Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

建設現場に施工支援ロボット・特殊構法技術、大成建設の未来構想が動き出した

建設現場に施工支援ロボット・特殊構法技術、大成建設の未来構想が動き出した

巡回監視システムを搭載した四足歩行ロボット

大成建設は建設現場のデジタル変革(DX)を推進するための未来構想「T―TerminalX」の具体化に動き出した。これまで開発を手がけてきた施工支援ロボットや特殊構法技術を建設現場にツールとして導入。さまざまな用途で人と協調しながら作業を行い、省人化などの効果を引き出そうとしている。未来構想の実現に向けた研究開発や実証実験を今後さらに加速し、施工の自動化や機械化を進めていく考えだ。(編集委員・古谷一樹)

「DXの実現には、新しい技術を現場で使って業務変革につなげることが必要」。松崎重一建設本部生産技術イノベーション部長は、未来構想の意義についてこう強調する。ツールとして重要な役割を担うのが、他社との連携を通じて開発してきた各種システムや装置だ。

巡回監視システム「T―InspectionX」もその一つ。遠隔操作機能やあらかじめ指定したポイントを自律制御で巡回する機能があり、全方位カメラを装備した四足歩行ロボットに搭載することで「人に代わって現場の施工品質や安全の確認などを行える」(松崎部長)。

実際に首都圏の建設現場で同システムを搭載した四足歩行ロボットを導入し、階段の昇降や障害物の感知について実用性を確認済みだ。建物の竣工後に自動開閉扉や本設エレベーターとロボットを連動させ、フロアや部屋を自在に往来するなど適用範囲の拡大を図る考え。

清掃作業での成果も狙う。大きなゴミや大量の粉塵に対応する必要があるほか、工事の進捗(しんちょく)により作業環境が日々変化するため、これまでは清掃作業での適用は難しかった。そこでマッピングやティーチングなどの事前準備なしにロボットが移動経路を自動生成するシステム「T―CleanX」を開発し、現場での導入を進めている。

1台でさまざまなロボットに自動給電できるシステム「TーChargeX」

水平回転ブラシなど三つの異なる清掃機構を装備した荒清掃用ロボットと、微細な粉塵を除去する中間清掃用ロボットの2機種を用意。これらを使い分けることで適用範囲の拡大を目指している。

タブレットに表示された図面上で清掃エリアや進入禁止エリアを指定し、スタートボタンを押せば、指定範囲の全域で効率の良い経路を自動生成し、清掃を行う。走行中に検知した障害物を記録するとともに、回避ルートを自動で再生成する機能も備える。

さらにロボットの長時間稼働で必要となるバッテリーの充電に関しても、「ロボット開発で得たノウハウを生かしている」(松崎部長)。電圧や接続端子の形状・位置が異なるさまざまな種類のロボットに対応するため、1台で自動給電が可能なシステム「T―ChargeX」を開発済みだ。

バッテリー残量が少なくなったロボットが移動式台車に搭載された6軸多関節ロボットに近づくと、各ロボットに適した給電端子を自動で選択・把持してロボットに接続。自動で給電を開始する仕組み。移動式台車に搭載しているため、移動や設置を容易に行えるなど、建設現場での効率的な運用が可能だ。

日刊工業新聞 2025年2月20日

編集部のおすすめ