神田ごくら町職人ばなし
「金なんざどうだっていい。心意気の話さ。わかるだろ?」 ただひたすらに、ひたむきに…… 桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官。伝統の手仕事を圧倒的ディテールと珠玉のドラマとともに描く歴史的傑作。■桶職人 覚えときな。木ってのは生きてんだ──木を見つめ木と生きる桶職人の一日。■刀鍛冶 自分が打った刀で子どもが殺された。灼熱の鍛冶場ーー多くを語らぬ刀匠の胸中は… ■紺屋 友禅染が大流行する中、藍染の意匠に悩む一人の職人。先の見えない仕事に心は沈むが… ■畳刺し 明け渡った吉原が男達の仕事の場。暮れの畳の張り替えに遊女達の冷やかしは付き物で… ■左官(一、二、三) 土蔵の普請場に奇妙な男が現れる。甚三郎と名乗るこの男、上方から流れてきたようだが…
うみべのストーブ 大白小蟹短編集
俵 万智 「小蟹さんの澄んだ心の目。そのまなざしを借りて私たちは、忘れそうなほど小さくて、でもとても大切な何かを見つめなおす。たしかに降ってきたけれど、とっておけない雪のように。」 雪のように静か。冬の朝のように新鮮。自分の気持ちに触れることができるのは、こんな時かもしれない。[収録作品] ●「うみべのストーブ」 運命のように出会ったえっちゃんとスミオにも、ある日訪れた別れ。傷心のスミオを海に連れ出したのは、隣で彼を見守り続けていたストーブだった…。「ふたりが…お互いに、好きだったこと 私はちゃんと覚えてる 何度だって思い出すよ」 連載時のカラーを再現し、2色刷で収録。●「雪子の夏」 トラックドライバーの千夏が雪の日に出会った、雪女の雪子。夏のあいだは消えてしまうという雪子に夏を見せてあげたい。忘れられない夏の物語。「誰もあたしのことを 思い出してくれなくなったら こんなぼんやりしたまま 永遠に消えちゃうの?」 ●「きみが透明になる前に」 ある日事故で透明になってしまった夫。彼の姿が見えないことにほっとしている自分はもう、彼を愛していないのだろうか…。見えないものに触れる、夫婦の絆のかたち。「ねえ泉 ありがとう 僕を見つけてくれて」 ●「雪を抱く」 パートナーとの間の妊娠を知り、複雑な気持ちの若葉。大雪で家に帰れなくなったある日、偶然出会ったコウコと朝までの時間を過ごす。女性の身体をめぐる物語。「わたしの身体が わたしひとりだけのものだったことなど 一度でもあっただろうか」 ●「海の底から」 仕事で忙しい毎日を送る深谷桃は、かつてのように小説を書くことができない。いまの自分はまるで海の底から上を見上げているようで…。創作に向き合うことができないでいる生活者の苦悩の物語。「悔しい 書かなくても幸せでいられるのが」 ●「雪の街」 はなれていた親友の突然の死をきっかけに訪れた、昔住んでいた町。思い出のファミレスで出会った森田という男と、死んでしまったスーちゃんのことを思い出しながら、雪道を歩いていく。夜の黒さと雪の白さは、彼らの弔いを静かに描き出す。「鈴木さんがどこかで 元気でいてくれるといいなって ずっと思ってました」 ●「たいせつなしごと」 単調な仕事に明け暮れる毎日のなかで、いつのまにか自分の心は動かなくなっていた。いつかどこかのゲートが開いて、別の世界へ行けたなら…。暮らしのなかにある光を見つける小さな物語。
まめで四角でやわらかで
まめに働き、生真面目で、だけど心はやわらかで…… かつての東京を生きた人々のささやかだけど豊かな暮らしを、気鋭の作家がみずみずしい筆致で描く珠玉の連作短編集。市井の生活を丁寧に写し取った愛すべき十五編に加え、描き下ろしコラムとおまけ漫画も沢山収録!
龍子 RYUKO
フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、アメリカ、スペイン、アルゼンチン、台湾、セルビア、コロンビア、メキシコ…デビュー作にして世界各国で次々出版、新時代のハードボイルド・ノワール・アクション「龍子 RYUKO」。今、満を持して日本凱旋! 血と硝煙の匂いに満ちた、中東の王国・フルセーヤ。「黒龍会」組長の龍子は黒海へと勢力を拡大する中、幼い頃に亡くした母の死の真相を告げられる。深まる謎は因果の果てに。それぞれの善、それぞれの悪。修羅の舞台は日本・横浜へ――。血墨飛び散る、オール・アナログ・プロセス。怒涛の筆致で紡ぎ出される、“愛”そして“義”をめぐる親と子の物語。[収録話] 第一章 父娘 第二章 砂の雨 第三章 夜光虫 第四章 古傷 前編 第四章 古傷 後編 第五章 遺恨 第六章 三つ巴
かしこくて勇気ある子ども
女性を描き続けてきた著者が見つめる、この世界の現実。『Sunny Sunny Ann!』『ハウアーユー?』以来、6年ぶり長編作品。「勇気をもってくれた親へ ありがとう 生まれてきてくれた命へ ありがとう 勇気はアナタの中にある灯火」 サヘル・ローズ氏(女優) 「ようこそ、この世界へ」。私たちは今、全ての子どもたちにこう、語りかけることができるだろうか。」 安田菜津紀氏(フォトジャーナリスト) 第一子を妊娠し、生まれてくる我が子へ期待を膨らませる夫婦。二人は、賢くて勇気ある子に育てば、明るい未来が訪れると信じていた。出産を目前に控えたところに、夫婦はある少女の身に起きた事件を知る。それは少女が賢くて勇気があった故に標的となった凶行だった。無邪気に信じていた未来が揺らぎ、妻の心は動揺する。これから生まれてくる子供に、私たちは何を伝えればいいのだろう――
ニュクスの角灯
1878年(明治11年)、動乱の幕末は遠ざかり、長崎では海外貿易で莫大な利益を得る商人が多く現れはじめていた。西南戦争で親を亡くした少女・美世(みよ)は奉公先を求めて鍛冶屋町の道具屋「蛮」(ばん)の扉を叩くが、そこで彼女を待っていたのは、店主・小浦百年(こうら・ももとし)がパリ万博で仕入れてきた最先端の品々と、それらに宿るベルエポックの興奮と喧騒だった……ジャック・ドゥーセのドレス、ダニエル・ペーターのミルクチョコレート、シンガー社のミシン、セーラー服、エジソンの蓄音機、革ブーツ、眼鏡、幻灯機(マジック・ランタン)……先進と享楽の都・パリ渡来からやってきた“夢の品々”に導かれ、少女はまだ見ぬ世界へ歩み出す……
奈良へ
人はかくも業深く、古都はかくも偉大なり 古都・奈良。三つの世界遺産を擁する日本を代表する観光地。売れない漫画家、マイルドヤンキー、パンクス、やる気のない野球部員、冒険のパーティーからそこはかとなくハブられている航海士、街頭で奈良の崩壊を訴える謎の男……名所旧跡で繰り広げられる若者たちの群像劇は、やがて人間の業を深々とえぐり出し、世界の虚を暴き出す衝撃の展開へ―― 「トーチweb」連載時から話題騒然! 若き無頼派が到達した「リアリズム漫画」の最前線 第1話 西大寺 第2話 東大寺 第3話 法隆寺 第4話 唐招提寺 第5話 飛鳥寺 第6話 興福寺 第7話 ドリームランド1 第8話 ドリームランド2 第9話 ドリームランド3 第10話 ドリームランド4 第11話 平城宮跡 第12話 猿沢池 ―――――――― この「奈良へ」という作品を読んでまず思ったのは、これは途轍もない傑作だ、ということで、私は読後、暫くの間、虚脱していた。(解説:町田康) ――――――――
武蔵野
多摩川の中流や、武蔵野線・南武線沿線の地域には、田舎のような郷愁を感じるわけでもなく、下町のような情緒もない、只、時代に取り残された殺伐とした景色が広がっている。早朝の多摩川で対岸の景色を眺めているだけで寂しさがこみ上げてくるような。『死都調布』作者が漂着した前人未到の旅漫画。【収録話】 高麗 秋津駅⇔新秋津駅 北朝霞 小野路(多摩丘陵) 横浜 羽村市動物公園 江東区 沼南 夏 府中本町 【特別収録】 作者撮り下ろし・カラー口絵8P 縄文ZINE版「武蔵野」 【巻末寄稿】朝宮運河(書評家・『宿で死ぬ 旅泊ホラー傑作選』編者) 不穏さと脱力感、狂気とおかしみ、残酷とおだやかさ。それらが絶妙なバランスで共存し、混在する令和のミステリー・ゾーン。斎藤潤一郎が再発見したそんな武蔵野の姿は、どこか危うさを感じさせる笑い声を響かせながら、私たちを手招いているのである。
創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊
【第5回トーチ漫画賞〈大賞〉受賞作】エアコン組立工場で働く川上綾は、小説家志望。 繰り返される単調な日々の中、月に一度、文芸サークルの集いを楽しみにしている。 しかしある事態をきっかけに、信じていた日常は崩壊する。 「”創作”なんかから卒業するきっかけを 本当はいつも探していたんだ」 逃れられない創作の呪縛、 この苦しみが誰かの喜びに変わる時まで――。
神田ごくら町職人ばなし
「金なんざどうだっていい。心意気の話さ。わかるだろ?」 ただひたすらに、ひたむきに…… 桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官。伝統の手仕事を圧倒的ディテールと珠玉のドラマとともに描く歴史的傑作。■桶職人 覚えときな。木ってのは生きてんだ──木を見つめ木と生きる桶職人の一日。■刀鍛冶 自分が打った刀で子どもが殺された。灼熱の鍛冶場ーー多くを語らぬ刀匠の胸中は… ■紺屋 友禅染が大流行する中、藍染の意匠に悩む一人の職人。先の見えない仕事に心は沈むが… ■畳刺し 明け渡った吉原が男達の仕事の場。暮れの畳の張り替えに遊女達の冷やかしは付き物で… ■左官(一、二、三) 土蔵の普請場に奇妙な男が現れる。甚三郎と名乗るこの男、上方から流れてきたようだが…
うみべのストーブ 大白小蟹短編集
俵 万智 「小蟹さんの澄んだ心の目。そのまなざしを借りて私たちは、忘れそうなほど小さくて、でもとても大切な何かを見つめなおす。たしかに降ってきたけれど、とっておけない雪のように。」 雪のように静か。冬の朝のように新鮮。自分の気持ちに触れることができるのは、こんな時かもしれない。[収録作品] ●「うみべのストーブ」 運命のように出会ったえっちゃんとスミオにも、ある日訪れた別れ。傷心のスミオを海に連れ出したのは、隣で彼を見守り続けていたストーブだった…。「ふたりが…お互いに、好きだったこと 私はちゃんと覚えてる 何度だって思い出すよ」 連載時のカラーを再現し、2色刷で収録。●「雪子の夏」 トラックドライバーの千夏が雪の日に出会った、雪女の雪子。夏のあいだは消えてしまうという雪子に夏を見せてあげたい。忘れられない夏の物語。「誰もあたしのことを 思い出してくれなくなったら こんなぼんやりしたまま 永遠に消えちゃうの?」 ●「きみが透明になる前に」 ある日事故で透明になってしまった夫。彼の姿が見えないことにほっとしている自分はもう、彼を愛していないのだろうか…。見えないものに触れる、夫婦の絆のかたち。「ねえ泉 ありがとう 僕を見つけてくれて」 ●「雪を抱く」 パートナーとの間の妊娠を知り、複雑な気持ちの若葉。大雪で家に帰れなくなったある日、偶然出会ったコウコと朝までの時間を過ごす。女性の身体をめぐる物語。「わたしの身体が わたしひとりだけのものだったことなど 一度でもあっただろうか」 ●「海の底から」 仕事で忙しい毎日を送る深谷桃は、かつてのように小説を書くことができない。いまの自分はまるで海の底から上を見上げているようで…。創作に向き合うことができないでいる生活者の苦悩の物語。「悔しい 書かなくても幸せでいられるのが」 ●「雪の街」 はなれていた親友の突然の死をきっかけに訪れた、昔住んでいた町。思い出のファミレスで出会った森田という男と、死んでしまったスーちゃんのことを思い出しながら、雪道を歩いていく。夜の黒さと雪の白さは、彼らの弔いを静かに描き出す。「鈴木さんがどこかで 元気でいてくれるといいなって ずっと思ってました」 ●「たいせつなしごと」 単調な仕事に明け暮れる毎日のなかで、いつのまにか自分の心は動かなくなっていた。いつかどこかのゲートが開いて、別の世界へ行けたなら…。暮らしのなかにある光を見つける小さな物語。
#介護ロボットが人類を削減している
持ち前のパワフルさで薄給かつ激務の介護業界を奮闘する介護士「神田はんな」。 彼女は2年前に導入された介護ロボット「アレテー」が気に入らない。 労働時間の制限なし、専門的な介護作業は◎、しまいにはセンサーで人間の感情まで理解する。 そんな万能さが勘に障るのだ。しかしある日、彼女は「アレテー」の秘密を知ってしまいーーー。
みちくさ日記
13歳の若さで「ちばてつや賞」を受賞し漫画家としてデビューするも、ほどなく精神科病院に入院……病院から通う学校生活、農作業に盆踊り、ボクシング部入部、デイケアで輪投げの日々、元カレの逮捕・出所・プレハブ暮らし、新しい診断、脱腸、恩師との再会……著者・道草晴子が歩んできた15年以上にわたる途方もない“人生の道草”と、再び絵筆を執るまでの涙と笑い、そして再生の記録。「トーチweb」での連載時から、漫画、文学、音楽、現代美術、音楽、医療、福祉、教育の分野でも大きな反響を呼び、多くの現役クリエーターが注目する、ノンフィクション漫画の最前線!! ★坂口恭平、佐藤龍一、曽我部恵一、高浜寛、ちばてつや、tofubeats、野中モモ、深町秋生、山田参助ら、各界の第一線から称賛の声が続々と! ・ぐっとくる…窓からの青の色すごくいい色。(坂口恭平) ・ユーモアがあってものすごく面白い。ブルースが聴こえる。(佐藤龍一) ・素晴らしい。(曽我部恵一) ・他人事と思えない。私は晴子ちゃんを応援する。(高浜寛) ・漫画描くのやめないで頑張って、偉いぞ!(ちばてつや) ・良いと感じました。(tofubeats) ・本物の才能を確信した。(野中モモ) ・これはハード&面白い!(深町秋生) ・とても“良い意味”での成長譚!(山田参助) ★世代や職業、性別を越えて“ハマる”人が続出! ・死ぬほど笑って死ぬほど泣いた(看護師 35歳) ・病院内が「LOVEマシーン」でブチ上がってるのとか、壮絶(大学生 21歳) ・道草さん、どんな社会人よりマトモだと思う(主婦 55歳) ・今まで読んだ中で一番パンクな漫画!(会社員 29歳) ・医療・福祉関係者にとって考えるべきことが沢山詰まった作品(介護士 42歳) ・ボクシング部の先生の熱血指導、何度読んでも笑う(塾講師 28歳) ・「保護就労」と「障害」の意味、もう一度考え直したくなった(精神保健福祉士 36歳) ・恩師との再会の場面、涙なしには読めない(小学校教諭 27歳) ・あ、これ、ガチな人だ……(アルバイト 28歳) ・この絵! この字! この線! 全部ヒドいのに、どうしようもなくクセになる!(会社員 43歳) ・恋人のプロフィールが衝撃的すぎる!(薬剤師 28歳) ・道草さんが今、漫画を描いていることが嬉しい(公務員 36歳) ・なんて幸せな結末だろう!(会社員 33歳) ……ほか多数!!
豊作でござる!メジロ殿
ちさかあや(郷土を愛する実力派)×原恵一郎(漫画家兼農家) 長野県在住コンビが贈る、信州・幕末農業ドラマ!! 人の向上心が農業の発展を促す! 農政を司る郡奉行・目白逸之輔の周囲にはいつも農事にまつわる無理難題と悲喜こもごもが……
「今年読んでよかったマンガリスト」を作ったときに、今年読んだ読み切りで何が良かったかな…と思いだす中で、真っ先に思い出したのが本作だったんですよね というか、「ゼロ災でいこうっ」のシーンが思い浮かんだ(添付) 衝撃的なシーンでした 大人になっていく中で、飛行機事故を契機に、自分の「核」が創作ではなくなっていたということ(又は、自分の「核」は最初からそんなところにはなかったということ)、そして、現実を前に情熱は失われてしまっていたこと、そのことを自覚する物語 それが、本作に対する私の印象でした …が、読み返してみると、実はそうではなかった だって、主人公は、そのことを自覚しながら、それでも、創作をやめられないから 「他の選択肢がない」という理由で、やはり創作を辞めることができない 別の人生を歩めるなら歩みたいと泣くのに、それでも辞めることができない それどころか、キャロット通信は解散し、仲間もいなくなり、 誰も読んでくれない、読者すらいないのに、辞めることができない 「にもかかわらず…私は…懲りもせず」 「また繰り返す…どうして?」 「なぜ??」 たぶん、このセリフこそが、この作品の核心なのでしょう 主人公にとって、創作は、苦痛なのでしょう でも、主人公の救いは、もはや創作しかない だから、主人公は、創作に向き合い続ける 「赤羽」に登場するペイティさんが、 「やはり創らないと気が狂いそうだから創るってコトですね…」 と言ってました(増補改訂版4巻、ボーナストラック9話)、 「創作」というのは、もともと、そういうものなのかもしれないです あ、ところで、そんなふうに「創作」をやめることのできない綿本おふとん先生ですが、トーチwebで新連載とのこと!みんなで応援しようね! https://x.com/offton_w/status/1873197901478019149