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kigyoubunseki2024’s diary

2024年から新Nisaを始めました。Nisaでお金を投資する上で企業をまず知るべきかと思い、日経225周りを調べてみることにしました。

#353 DIC株式会社(大日本インキ)2024年12月期第3四半期決算分析:環境対応とグローバル化への挑戦

1.企業の概要

 


DIC株式会社(旧・大日本インキ化学工業)は、印刷インキ、顔料、合成樹脂などを中心とした製品を展開する総合化学メーカーです。1908年に創業され、100年以上にわたり業界を牽引してきました。印刷インキ分野では世界トップクラスのシェアを誇り、「パッケージング&グラフィック」「カラー&ディスプレイ」「ファンクショナルプロダクツ」を中心とした幅広い事業ポートフォリオを展開しています。

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2.最新決算情報

 


DICの2024年12月期第3四半期(累計)決算では以下の結果が報告されました。

• 売上高:8,076億6,600万円(前年同期比3.33%増)

• 営業利益:非公開(原材料コストの上昇により減益の可能性)

• 親会社株主に帰属する当期純利益:106億3,100万円(黒字転換)

 


増収の背景には、主力製品である印刷インキや顔料の需要拡大がありました。一方、利益面では原材料価格の高騰や物流コストの上昇が影響しています。

 


3.増収、減益の要因解析

 


増収の要因

• 主力事業である印刷インキや顔料製品の需要増加。

• 海外市場での販売強化による売上拡大。

 


減益の要因

• 原材料価格の高騰(石油製品や化学材料)。

• 物流コストの増加。

• 為替変動の影響。

 


これらのコスト増加要因が営業利益率を圧迫したものと考えられます。

 


4.株価の動向

 


2025年1月24日時点でのDIC株式会社の株価は3,370円で、前日比11円(0.33%)の下落となりました。

• 年初来高値:3,689円(2024年12月19日)

• 年初来安値:2,378円(2024年8月5日)

 


株価は2024年後半にかけて堅調に上昇したものの、原材料価格の高騰や地政学的リスクへの懸念から一部調整が見られます。

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5.業績ハイライトと成長戦略

 


DICは現在、長期経営計画「DIC Vision 2030」を掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。その中核となる戦略は以下の通りです。

• 環境対応型製品の開発:バイオマス素材やリサイクル可能な製品の研究開発を強化。

新興国市場の開拓:アジアや南米市場での拡大を加速。

電子材料分野への注力:デジタル化の進展に伴う需要増を取り込む。

 


6.市場でのポジションと課題

 


市場での強み

• 印刷インキ業界での圧倒的なシェア。

• 顔料や樹脂分野での技術的優位性。

 


直面する課題

• 原材料価格やエネルギーコストの上昇。

• 環境規制の強化に伴う新規開発の必要性。

• 為替リスクや地政学的リスク。

 


DICはこれらの課題に対応すべく、コスト管理を強化し、環境対応型製品の開発に注力しています。

 


7.今後の展望

 


今後のDICの成長は、以下のポイントに注目が集まります。

• 環境対応型製品の需要拡大:持続可能性を重視した製品への市場ニーズに対応。

新興国市場での成長:急成長する市場でのシェア拡大。

• デジタル化対応:電子材料分野での新製品開発と市場拡大。

 


加えて、DICは事業ポートフォリオ多角化を進めることで、安定した収益基盤の構築を目指しています。

 


8.まとめ

 


DIC株式会社は、印刷インキ業界でのリーダーシップを活かしながら、環境対応やグローバル市場での成長を追求しています。課題として、原材料価格や環境規制への対応が挙げられるものの、「DIC Vision 2030」の下、持続可能な社会の実現に向けた積極的な取り組みを進めています。

 


今後も、環境対応型製品の拡充や新興国市場での展開を通じて、さらなる成長が期待される企業です。株価動向や成長戦略を注視しながら、中長期的な視点での評価が必要でしょう。