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カニノケンカ大会でメチャクチャ面白いことが起こってたことを今更語らせてほしい (富山GamersDay 2020レポート)

 大会の開催から随分時間が空いて、この文章を書いているがそれには理由がある。

 

表題の大会について、あまりに面白かったことが起こりまくって語りたかったのは山々だったのだけど、客観的に見ると""コンプライアンス""的に問題だらけの事例だったからだ。

 


「王様の耳はロバの耳」と穴を掘って叫びたかったし(少しばかりは叫んだが)、この話は中々ボリュームがあるし、語るにもインディーゲームの話なので極めて少数に限られてしまう。

 

考えに考えた結果、少々周りと自分の身体を爆風で痛めたとしても、このブログを「穴」として書き記すことにする。

 

 

話は2020年10月に遡る。

 

突然インディーゲームである『カニノケンカ』での賞品付き大型大会が告知された。

 

しかも富山で。

 

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インパクトが強い告知画像

 

このイベント、『ToyamaGamersDay』とは不定期に富山県で実施されている複合型のeスポーツ大会である。


募集種目は格闘ゲームジャンルが主ではあるが、変わり種の大会タイトル選出が多くなされている。


この『カニノケンカ』大会の募集要項、何が凄いというとその賞品量である。

 

ご当地の紅ズワイガニを合わせて100杯以上。

 

結局優勝者に30杯、2位に12杯、ベスト16でも一人2杯という賞品の大判振る舞いがされていた。

 


カニノケンカは一部界隈で話題になった味があるゲームではあるが、正直50人も富山にプレイヤーが集まることは考えにくかった。


その中で1~2回勝てばカニがゲット出来る。

 

また2019年はキャサリン・フルボディを大会タイトルとして採択していただいていたという背景もあって、一度富山には行かなきゃなと思ってたところ、Go toキャンペーンやらもあるしで参加を決意した。

 


また簡単に「1~2回は勝てるでしょ」とか参加者なめてんのかと思われるかもしれないが、令和のクソゲーマイスターといっても過言ではない「へいほぉ氏」が割とカニノケンカをやり込んでたのを知ってたので、困ったら聞ける環境があるというのも大きかった。

(へいほぉ氏が作成した以下のムービーを見たら大体どんなプレイヤーか分かる)

 

 

 

発表から本番まで約1ヵ月。

 

最初の2週間はゲームの基礎システムの把握と自分に合うカニ選びに勤しんだ。

 

その結果得られたカニノケンカにおける対戦の特徴は以下の通りである。

 

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カニカニが戦う(たまにカニじゃないのもいる)

 

・使用出来るカニの種類はかなり多い(wiki参照)が、大別すると大体軽量級・中量級・重量級に分けられる。


・体力は某大乱闘のようにパーセント表記で蓄積される。数値が上がれば上がる程ひっくり返りやすくなる。


・ひっくり返って3カウント取られると負けだが、起き上がりさえすれば何回ダウンしても負けない。


・大体重いカニはひっくり返りにくくて遅い。軽いカニは早くてひっくり返りやすい。


素手カニは一部を除いて滅茶苦茶弱い。武器を装備してナンボである。


・武器は主に近接・大型・射撃・投擲・移動(乗り物)に分けられる。


・全てのカニで全ての武器を装備出来るが、使用感にはかなり差が出る。原因は手のついてる位置や可動域によるものである。


・例えば手が前についてて可動域が少ないロブスターは手にブレが少ないので射撃武器が得意である。例えば身体が大きく手足が長く可動域の広いタカアシガニは何でも振り回せるが、扱いが非常に難しい。


・50%ダメージを喰らうとハイパー化ゲージが溜まる。一定時間めちゃくちゃ強くなるが発動中はダウンしなくなることもあり、「後出し発動」が基本的に有利である。

 

 


以上のようなザっとした前提を基に残りの2週間ランクマッチに潜った結果、以下のような知見が得られた。

 

・強いカニ、というよりはある程度「使いやすいカニ」でランクマッチは構成されている。


カニの相性より圧倒的に武器の相性で有利不利が決定する「武器選びゲー」である。


・例えばでかいカニは近接戦で無類の強さを誇るが、逆に射撃や投擲武器に弱い。


・ただしステージも完全ランダムであるため、極端に狭いステージや広いステージが選ばれると相性が逆転する可能性もある。

 

 

ここから何が行われてたかというと、「マッチングした相手の名前で相手のカニと武器の構成を覚えて武器を被せる」という行為である。

 


当然被せられた相手は被せられた事実に気付くため、更に対策して被せることで周っている。

 

明らかに操作が上手すぎる数名が存在したものの、基本的には「武器さえ被せれば多少の腕の差は何とかなる」というゲーム性であることが理解出来た。

 

 


こうしてランクマッチでの練習を進め、全国20位程度までランクを上げることが出来ていたものの、どうしても勝てる気がしないプレイヤーが数名存在してた。


その内一人が面倒なことにへいほぉである。

 

前述したように相手に蓄積ダメージを与えてダウンを奪いにいくゲームであり、大体150%もダメージが蓄積すれば重量級のカニでもない限りは足元がフラフラになり転んでしまう。

 

そんな中へいほぉが扱う「ガザミ」は200%を超えてもなおアンバランスな体勢で耐えてしまうのだ。

 

 

自分でガザミを使って、武器も合わせて検証してみたもののこちらはすぐに転んでしまう。

 

明らかにへいほぉは何かを""やってる""…

 

 


そう確信して「お前、絶対何か""やってる""やろ」と聞いたところ、

 

へいほぉ「いや、ちょっとそれは企業秘密でして…」

 

 

 


やってた。

 

 

やってたのだがまぁいい。

 

今回のカニノケンカ大会は賞品もかかってるし、別に私は優勝を目指してるわけではない。


あくまでも目標はベスト16のカニ2杯、あわよくばそれ以上というところで、そもそもへいほぉに当たったらそれまでとして諦めようという気概でいこうと心に決めた。

 

 


このカニノケンカ大会であるが、この大会告知~開催までの一か月の間にもこの他色々な事があった。

 

・人気Youtuberのぽこぴーの参戦。

この参戦で大会の参加者は一気に増えることになる。

 


・様々なルール追加。


恐らく運営はノリでカニノケンカを大会タイトルとして選んでしまったがために詳細を詰めずにきてしまった。


レギュレーションは恐らく事前に開催されたVRChatでのカニノケンカ大会の動画を参考に組まれたと考えられる。

 

www.youtube.com

 

 

具体的には見栄えが悪そうなガン逃げ作戦が取れる「シャコ」の禁止。

合時間の短縮等である。

 

しかし大会の一週間程度前も追加のルール追加があった。

 

それは高軌道力を得れる「ジェット」やハイパー化を利用した高台へのガン逃げ戦法である。

このルールを追加ルールを提案した"有識者"とは何者なのか…?

 

 

 

 

 

そんなこんなで大会当日を迎える。

 

基本の大会のレギュレーションとしては


・使用する「カニ」は固定。
・選択する武器は自由。
・時間は150秒。
・Switch2台を横並びのモニターに分割して対戦を行う。

 

 

さてわずか4行のレギュレーションを書いて"ゲーマー"の方は違和感を感じられただろうか。

 

先に述べたようにこのカニノケンカにおける対戦モードは「武器被せゲー」である。
すなわち「相手の武器が分かる」というのが最大のアドバンテージであるにも関わらず、選び方が今回は規定されていない。

 

しかも横並び。


のぞき見し放題である。

 

 


大会を見学してると…明らかに""チラ見""して決めてる奴がチラホラいる。

 

一方のへいほぉを見てみると、実力者と当たったのかお互い同意の基モニターをハの字に配置し直していた。

 

流石である。この男、抜け目が無い。

 

 


また、後々聞いてみたら「ランクマッチで当たった相手のカニと武器は全部メモして持ってきた」とのことだった。

 

皆さん、本当に勝ちたいのであればこのくらいは当然の準備と思いましょう。

 

 


また、1回戦が行われた時点であらかたどのプレイヤーがどの程度の実力を持ってるかが把握することが出来たが、同時に明らかに強い人達が結構参戦してきてることも把握できた。

 

しかし、その人達の名前がいずれも「見たことない名前」なのだ。

 

これもまた本来あり得ない事態である。

 


カニノケンカはSteam版とSwitch版が販売されているものの、今回のレギュレーションはSwitch版である。


しかもSteam版とSwitch版は若干バージョンが異なる。加えてコントローラーの縛りもあるので当然Switch版で調整してきてるはずだ。

 

1ヵ月やった私が20位程度まで登れるランクマッチである。上位強い人はせいぜい10人程度しかいない。

 

そこにいるのは「Switch版のランクマで見たことあるカニと武器を扱う見たことある戦い方をする、初めて見る名前のプレイヤー達」であった。

 

 

すなわち、上位陣は名前による武器被せが横行すると読んで"偽名エントリー"が横行していたのである。

 

当然の如くへいほぉも偽名でエントリ―していた。

この男、流石である。

 

 


さてそんな""盤外戦術""が横行する大会を見学していたところ、へいほぉとその友人がある試合を見てザワついていた。

 

私もその試合を覗き見たところ、なんと画面上の瀕死のガザミが絶妙にバランスを保っていた。

 

 

あの動きはまさか…!

 

 

へいほぉ「あれは完全に"やって"ますね…あのテクニックを使っているのはこの世に3人のはず…」

 

僕「あの戦法はお前と友人しか使ってなくなかったか?残る一人とは?」

 

へいほぉ「""師匠""です。」

 

 


師匠。

 

 

なんとへいほぉのガザミ戦法はとあるプレイヤーのプレイに違和感を感じたへいほぉとその友人が、そのプレイヤーを問い詰めた結果聞き出した戦法であるという。

 


師匠。その登録名は「53万」。

 

もちろん偽名である。

 

 


とんでもない事が起きている。


この大会は「カニの魔力」に取りつかれた魑魅魍魎によってかき回されている。

 

 


そんな中一方私はというと…

 

へいほぉ、友人、師匠が順調にベスト16まで歩を進める中、あえなく2回戦で敗退してしまっていた。

 

ノーカニでフィニッシュかぁ…と膝を抱えて悲しんでいると、富山eスポーツ協会のPUSHMAN氏が登場

 

PUSHMAN「その…いきなりのお願いなんですけど…」


僕「はい」

 

PUSHMAN「ベスト16から…解説…していただけないでしょうか…?」


何から何まで予想外だ。

 

恐らく現地勢は準備に必死でカニノケンカの練習までは出来てない。


一方遠征してくるような人は大体ベスト16に進出してるので解説席には座れない。


恐らくハナから現地勢で誰か都合が良さそうな人間を登用する予定だったのだろう。

 

ましてや他ゲーの運営でマイクを握ることもある人間であるならば、そりゃ消去法で僕になる。

 

余談ではあるが、PUSHMAN氏は「報酬はカニ払いで」と後日カニを送ってくれた聖人である。

 

 


残った16人を見てるとトーナメント運が良く登ってきてるプレイヤーを除くやり込み勢の動きをしてるプレイヤーはほぼ全員偽名。

 

恐らくYoutubeで積極的に配信してた一人以外は全員盤外戦術までやり込んで来てる猛者が残った。

 


しかしこれは決して卑怯でもなんでもない。

レギュレーションで定めていない運営側の落ち度である。

 

 


そしてトップ4

 

へいほぉと"師匠"こと53万氏が無法のガザミ戦法で相手をなぎ倒して順当に上がってきてぶつかったのである。

 

ベスト16からはステージ上で行われるので、予選とは異なり相手のモニターは見えないのでもう安心だと思ってたら…

 

 

 

 

あ…!

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ああ…!!

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後ろのスクリーンを見てるっ…!!!

 

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これにしっかりと気付いたへいほぉ、すかさずスタッフを介して「先に武器を選べ」と抗議を入れる。

 

重ねて書くが、これは卑怯でもなんでもなく、レギュレーションを定めていない運営側の落ち度である。
ルールの中で最大限に勝ちに行く姿が正しい。

 


ただ、明らかに""スポーツマンシップ""論で行くとダメそうなので、解説中は「見てますね~~~」としか言えなかった。


これ以上は""荒れてしまう""と本能的に察知したからに他ならない。

 


試合はというと両ガザミが踊りまくる不思議な熱戦を繰り広げ、僅差で"師匠"53万氏の勝利した。

 

 

そして決勝はYoutube配信をしてた「いぬまろ」選手と"師匠"53万氏


恐らくいぬまろ選手はこの大会唯一とも言える名前が一致するクリーンファイターであった。

 

しかし、このいぬまろ選手、トライデントとブーメランを巧みに使う戦術をアボリジニと銘打ち、タスマニアオオガニの巨大な爪とジェットで相手の武器を奪う戦法を「万引きジェット」と銘打ち、しまいにはタスマニアオオガニの巨体で押しつぶすテクを「種付けプレス」と銘打つなかなかの""e-ヤカラ""であった。

 

インディ―ゲームじゃなかったらそんな名称がついたテクニックは即刻修正か削除かされてしまうであろう。

 

 


結局この大会にクリーンなファイター等いなかったのである。

 

全員がカニの魔力に取りつかれた狂人の集い…

 

 

完全に邪推となるが…大会前にルールを"進言"してたのも"師匠"だったのではないかと疑っている。
彼はもしかするとカニで世界を征服するために顕現した男だったのかもしれない。

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カニで世界征服を企んでたのかもしれない

 

 

一進一退の攻防が繰り広げられる決勝の熱戦と結果は是非動画で見ていただきたい。

最後に放たれた特大のカニタマはこのゲームの面白さが凝縮された一瞬だったと思う。

(大会は5:35:00頃から) 

 

 

www.youtube.com

 

 

 

 

 あとがき(言い訳)

 

インディーゲームにも時々とんでもない「面白さ」を持っている作品が登場する。


しかし大半はその面白さがあまり理解されないまま眠ったままである。

 

昔ならいざ知らず、作品が飽和してるこの状況では全部の作品を楽しむ時間はもう現代人は持ち合わせていない。

 


誰かがその面白さを発信するからこそ、作品は語り継がれ生き残っていくのである。

 

是非とも自身がした面白かった体験を綴ってみてほしい。


それがもしかしたらその作品の助けになるかもしれない。


(僕は絶対に関係者に怒られるしまぁ怒られてもいいかと思いながらこれを書いてます)

 

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届いたカニはめちゃくちゃ美味しかったです。

 

 

※1/26 11:00追記

"やってた"テクニックとは、チート行為等ではなく、ガザミの特性を利用した体勢維持テクニックです。(現在は修正されています。)

 

このゲームは本来カニの手の動作で姿勢制御をする必要がありますが、当時は偶然ガザミでのみ、ジャンプボタンを連打することで姿勢を維持することが出来る隠されたテクニックがありました。(詳しくは大会中の選手の手元を凝視してみてください。)