国民・玉木氏「一議員」でも存在感 「処分の意味が」党内から疑問も
代表職を3カ月間役職停止する処分を受けた国民民主党の玉木雄一郎衆院議員が「一議員」の立場ながら影響力を維持している。
テレビ出演や講演活動を精力的にこなし、ネット交流サービス(SNS)で情報発信すれば注目を集める。党の「看板」としての存在感に陰りは見られない。一方で、党内から「何のための役職停止なのか」と疑問の声も出ている。
自民、公明両党が2025年度与党税制改正大綱を決定した20日の夜、東京・JR新橋駅前で国民民主主催の街頭演説が行われた。勢ぞろいする党幹部よりも先にマイクを握ったのが、玉木氏だった。
所得税がかかり始める「年収103万円の壁」引き上げは、国民民主が求める178万円に届かない「123万円」と明記されたが、玉木氏は「延長戦に入る。ここからが勝負なので、何とか応援いただきたい」と支持を訴えた。
玉木氏は女性との不倫関係を報じられ、党の名誉と信頼を傷つけたとして、4日に党から処分を受けた。だが、その後もテレビ・ラジオやネットの動画配信などに多数出演を続ける。
18日には都内の講演会で党の処分のあり方について質問され、「今日ここに来なかった方がよかったですか。それであれば帰りますけど、今から」と静かな口調で問い返す場面もあった。
玉木氏は、代表としての権限を古川元久代表代行に移行させ、執行役員会にも出席せず党の意思決定に関わっていないと説明。情報発信も「一党所属議員」として行っているとし、「『来るな』というところに行ったりはしない。声をかけていただくところには行って、個人としての考えを述べている」と語った。
ただし、事実上は代表としての発信と受け止められており、X(ツイッター)の発信頻度も以前のままだ。
「103万円の壁」を巡る自民・公明との税調協議について意見を書き込めば、ほぼ毎回数千のコメントが寄せられ、他党の幹部が反応することもある。自らのユーチューブチャンネルで協議の内容を解説すれば数十万回再生され、注目度の高さがうかがえる。
さらに玉木氏は、来年1月にスイスで開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)への出席を調整している。12月18日にWEF関係者と面会し、打診を受けたとみられる。各国の政財界リーダーが集まる催しで、国内政界のキーパーソンとして注目されていることを意味する。
一方、疑問視する声…
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