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なぜやらない?戦没者遺骨の「差別」解消 尻込みする国の言い訳

タラワで収容された兄正敏さんの遺骨を抱え、涙ぐむ野村貞之さん。終戦から75年後、遺骨のDNA鑑定で身元が判明した=長崎市で2021年2月26日、徳野仁子撮影
タラワで収容された兄正敏さんの遺骨を抱え、涙ぐむ野村貞之さん。終戦から75年後、遺骨のDNA鑑定で身元が判明した=長崎市で2021年2月26日、徳野仁子撮影

 メディアは「戦後○年」との表現をしばしば使う。第二次世界大戦の戦闘は79年前の夏に終わった。だが戦争被害は終わらない。その「未完の戦争」の象徴が戦没者遺骨だ。3月22日、参院厚生労働委員会で、重要な質疑があった。

 社民党の大椿裕子議員が質問した。厚労省は2月末現在、DNA鑑定可能な遺骨を1万3237体保管している。鑑定は原則として遺族が自ら申請する「手挙げ方式」で実施される。しかし鑑定事業の周知が進んでいない。私は大戦末期の激戦地、硫黄島(東京都小笠原村)で戦死した3兵士の遺族に聞いてみたが、いずれも鑑定のことを知らなかった。

 一方で厚労省は2020年、太平洋中部キリバスのタラワで戦死した日本兵士ら約4000人の遺骨の鑑定を、遺族約2700人に郵送で呼びかけた。約400人が申請し、長崎県出身の野村正敏さんら2人の身元が分かった。03年度に始まったDNA鑑定で身元が判明したのは1245体(2月現在)。うち97%にあたる1213体は旧ソ連のシベリア抑留の犠牲者だ。南方での2体は「呼び掛け方式」の貴重な成果と言える。

 大椿議員はその経緯を踏まえた上で、「なぜタラワのケースを他にも拡大させないのか。試験的に硫黄島や沖縄、国内だけでも呼びかけをしてみるべきだ」と訴えた。厚労省によれば、第二次世界大戦の日本人戦没者は310万人で、うち海外戦没者は240万人。硫黄島と沖縄の戦没者はその10分の1に満たないおよそ21万人である。

かみ合わない質問と答え

 答弁した厚労省の泉潤一審議官(当時)は、…

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