖を少量加える方法がおすすめです。
- 好みのお酢 大さじ1
- 水や炭酸水 80cc
お酢には穀物酢や米酢、黒酢や果実酢などさまざまな種類が存在しています。酸味が弱いものを選びたい場合は米酢でお酢ドリンクを作るとよいでしょう。
フルーティな香りを楽しみたい場合は、リンゴ酢などの果実酢でお酢ドリンクを作ると美味しく飲めますよ。
【黒酢はちみつドリンク】 材料(1人分) ・黒酢 大さじ1 ・はちみつ 大さじ1 ・冷水 グラス1杯分(180ml)
https://www.mizkan.co.jp/health/sunochikara/recipe/18.html
【りんごのリフレッシュドリンク】 材料(1人分) ・りんごジュース 1カップ ・りんご酢 大さじ1
https://www.mizkan.co.jp/health/sunochikara/recipe/31.html
②料理に活用する

お酢を毎日手軽に摂りたい方は、料理の調味料として活用する方法がおすすめです。
サラダのドレッシングとしてお酢を使ったり、酢の物やマリネにして取り入れたりするのもよいでしょう。
お酢に含まれている酢酸には細菌増殖を抑える防腐効果もあるので、酢を使ったメニューを作り置きしておくのもいいですね。
【キュウリとワカメの酢の物】
材料 (2〜3人分) ・キュウリ 1本 ・乾燥ワカメ 大さじ1 ・塩 小さじ1/3 ・ショウガ 少々 ・ゴマ 少々 ■ 【A】 ・酢 大さじ3 ・しょうゆ 大さじ1 ・砂糖 大さじ1
https://cookpad.com/recipe/7858352
- 薄く輪切りにしたきゅうりに塩を揉み込んでから汁気を切る
- 調味料を加えて混ぜ合わせる
【新玉ねぎとリンゴ酢で作る♪酢玉ねぎ】
材料 ・玉ねぎ 約2個(400g) ・酢 200cc ・蜂蜜 大さじ2(お好みの量)
https://cookpad.com/recipe/7820910
- 玉ねぎは薄くスライスして広げ、20分程度おく
- 1を保存容器に入れて、合わせた酢と砂糖を加えて漬け込む
お酢の効果を高める食品の組み合わせ
お酢をより効果的に摂取するためには、他の食べ物との組み合わせも重要です。
今回はお酢との相性がいい納豆や、その他の食品との組み合わせについて解説します。
【酢納豆】 納豆との相性は抜群!

納豆1パックに付属のタレをかけず、お酢をかけて食べる酢納豆は、忙しい日の朝食にもおすすめです。
肝臓に良い影響をもたらすお酢と一緒に納豆を食べることで、より効果的にお酢を食べられます。
脂っこい食事を好む方や食べ過ぎ飲み過ぎの食事傾向がある方は、酢納豆を取り入れるのもよいでしょう。
酢納豆の作り方と効果
納豆にお酢を加えることで納豆独特の臭みをおさえられるので、納豆が苦手な方にも向いている酢納豆。
ヘルシーで健康的なので、ぜひ毎日の食事に付け加えてみてくださいね。
- 納豆1パックにお酢大さじ1を加える
- 粘りが白く泡立つまでしっかり混ぜ合わせる
- ねぎやかつお節などお好みでトッピングする
納豆に含まれている大豆由来のタンパク質は肝臓での脂質合成を抑制するとの報告もあるので、酢納豆は脂肪肝が気になる方にもおすすめです。
レシチンは乳化剤として食品加工などに広く使用されています。また、血清脂質に対して総コレステロールの低下作用があるといわれています。
国立健康・栄養研究所
また納豆に含まれている大豆レシチンは脂肪の代謝をサポートするため、身体に脂肪が過剰に蓄積されるのを防ぎます。
大豆食品中のタンパク質が肝臓での脂質合成を抑制することが示唆された。
Ⅲ 大豆とその調理加工が脂質代謝改善作用に及ぼす影響
酢と牛乳とあわせてカルシウムの吸収を高める

健康のためにお酢を毎日摂る場合は、牛乳と一緒に摂るのもおすすめです。お酢に含まれている酢酸は、牛乳に含まれているカルシウムの吸収を促進させることが期待されています。
酢と牛乳をあわせて飲む場合は、牛乳コップ1杯(150cc)にお酢大さじ1を加えて作りましょう。牛乳に加えるお酢は砂糖や蜂蜜が添加されているドリンクタイプのお酢を取り入れると、より美味しく飲めます。
- ブルーベリー黒酢 30ml
- 牛乳 150ml
その他の組み合わせ食品
健康や美容にいいお酢は、毎日継続して摂るのがおすすめです。栄養価の高い旬の食材や肉類と組み合わせて、酢の物やマリネなどに調理して摂るとよいでしょう。
お酢を手軽に摂りたい方は、以下の方法を試してみてくださいね。
- 酢の物やマリネなどのお酢レシピ
- 料理を食べる前に上からかける
- ドレッシングとして取り入れる
- お酢ドリンクとして飲む
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子お酢を摂るときには、一緒に摂る飲み物や食べ物にも注意するのがよいでしょう。お酢の健康効果をさらに高められる可能性があります。
特に脂肪肝や肥満が気になる方は、酢納豆がおすすめ。大豆タンパク質は肝臓での脂肪合成を抑制するとの報告もあり、お酢の健康効果をより高めてくれることが期待できます。
適切に摂取すれば、お酢は肝臓に悪くない!毎日の生活に取り入れよう

健康や美容意識の高い方に人気のお酢ですが、飲む量や飲み方によっては肝臓に悪い影響をもたらす可能性もあります。
しかしお酢は適切に摂取すれば、肝臓の健康にもポジティブな影響を与えられます。
普段からお酢を意識して摂らない方は、ぜひ健康のためにも毎日の生活にお酢を取り入れましょう。
お酢の飲み方については、以下の記事も参考にしてみてください。
監修者
医療法人ウェルパートナー 主任医師成田 亜希子お酢には酢酸、クエン酸、アミノ酸など健康増進に適した成分が多く含まれています。疲れを感じやすい方、脂質が気になる方などは1日大さじ1程度のお酢を摂り入れてみるのがおすすめです。
今回ご紹介した摂取する量や時間帯、摂り方の工夫などを参考にお酢を試して見てください。
ただし、お酢はあくまでの健康をサポートする可能性がある食材の1つです。お酢を摂れば脂肪肝や疲労が完全に解消するわけではありません。
健康を維持するには日々の生活習慣を整えることが大前提です。食事、運動、睡眠、ストレスなどの生活習慣の見直しもしっかり行ってください。
お酢にはさまざまな美容や健康によい効果があるとされています。お酢が肝臓にどのような効果を及ぼすか気になる方も多いでしょう。
お酢には肝臓によい効果がいくつもあります。どのような効果が期待できるのか詳しく見てみましょう。