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“店舗激減”ミニストップ。安売り戦略で迷走、個性の「店内調理」も今や武器になりえず…大手3社との差は開くばかり

 経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。さて、今回はミニストップ株式会社の現在地を紹介したいと思います。  ミニストップは旧ジャスコ(現イオン)の出資によって1980年に1号店をオープンしました。コンビニとファストフードを合体させた「コンボストア」として差別化を図り、ハロハロなどの名作を生み出しました。ピーク時には国内で2,000店舗、海外で3,000店舗以上を展開しましたが、国内トップ3との差は大きく、近年では業績を大幅に縮小しています。コンボストアは両者の良いとこ取りにはならず、中途半端になってしまいました。
ミニストップ

yu_photo – stock.adobe.com

「コンボストア」として差別化を図る

 ミニストップは1980年に横浜市で1号店を構えました。ジャスコのコンビニ事業参入で生まれた業態ですが、ファミマ・セブン・ローソンに次ぐ後発であり、セブン-イレブンは当時既に1,000店舗を達成していました。ミニストップは差別化を狙い、従来のようなコンビニ単体ではなく、コンビニとファストフードを融合させた「コンボストア」として出店を進めます。  当初から基本的に全店でイートイン席を設置し、店内調理のファストフードを強化しました。創業当初から販売しているソフトクリームのほか、1995年に発売した「ハロハロ」はミニストップの人気商品となっています。ちなみに、ハロハロはかき氷にミルクや果物、アイスクリームなどを混ぜたフィリピンのデザート。ミニストップでは日本風にアレンジして提供しています。デザートのほか、フライドポテトなどのホットスナックにも強みがあります。

順調に店舗数を拡大。2004年に国内1,500店舗を達成

 初出店から5年後には100店舗を達成し、93年には東証二部に株式を上場、94年には500店舗を達成しました。その後96年には東証1部に鞍替えし、98年に1,000店舗を達成しました。2000年の時点で約8,600店舗を運営するセブン-イレブンと比較すると差は歴然ですが、店内調理品で差別化しながら、全国展開を進めたのです。2004年には国内1,500店舗を達成しました。  また、同社は海外展開も進めました。1990年に韓国で海外1号店を構えると、2000年には現地企業とエリアフランチャイズを結びフィリピンへ進出、その後も中国やベトナムなどアジア各国に出店しました。海外でも国内と同様、店内調理を強化したコンボストアで展開しています。
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国内は不採算店を閉鎖、海外事業は大幅縮小
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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