仕事

パワハラ上司が「退職した部下の暴露」で降格に…それでも仕切り続けた上司を「女性社員が一喝」した結果…

 会社員にとって、人事はその後の人生を左右する一大事である。人事は一般的には昇格が前提だが、不祥事などにより降格人事がなされることも最近は珍しくない。
パワハラ上司

写真はイメージ(以下同)

部下からも慕われて異例の出世を果たすも…

 コンサルタントとして働く山本祐二さん(仮名・40歳)は上司が降格されるのを目の当たりにした1人だ。 「Mさんは私より2つ年上の42歳で部署ではエース級の存在でした。部下からも慕われ、営業成績も抜群。私もよく飲みに行って、これからのビジョンを語ったりしました。その成果が認められ、異例の早さで部長に抜擢されたのですが、そこからが彼にとっては茨の道となったのです」  Mさんは部長に就任すると、すぐに部の“改革”に手を付けた、売り上げ目標の再設定、部下のタスク管理といったことなどから、会議の進め方にいたるまで細部に及んだ。当初は新任上司が意気込みを見せるためと山本さんたち部下は思っていたのだが……。 「『売り上げを2倍にする』と大風呂敷を広げたのですが、今の人員でそれを達成するなら2倍どころか3倍近い仕事量をこなすことになります。加えて、タスク管理という名目で私たちの行動を逐一チェック。カレンダーの予定表にないことをしていると呼び出して説明をさせることもありました。毎週行われている会議では、これまでは進捗の報告程度だったのが、それぞれの課題を毎週報告して、みんなでその課題解決に向けて意見を出すことを命じたんです。『今週は、特に課題はありません』は通用せず、必ず発表することが求められました」  会議で何かしらを必ず発表しなければならなくなったことで、悪いことばかり議題に上がるようになっていったという。 「その結果、話すことがないので仕事で起こした些細なミス、例えばメールを送り忘れていたとか、そういうことを報告する人が出てきたんです。すると、Mさんはそうしたミスを会議であげつらい、私たち部下にもその人の悪い点を指摘するように求めてきました。もはや会議ではなく、総括と糾弾する場でしたね」

売り上げ倍増計画のためにで部下に残業とパワハラ

 Mさんが就任して間もなくすると部内の雰囲気は最悪に。それまでは仕事終わりに連れだって飲みに行ったりしていたが、誰もが疑心暗鬼になり、リモートワークを申請して会社にも寄りつかなくなってしまった。 「売り上げを2倍にすると言ったため、Mさんは大量に仕事を取ってきました。それを社員に割り振って対応させたため、ただでさえ業務量が多かった社員はパンク寸前に。業務時間外でもお構いなしにメールや電話で指示を出してきました。例えば、21時に『F社に企画提案することが決まったので、明日の13時までに企画書と見積もりを作ってください』というメールが来たこともありましたね。翌日の朝にそのメールに気づき、さすがに腹が立って『こんなスケジュールで提出は無理ですし、夜中に言われても困ります』と伝えると、『じゃあ、今からやって』と一言。こりゃダメだなって思いました」  中堅社員である山本さんに対してもパワハラといえる行動をとっていたが、若手社員に対しては、それ以上に厳しいことをさせていたようだ。 「私のような中堅社員にはそこまで強く言えないので、若手にそのしわ寄せがいったんです。『できないから、できるに生まれ変わらなきゃ、この先やってけないよ!』みたいなこと言って、夜中までZOOMで打ち合わせやりながら企画書作らせてましたからね。さすがにアカンやろって思って、『もう少し穏やかに対応したほうがいいですよ』って伝えたら、今変わらなきゃダメなんだよ!って逆に怒られました(苦笑)」  これまでは「みんなのよき理解者」として後輩にアドバイスをするような存在だったMさんだが、気がつけばただの“パワハラ上司”に成り下がってしまったのである。
次のページ
部下の暴露で降格人事となったのだが…
1
2
3
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

記事一覧へ
おすすめ記事
【関連キーワードから記事を探す】