Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ソバニイルヨ」(喜多川泰)

全作品読破を狙っている喜多川泰さんの本。たまたま「朝6読書会」で紹介されたので読みました。それが感動、感動、また感動!!!!後半から何か琴線に触れナミダが出て仕方なかった……。(T_T)
 
 
「勉強が嫌いで、周りからどう思われているかばかりを気にして毎日生活している隼人。さらに、些細な出来事がきっかけで、仲の良かった友達との関係がもつれ、孤立することになってしまった。ある日、自分の部屋に帰ると、そこには見慣れぬ物体が。
それは、長期間不在になる父親が残していったロボット・ユージだったーー」長くなるけど、そのエッセンスを紹介しよう。

 

「研究所を作るのが子どもの頃からの夢だったんだ」とその入り口を感慨深げに見上げる父親の顔を、下から眺めた風景は今でも目に焼き付いている。そのとき心に湧いてきた感情がまさに誇らしさだった。
 
「何これ・・・・・・」見た目は「ロボット」・・・・・・というよりは「ロボット」と言って欲しいのだろう。ただ、そのクオリティは「ひどいの一言で、どう見ても幼稚園児が段ボールや生活廃材で、みんなで力を合わせて作ったような「張りぼてロボット」にしか見えなかった。
 
「ボクハ、キミニアウタメニ、ウマレタカラ」「なんで、俺に会う必要があるの?」「・・・・・・アイヲ・・・・・ツタエル・タメ」
 
・「今そうやってサボっていたら、困るのは将来の自分だぞ。わかってるのか」「違う。困るのは、自分じゃなくて、将来自分の周りにいる、自分の大切な人だ・・・・・・」そうつぶやいていた。実際に、田中先生のその言葉よりも、昨日、ユージが発したこの言葉 の方が、心の奥底から湧き上がってくるやる気が大きいような気がした。
 
・「テレビの中でも、大人たちミンナヤッテル。自分が楽しいなら、他人がキズツイテモ平気。嫌いな人間のシッパイを喜ぶミスをした人間たちをミンナでトコトン追い詰める。ソレを見る人たちも、ザマアミロ、モットヤレって思ッテル。みんなアイが足りない。みんな、自分が 喜ぶコト、自分の怒りをブツケルコト、自分が楽しいコト大事。アイがない。自分ダケガ大事。だから、平気な顔してイラレル」確かにそうだ。みんな自分のことしか考えていない。
 
これまでの隼人の「楽しい」は誰かの犠牲の上になりたっているものだったのかもしれない。自分の「楽しい」の陰に隠れて、「嫌な思い」をしていた他人はきっとたくさんいたのだろう。今の自分のように・・・・・・。
 
「イライラするのは、相手に期待シテル人ダケ」「期待?」「知ってる人カラ見知らぬ人に至るマデ、あらゆる人に、『こうしてくれ』と期待スル度合いが高い大人もイル。ベースになっているのは『自分ならこうする」という思い。それが無意識のうちに、『その通りに動け』という相手への期待になる。そういう人は、朝奥さんにイライラして、子どもにイライラして、通勤デハ他の車や、電車 ナラ同じ車両に乗った他の乗客にイライラする。
 
「期待しない・・・・・・か。なんだか希望のない言葉だな」最初はそう感じるノモ無理ハナイ。デモ、最初カラ出会う人に期待シナイと決めて一日を過 ごすようにナルト、今日という一日を、いい一日にするのは難しくないトイウコトがわかるようにナル。それに、期待してないと、案外、周囲の人はイイ人が多いって気づくのカモ」 
 
「やらなきゃいけないことからすぐ逃げる人ほど、本気出したらやばいとか言うんだよね」「言ったな? じゃあ、二学期見てろよ・・・・・・絶対……………」
 
 
「まずはどんなことも、人のセイにしない。自分の責任だって思うこと」「そんな・・・・・・」「ということは、そうなったら、将士くんのオカゲ。隼人の人生において、そういうキッカケをモラウために将士くんと出会った」
 
隼人の反論をかき消すようにユージは話を続けた。あいつのせいだと思わない未来を想像するっていうのは、『将士くんのオカゲで、今の自分になれた』って未来が来るのを想像するっていう意味」そんな風に考えられないよ・・・・・・」「最初は難しいカモシレナイ。でも、いつかそういう日が必ず来る忘レナイデ」
 
・あいつのせいで、親のせいで、上司のせいで、会社のせいで、社会のせいで、時代のせいで、国のせいで・・・・・・寝テモ覚メテモ、自分が今こんなに 苦しいのは、 自分で はない誰 かのセイだと 考えて、日々それに対して愚痴ったり他人や状況を変えることにチマナコになってる。
 
「逃げない強さを身につけるために、マズハ、『勉強』という道具を使って逃げないこと学ぶ それ大事」「ちょっと待ってよ。将士から嫌なことを言われるのと、勉強って関係ないだろ」「関係ある」「あるように思えない」「逃げない強さを身ニッケルために、夢から逃げないことが大事だって言ッタラ、ドウ?」
 
 
・「その割合は、90.9989%」「ほぼ、無理ってことじゃん!」「そこで考えて。諦めなければ夢は叶うって言葉は正シイ?」隼人は首を横に振った。「そう。ムシロ諦めた人がたどり着ける場所ではないといった方が正シイ」
 
・「大きな夢を持つということは、多くのやるべきことと出会う人生を選ぶということダヨ。そ の覚悟なしに、夢だけ大きく持っても、必ず途中で逃げ出しちゃう。それこそ、『概算』をしただけでそこに行くための道を考えるのではなく、まだ一歩も踏み出していないのに諦めたり。 道を考えることができたとしても、その道がかなり苦しそうだということがわかって逃げる。「隼人、大事なのは、それでもやるという覚悟」。隼人は自分に言い聞かせるように言った。
 
・「夢を持つと、やらなきゃいけないこと生まれる。大きな夢なら、たくさんのやらなきゃいけないこと。小さい夢なら、チョットだけ。子どもは、やらなきゃいけないことは、誰かが決めて、自分のもとにやってくるって思ってる。でも、ちょうど今の隼人くらいの年齢から、やらなきゃいけないことは自分が作り出してるってことに気づき始める。隼人もできるだけ早めに気づいた方がいい」
 
・「隼人、逃げない強い人になる。だから必要最低限を超えてみる約束」
 
・何もかもどんなことでも、やらなきゃいけないことを超えたところから楽しくなる。勉強がつまらないのは、それを超えたことがないからだからそれを超えないのは損。それに、そこを超えたところに、隼人の人生にとって大切なものが全部ある」
 
・「オオゲサじゃない。サッカーだけじゃない。何でも同じ。やらなきゃいけないことを超えたところに、何もかもがあるのに、その手前でやめてしまうのは、本当にモッタイナイこと。ズット走ってきたマラソンをゴールの手前数メートルで棄権するようなもの」
 
「ユージー、隼人に五十万あげる」「ユージーが五十万あげるって言ったら、隼人どうする?」「そりゃ、もらうけど」「でも条件が、二つある。一つは一年で使い切ること。貯められない。もう一つは、何に使ったかユージーに全部報告すること」
 
 
「消費、浪費、投資…」隼人はオウム返しに繰り返した。
 
・「五十万は、単位が『円』じゃない。単位は『分』」「そう。人間は一年生きると、みんな平等に五十万分をもらっている。時間は貯められないから、ソノツド使い切っていくしかない。そして、その使い方は、消費や浪費、そして投資に分類できる。どれも生きていく上で必要な要素ではあるケレドモ、バランスを考えずに、今の自 分の欲求を優先させると、消費と浪費ですべて費やしてしまう。でもそれでは将来得られるものが無くなってしまう。だから、『投資』の時間をしっかり持つことが大事
 
・「勉強だけじゃない。何をやろうとするときも必要最低限を超えようとした時間だけが投資にナル。つまり将来の財産にナルってコト、忘れちゃダメ」
 
・親が、無理矢理変えようとしても全然 変わらない部分が、 新しい価値観をくれる人との出会いで、簡単に変わっていくのがわかるの。きっと何もかも親が教えようとするよりもたくさんの人と出会って、その人たちから教えてもらった方が子どもは成長するんだろうなって思える。そのために、私にできることは隼人が、素敵な大人や、新しい価値観を持った人と出会えるようにしてあげることかな。それを幸ちゃんはやろうとしたんじゃな い?だとしたら、今のところとても上手くい っているね。隼人は、ユージと出会って驚くほど変 わり始めているから。ありがとう、幸ちゃん。
 
 
「充電しない」「でも、充電しているのを見たことがないけど、どうやって充電するの?」「えっ、じゃあ電池が無くなったらどうするの?」こわいろ ユージは即答しなかったが、少し間を置いて、手を振りながら少し明るめの声色で言った。「電池が切れたら、サヨウナラ
 
・「最近、隼人やらなきゃいけないことから逃げなくなった。前までは、勉強しながら、隼人が言ってた独り言は何でこんなことやらなきゃいけないんだよ」だった。でも、最近、そんなこと言わない。代わりに、どうやったら楽しめるか考えてる
 
デルピエロを作っていた部品の原子は、水素原子や、酸素原子、炭素原子なんかが中心で、それらはもう世界中に広がり始めている。人間も含めた動物は大部分が水ででき ているから、僕たちはアラユル原子に囲まれて生きているのは事実。そして「今もデルピエロを作っていた六億の原子に囲まれてる・・・・・・」
 
・幸一郎が自分の「研究所」を感慨深げに見つめながら、「研究所を作るのが子どもの頃からの夢だったんだ・・・・……」と言ったあとで、しゃがみ込んで、隼人の両肩をつかみながら話してくれた言葉。それが、まさにこれだった。「いいか、隼人。自分の好きを、他の人の価値観に潰されるんじゃないぞ
 
 
・そう。一人の人間が生まれてからそれまで出会ったすべてが詰まっているのが一冊の本。それは、その人がこの世からいなくなっても、次の世代の人の人生に影響を与えることができる。 だから本はとても大切。でも、その人を生き返らせることの役には立たない。それと同じ。
 
・「長さは・・・・・・関係ない。人間の八十年だって、星の命に比べたら一瞬。デルピエロは十三年。ユージーにとっては二十六日。それぞれの命に長さがある。それを生き切ればいい。それをかわいそうとは言わない」
 
・隼人はゆっくりと手を伸ばして、そのディスクを手に取った。「あいをしり、やさしさをてにいれるまでのきろく・・・・」そこに書いてある文字を、声に出して読んで、隼人はハッとした。「『アイ』は哀しみのことだったのか・・・・・・」ユージが最初に言った言葉が脳裏に浮かんだ。
 
「ボクハ、キミニアウタメニ、ウマレタカラ」
 
「なんで、俺に会う必要があるの?」
 
「………………「哀」ヲツタエルタメ」
 
初めて出会ったときから、隼人とユージは、今のこの哀しみの瞬間」に向かって二人で時間をともにしてきたことになる。
 
名言がいっぱい。喜多川泰さんの本って、ホント心を揺さぶるよね。今年のベスト10入りしたね。超オススメです。(^^)