✔️ フレキシブルなワーキングディスタンスで使用可能
新しいX線センサーの位置は、幅広いワーキングディスタンス(WD)にいて、安定した組成情報を取得することが可能です。
オックスフォード・インストゥルメンツは、走査電子顕微鏡(SEM)の革新的な新しいイメージング技術を実現する新しい検出器、Unityを開発しました。Unityは反射電子(Backscattered Electron) と X線(X-ray) を組み合わせた、世界初の”BEX”イメージング検出器です。反射電子とX線信号をシームレスに組み合わせ、元素情報を組み込んだ高精細カラー画像を高速で表示しながら、試料の観察を進めることができます。
反射電子検出用とX線検出用のセンサーをひとつのヘッドに組み込む革新的な設計により、ポールピースの真下に設置されたUnityはそれぞれの信号を最大効率で収集することを可能にします。このため、元素情報による像を簡単に、従来の電子線画像と同様の電子ビーム条件、収集速度で得ることができます。
高速でのBEXデータ収集が可能なUnityは、画像収集をかつてないほど簡単にし、試料全体の分析を数分で行い、また電子顕微鏡の使用方法を大きく変えます。
異なる2種類のセンサーをひとつに統合したの検出器ヘッドをもつUnityは、電子顕微鏡のポールピースの直下に配置されます。この独特の設計により、Unity検出器はそのスピードとパワーを獲得しています。
従来のイメージング検出器と同様に、Unityには、試料の密度に関する情報を取得する反射電子(BSE)センサーが搭載されています。このセンサーは、試料内の各結晶相を、その原子番号に直接関連する輝度で表示します。
それとは対照的に、X線センサーは元素情報をもつ特性X線を収集し、Unityがカラー画像の迅速な生成を可能にします。それぞれのセンサーからの信号は、適切に重ね合わされることで、解釈が容易な有意義な試料画像を提供します。
この画像をすぐに確認できることで、多くの不確実性や適当な推量を試料分析業務より排除し、顕微鏡使用者は確信をもって試料の観察を進めることができ、分析のためのワークフローを著しく改善します。
Unity BEX イメージングシステムは、X線によりカラー化された電子線像を、従来のイメージング検出器と同様の標準的なビーム電流量で観察できるだけでなく、そのほかの一般的な操作条件において使用することができます。
新しいX線センサーの位置は、幅広いワーキングディスタンス(WD)にいて、安定した組成情報を取得することが可能です。
Unityの2つのX線センサーは、深い溝など、通常は影になり信号の取得が難しい凹凸構造があっても、データを得ることができます。さらに、2つのBSEセンサーは凹凸像(TOPO)モードに設定することで、必要に応じて、試料密度ではなく試料の凹凸を強調した画像を得ることも可能です。
Unity のセンサーヘッドは、電子ビームが通過するための穴を大きくすることで、フィッシュアイのような広域視野モードを最大限に活用することができ、高解像度画像の収集だけでなく、マクロレベルの試料全体の分析も可能にします。
Unityは低真空モードでも使用することができ、導電性のない試料においてもBEXイメージングを活用することが可能です。
従来のBSE検出器とは異なり、UnityのBSEセンサーは信号収集効率を最大化する特殊形状となっており、ペルティエ冷却により高い感度とともに、高性能なBSE検出器になっています。
Unityは、数十年にわたる各グレード最高のX線検出器を開発してきた技術と専門知識を基盤として構築されています。当社のAZtecソフトウェアプラットフォームに統合されたUnity 検出器は、独自技術であるTru-Q テクノロジー、高スループットな X4アナライザユニットと、AZtec ライブケミカルイメージングによりサポートされ、試料からの画像収集が瞬時に行われるだけでなく、その結果が偽りなく正確であることを保証します。
BSE画像検出器は通常、ポールピースの下に設置さ れますが、X線検出は通常、試料からの距離が離れていて、仰角の低い位置に設置されたEDS検出器でのみ行われます。ポールピースの下にUnity検出器ヘッドを配置したX線センサーは、BSEイメージングに使用される低ビーム電流とドウェルタイムと同じでありながら、非常に大きな収集角により高い信号量を得ることができます。
試料表面の広い領域を観察し、関心のある領域のデータを取得することが可能になります。観察箇所を移動している間に、試料を構成する元素やその組成を、フルカラーのライブイメージとして確認できます。これらの情報を即座に画像化することで、分析の内容によってはわずか数分で目的を達成することができ、もしくはほかの対象を追加で調査したり、EDSやWDS、EBSDといった分析手法による詳細な分析へシームレスに移行可能です。
BEXが提供する試料観察手順の圧倒的なスピード感は、Unityが、“標準的な” 電子顕微鏡ワークフローを根本的に変えることを可能にします。ある試験で、Unityは電子顕微鏡の生産性を最大100倍にまで高めました。その理由がこの新しいワークフローにあります。
Unityによる画像収集ではさらに、試料全体からの正確で高精細な元素情報マッピングも可能にします。これは、以前では何時間も、場合によっては一晩を測定に必要としましたが、今では数分で完了することも可能です。
左下のマッピングは、12mm径のアルミスタブ上の試料全体です。Unityはこのマッピングを30分以内で収集しました。ズーム機能を使用することで、非常に高い解像度が得られていることがわかります。従来の方法では、この画像を収集するためには約10時間を必要としました。その間、装置は拘束され、ほかの重要な分析の進捗を遅らせることになります。しかし、Unityなら、コーヒーを飲みに行くほどの時間で達成可能です。取得されたデータはオフラインでの解析が可能となり、その間、電子顕微鏡は次の試料の分析に使用可能です。
右下の画像は、海洋鉱物資源のマンガン団塊をUnityで分析したものです。サイズはおよそ26x22㎜です。ズーム機能を使用することで、このマップから試料全体を高分解能で実際に観察することができます。それぞれの視野は374倍で取得され、1288視野によりこの画像は構成されています。Unityの並外れた高いスループットにより、このマップは3時間26分で収集されました。
世界初の反射電子・X線(BEX)イメージング検出器 "Unity "をご紹介します。
ビデオでUnity BEXの簡単な紹介をご覧ください。なぜ私たちがこれをSEMの未来のイメージングと呼んでいるのか、その理由をご覧ください。
BEX検出器を用いて、フライアッシュサンプルを分析した動画 (加速電圧20kV)
Unity検出器を用いることで、ステージを動かしながら視野を移動し、すべての元素を検出するとともに、その分布をライブで効果的に観察することが可能です。さらに、驚くほど高解像度のX線マップをわずか数秒でキャプチャできます。また、UnityによるBEXイメージングでは、試料の凹凸による影の影響を最小限にすることができることも、大きな利点です。
Hitachi SU 3500を用いて、加速電圧20 kV、ワーキングディスタンス11 mmで、電池用粉末サンプルを低い画像解像度で高速観察しています。最初の画像では、サンプルを150 倍で観察しました。右側のグレースケールのBSE画像では、汚染粒子を検出できませんでしたが、左側のカラーのBEX画像では、汚染の可能性のある複数の粒子を、容易に確認できました。さらに350倍まで拡大して画像を収集したところ、FeとAlを含む汚染物質を簡単に識別でき、個別の元素にフォーカスしたさらなる分析を可能にします。
Hitachi SU 3500 を用いて 加速電圧20 kV、ワーキングディスタンス10.8 mm、倍率1500 倍で電池用粉末サンプルを分析しました。表面を低い解像度設定で素早くスキャンし、詳細な調査が必要となる異物の捜索を進めています。異物を発見したら倍率を上げ、画像を取得しています。BSEおよびBEXの画像双方にてFeを含む異物の存在は明らかですが、Al異物が存在することは、BSE画像のみでは検出が困難です。
Hitachi SU 3500を用いて、加速電圧20 kV、ワーキングディスタンス11 mmで電池用粉末のサンプルの分析を行いました。初期の倍率は250 倍に設定しました。グレースケールのBSE画像では粒子タイプの混在が明らかになりましたが、BEXのカラー画像では C、Si、S、Cuが主に混在していることが明らかとなりました。よく観察すると、右側にCa粒子、左側にNi粒子が見つかりました。さらにナビゲーションを行い1000倍まで拡大すると、Ni粒子上にCu、Ca、Coが検出されました。