手塚治虫の「ブッダ」が座右の書のワタシ。最近、改めて仏教関連の本を読んでいる。実に深い、実にオモシロイ。(・o・)
さて、この本。名前だけしか聞いていない日本の名僧たちがどんな思想を持ち、どんな行動をしたのかがまとめられている。「伝統仏教の代表的な宗派や学派を根城に活躍した僧たち、またみずから新しい宗教運動を展開し、やがてその開祖になった僧たち、さらにそれらの運動の中から誕生した個性的な僧たちの人生と思想がとりあげられている」そのエッセンスを紹介しよう。
・13世紀という軸の時代を生み出した法然・親鸞・道元・日蓮の僧たちがいずれも比叡山という山岳の仏教の胎内で、はじめて彼らは真の成長と成熟を手にすることができた。そのための貴重な時間をもつことができたということだ。この比叡山という深山幽谷の環境なくして、かれらの自己形成はそもそもありえなかったといっていいのである。同じように、高野山に象徴される山岳修行の経験なくして、その後に出現することになる多方面にわたる僧たちの活動もまたありえなかっただろうということだ。
・比叡山仏教圏において、いつのころからか
論、湿、寒、貧
ということが、重要な研究課題として高く掲げられるようになった。学問修行僧がまず第一に心がけるべき道標であり、日課であった。「論」とは万巻の書を読み、徹底的に議論を尽くす。第三、第四の「寒」と「貧」は、いうまでもなく日常茶飯事の実践課題である。古今東西、世界中のどこの修行者においてもつねに要請される生き方を、この論題も要請している。寒さに耐え、すすんで貧を受け入れ、聖なるものの世界にむかって献身するということだ。そのような努力をして「人」ははじめて「名僧」の地位を手にする。
・興味があるのは二番目の「湿」ではないだろうか。「湿」とのたたかいが、この比叡山仏教圏の修行においては不可避のものだったということだ。忍耐強い精神性がそれによって育まれるという認識が早くから根付いていたということではないだろうか。
やっぱり、比叡山ってすごいんだねえ。後半に、種田山頭火と宮沢賢治が掲載されているのがオモシロイ。オススメです。(・∀・)