「あなたのビジネスパーソンとしての強みはなんですか?」
――そう聞かれたら、あなたははっきりと答えられますか?
ビジネスパーソンとして自分の「強み」を意識することはとても大切です。それを意識しながら仕事に取り組むことで、強みをより効果的に発揮しやすくなり、さらに鍛えることもできます。
この記事では、転職相談を通して多くのビジネスパーソンの「強み」に触れている転職エージェントのキャリアアドバイザーたちに、強みを誤解しているケースや、強みを自己分析する方法などについて聞きました。強みをつかめるチェックポイントも紹介しています。
目次
ビジネスパーソンとしての「強み」とは?
「強み」とは、個人の優れた特徴のことです。ビジネスパーソンとしての強みを表す場合は、主に、仕事で他の人より力を発揮でき、会社や所属している組織、チームに貢献できるような特徴のことを指します。
ただ、日々、転職相談に応じている転職エージェントのキャリアアドバイザーたちに取材してみると、「ビジネスにおける自分の強みを誤解している人が少なくない」とのこと。「自分では強みだと思っていることが、他の人から見るとそれほどビジネスで評価されないこともある」、逆に「自分には強みがないと思い込んでいる人が、他の人にはない強みを持っていることも多い」そうです。
強みについて、どのような誤解をしているのか、キャリアアドバイザーの声をもとにご紹介しましょう。
強みへの誤解①「資格を保有」「営業成績1位」「目標を100%以上達成」だけでは「強み」といえない
「ビジネスパーソンとして、あなたが自信を持っていることは何ですか?」とたずねると、「○○資格を取得しています」「営業で支社1位の成績を挙げました」「売上目標を150%達成して社長賞を受賞しました」などと答える人は多いようです。
しかし、「それは『結果』であって『強み』ではない」と、キャリアアドバイザーたちは口を揃えます。
「資格の場合、技術系資格や弁護士・税理士といった『業務独占資格』を除けば、資格を持っているだけではあまり意味がありません。『MBA』ですら評価されないことも多いのです。もちろん、取得した努力、学んだ専門知識、ビジネススクールで築いた人脈などは認められますが、本人が思っているほどには高評価につながらないのが実情です。『資格を学んだことで得た知識・ノウハウをこのように仕事に活かした』という『実践』が伴ってこそ、強みといえます」(キャリアアドバイザー・H氏)
つまり、「有資格者」になったことで満足するのではなく、学んだことを活かして行動することが重要。その「行動力」と、行動によって知識やノウハウを自分のものにしてこそ「強み」といえるわけです。また、「営業成績」や「目標達成」についても、結果ではなく、結果に至るまでの「行動」のほうが重要とのこと。
「業績を挙げたことに自信を持っている人に『なぜ、その業績を挙げることができたのですか?』と聞くと、『頑張りました』『普通にやったらできました』で終わってしまう人が多いのです。そこで、業績を挙げるためにどんなことを考え、どう行動したか、どんな工夫をしたか、壁にぶつかったときどう乗り越えたか…などをくわしく聞いてみると、細かなエピソードが出てきて『その人らしさ』が浮き彫りになってきます。その人らしいものの考え方や行動こそが『強み』といえるもの。第三者は、その『考え方』『行動』を評価するのです」(キャリアアドバイザー・O氏)
「逆に、実績を出せていなくても、現状に向き合って問題点を分析したり、ものごとを見る角度を変えてみたり、行動を変えてみたりしているのであれば、そうした考えや行動ができることが『強み』だといえます」(キャリアアドバイザー・H氏)
強みへの誤解②自分では「弱み」だと思っていることが、実は「強み」であることも
「自分には強みがない」「自分はここが弱みだ」と思っていることが、実はそうではないケースも多いようです。
「わりと多く見られるのが、『自分は広く浅くいろいろな業務をしてきたので、コレという専門スキルや強みがない』という人。異動が多い会社や兼務が多い中小企業などで、いわゆる『ゼネラリスト』として働いてきた人たちに多いという印象です。しかし、さまざまな業務を広く浅く経験しているのは大きな強みといえます。スペシャリストは、課題に対して自分の専門分野の範囲内で考えますが、ゼネラリストはさまざまな視点で捉えることができる。社内のあちこちの部署や担当者とつながっていて、双方を結び付けることができる。これらは大きな強みです。そういう立場を積極的に活かしていくことで、強みをさらにレベルアップできるでしょう」(キャリアアドバイザー・H氏)
「ある企業の経営企画部門に所属していたAさんのケース。自社が別会社と統合したため、双方の経営方針を現場の社員に伝える役割を担っていました。Aさんはご自身を『上から下へ話を流すだけの、単なる伝達係』と捉え、自分に自信を持てていないようでした。しかし、そのお仕事のプロセスを詳しくお聞きすると、経営陣の目的も各部門の役割・業務内容もしっかり理解した上で、話す相手の理解度や立場に合わせて伝え方を変えている姿が見えました。そこで、『Aさんは目的や状況に応じて、臨機応変に伝え方を工夫できる力があるんですね』と投げかけると、『僕、そんなことができているんですね!』と初めて気づいたようでした」(キャリアアドバイザー・O氏)
また、キャリアアドバイザー・S氏は、ある大学生の事例を挙げ、「仕事に活かせる強み」をこう語っています。
「大学でスポーツ系のクラブに所属していたBさんは、4年間ずっと補欠。『下手だから試合に出られないけれど、チームの役に立ちたい』と、ひたすらボール磨きに徹していました。『油で磨くよりバナナの皮がいい』など独自にリサーチして試しつつ、顔が映るくらいピカピカの仕上がりを目指して磨き続けたといいます。
就職活動ではチームのエースやキャプテンとして活躍した人が高く評価されると思われがちですが、実はそれ以上にBさんはすごい…と私は思いました。同じ作業を、高い目標を掲げ、モチベーションを落とすことなく4年も続けられるというのは、大きな強みです。実は、世の中の仕事の多くはそういう側面を持っています。同じ品質を保ちながら商品・サービスを提供し続ける、少しずつ改善してより良い商品・サービスにブラッシュアップすると言った仕事では、Bさんの強みこそが必要とされます。
それに、Bさんがボールを磨くことで、選手がより良いコンディションでプレーすることができ、後輩がBさんの姿を見て地道に努力する姿勢を学ぶなど、チーム全体にもプラスの影響を与えています。このように、自分の行動によってチームや組織を活性化させるような影響力も、立派な『強み』といえるでしょう」
自分の強みが見つかるチェックポイントとスキル一覧
自分の「強み」を見つけるためには、先にお伝えしたとおり、課題や目標の設定から結果を出すまでのプロセスを見つめ直すことが大切です。さっそく、自分の強み見つける方法をご紹介します。
まず、以下のチェックポイントについて考えてみてください。
紙に書き出してみると、より客観的に見ることができ、整理がしやすくなります。異動や転職などを経て職務経歴が多岐にわたる場合、もっとも長く携わった仕事、一番頑張った仕事などから取りかかってみてください。あるいは、担当したプロジェクトごとに検証してもいいでしょう。
【チェックポイント】
- 目標に向けて、自分なりにどのような「戦略」を立てたのか
- 具体的にどのような行動を起こしたのか
- どのような人と(年齢層やキャラクター)と、どのようにコミュニケーションをとったのか
- うまくいかないとき、その原因をどう分析し、どう行動を変えたのか
- トラブルやアクシデントをどのように乗り越えたのか
上記の「チェックポイント」に沿って自分の考え方や行動を書き出したら、次に紹介する「ポータブルスキル」に当てはめてみましょう。
ポータブルスキルとは、「持ち運びができる」スキル。つまり、業種・職種が変わっても活かせるビジネススキルのことです。これまでの考え方や行動がそれぞれどの「ポータブルスキル」に該当するかを見ていくことで、「自分がどのスキルを頻繁に使っているか=強み」がわかるはずです。その強みを、今後の仕事で意識的に、戦略的に活用していくことで、さらにレベルアップできるでしょう。
【ポータブルスキル一覧】
<ヒューマンスキル>
- 主張力……意見や考えを言う力
- 傾聴力……真剣に話を聞き理解する力
- 否定力……意見や提言を否定できる力
- 受容力……人の要求を聞き入れる力
- 説得力……人を納得させる力
- 支援力……人や集団をサポートする力
- 統率力……集団を監督・指図する力
- 協調力……人や集団と力を合わせる力
<セルフコントロールスキル>
- 慎重力……注意深く行動する力
- 冒険力……危険を恐れず行動する力
- 自制力……自分の欲求を抑える力
- 高揚力……自分がやる気を出す力
- 忍耐力……苦しみや怒りに耐える力
- 柔軟力……変化に対応する力
- 規律力……秩序通り事を進める力
- 曖昧力……曖昧さを受け入れる力
<タスクマネジメントスキル>
- 持続力……一定状態を継続する力
- 瞬発力……集中的に力を発揮する力
- 推進力……物事を前に進める力
- 変革力……物事を新しく変える力
- 機動力……素早く状況に対応する力
- 確動力……確実に実行する力
- 創造力……考えを発想・発展させる力
- 分析力……物事の仕組みを解明する力
ビジネスシーンで活かせる自分の強みをより詳しく分析する方法もあります。
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18種類の強み(才能)の中から「あなたの隠れた強み」5つが明らかになり、強みの解説もあります。
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