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Lancet Infect Dis誌から
3価不活化インフルワクチンの成人でのefficacyは59%
PCR・培養による確定例のみを対象としたメタ分析の結果

 インフルエンザワクチンの有効性をインフルエンザ確定例を指標に評価した研究のみを対象とした、初めてのメタ分析の結果が、Lancet Infectious Diseases誌電子版に2011年10月26日に掲載された。著者である米Minnesota大学のMichael Osterholm氏らは、3価の不活化ワクチンTIV)の成人に対するefficacy(臨床試験など理想的な条件下で得られた有効率)は59%にとどまり、65歳以上と小児に対する効果を示したエビデンスはないこと、弱毒生ワクチンLAIV)は7歳までの小児には高いefficacyが期待できることなどを明らかにした。

 過去60年間、ワクチンはインフルエンザ予防戦略の中心にあった。米国では現在、生後6カ月以上の全員に対してTIVの接種が、また、2歳から49歳の妊婦以外の健康な人々にはLAIVの接種も推奨されている。だが、LAIV接種者はインフルエンザワクチン接種者全体の約9%にすぎない。

 著者らは現時点で最も質の高いエビデンスを得るために、厳格な条件を設定して、米国で承認されているインフルエンザワクチンの有効性を評価するメタ分析を行った。

 Medlineを対象に、1967年1月1日から2011年2月15日までに報告された論文で、RT-PCRまたは培養法を用いてインフルエンザウイルスの感染を確認していた研究を探した。

 まず、インフルエンザワクチン、偽薬、別のワクチンのいずれかを接種した人々が、その後の流行期にインフルエンザ確定例となるリスクを比較した無作為化試験を選出し、TIVとLAIVについて、統計解析が可能なデータを選んでプールし、ランダム効果モデルを用いてefficacyを求めた。

 次に、条件を満たす観察研究(ケースコントロール研究、ケースコホート研究、前向きコホート研究)の中から、同様に、RT-PCRまたは培養でインフルエンザ罹患を判定していたもの選出し、effectiveness(現実社会で集団に見られた効果)を評価した。

 条件を満たしたのは31件の研究で、無作為化試験が17件、観察研究は14件だった。

 TIVに関する無作為化試験で、著者らが設定した条件を満たした中に、2~17歳を対象とする研究と65歳以上を対象とする研究はなかった。

 18~64歳を登録して行われた無作為化試験で、プール解析が可能だった8件のデータを合わせて推算したefficacyは、59%(95%信頼区間51-67%)になった。これらのうち有意なefficacyを報告していた研究は6件で、50%から75%までの幅があった。

 LAIVに関する無作為化試験のうち、18~49歳を対象に行われた3件の研究は、いずれも有意なefficacyを示していなかった。一方、生後6カ月から7歳までの小児を登録した8件の研究のプール解析の結果は、この年齢の小児に対するLAIVのefficacyが83%(69-91%)になることを示した。それぞれの研究が報告していたefficacyは57%から93%の幅があった。8歳から17歳の小児について調べた研究の中には条件を満たすものはなかった。

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