花園ラグビー場(大阪府東大阪市)で27日に開幕する全国高校ラグビー大会。県代表の日本航空石川(輪島市)は、元日の能登半島地震でグラウンドが割れ、練習場所を求めて岐阜県や埼玉県を転々とした。4月からは明星大青梅キャンパス(東京都青梅市)に腰をすえ、ボールを追う。20大会連続20回目の聖地。輪島への感謝の思いを胸に、初の頂点を目指す。 (浜中創太)
特徴は攻めるディフェンス。強いタックルでいち早くボールを奪って攻撃に転じるため、体の強さに重点を置く。外部コーチの指導を受けた徹底的なウエートトレーニングで下半身と体幹を鍛え、1対1のタックル練習を重ねた。
大舞台での経験値も強みだ。センター(CTB)の上野魁心(かいしん)主将(3年)をはじめ、昨年も花園を経験している選手が11人。団結力は強い。上野主将は「今年は圧倒的な選手がいるというわけではない。その分チームとしての総合力が高い」と語る。
攻守の中心となるナンバーエイト(NO8)は、圧倒的な突破力と闘争心を持つトンガ人留学生のカイアヌアヌ・セニセニ選手(3年)。平均体重90キロを超える大型フォワード陣も、全国屈指の充実度だ。
今年就任した紙谷直樹監督は「実力を発揮すれば優勝を狙える」と自信を見せる。上野主将は「設備の良い輪島を離れたのはしんどかった。ただ、首都圏の強豪と練習試合ができるなど、良い点もあった」と前を向く。拠点を移した4月には、ブルーシートでの雑魚寝も経験した。苦難を乗り越えたラガーマンたちが、石川に希望を届ける。
初戦は開幕日の1回戦で、鹿児島県代表の鹿児島実業と対戦する。