Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

Elephant in the rumor

エリート過剰生産 社会格差 国家財政 少子高齢化 COVID-19 こういったキーワー…

Elephant in the rumor

エリート過剰生産 社会格差 国家財政 少子高齢化 COVID-19 こういったキーワードで物事を考えていきます。 明快で生産性のある話題を書いていきたいです。

最近の記事

  • 固定された記事

最近の若い子は車は乗らない、お酒も飲まない、タバコもギャンブルもしないんでしょ、いったい何にお金使ってるの?「健康保険と厚生年金と税金とつみたてNISAです。これ支払うには趣味を3つ諦めないといけないんです」

給与が20万円の場合、社会保障費(=健康保険+厚生年金+雇用保険)は、大体3万円になる。 車の維持費は、大体2-3万円くらいだ。 1日一箱セブンスターを吸ったとして、600 × 30 =1万8000円 毎日アサヒスーパードライを2本飲むとしても、大体同じくらいの値段になる。 バーや居酒屋でそこそこにお酒を飲めば5000円はするだろうから、毎週飲み会をしていたら、値段は2万円くらいになる。 こう考えると、昭和の趣味というのは1つあたりざっくり月25000円、と考えるこ

    • 薬剤性の症状と曖昧な診療が組み合わさる。フリーアクセスと定額使い放題の高齢者医療制度のために複数の医療機関の円環にはまり込む。医療資源が消費される。

      僕は内科医で、ときどき内科外来をやっている。循環器内科とか消化器内科とかじゃない、ただの内科だ。 内科を掲げて、看護師が話を聞いても何かに振ってよいか悩むような患者さんをすすんで診療していると、だんだんとそういう患者さんを初診で診る機会が増えてくる。 たいていは後期高齢者だ。 認知症とは断言できないけど話は散漫としている。 たくさんの病院/クリニックにかかって様々な薬を内服している。 自分がどんな薬を何のために飲んでいるかはわかっていないことが多い。 お薬手帳も持参し

      • 少子高齢化の進んだ地方に住む祖母は医学部を受験するとき「こんな未来のない場所に来てはいけない」と言った。

        https://www.yomiuri.co.jp/medical/20241011-OYT1T50002/ 多分、地方にルーツのある医師が就職先を考えるときに、その地方で修飾することを検討していると話をすることは普通にあると思う。 でも、実際には働くことは少ない。だからこそ都市部の病院から医師を一定数地方に送り出すような政策が必要になる。 僕の祖母は、少子高齢化が進んだ地方で農業を営んでいた。 たまに実家に帰ると、山菜の取り方や枝豆の処理の仕方を実地で教えてくれたりし

        • 医療の価値に関する省察

          医療がもたらす価値というのはざっくりと3つに分類できるんじゃないかと思う。 1.苦痛を減らす これはわかりやすい。骨折して足が痛い場合、痛みをとにかくなんとかしてほしいだろう。頭痛もそうだ。眠れないことや、あれこれ気になってしまうこともそうしたもののうちの一つだろう。 疼痛に対する鎮痛薬、不眠に対する睡眠薬、抑うつに対する抗うつ薬などが良い例だろう。他にもめまい、息苦しさ、吐き気など辛い症状はいろいろあるけど、適切に診断すればとても安価に、かつ安全に治療できることも多い。

        • 固定された記事

        最近の若い子は車は乗らない、お酒も飲まない、タバコもギャンブルもしないんでしょ、いったい何にお金使ってるの?「健康保険と厚生年金と税金とつみたてNISAです。これ支払うには趣味を3つ諦めないといけないんです」

        • 薬剤性の症状と曖昧な診療が組み合わさる。フリーアクセスと定額使い放題の高齢者医療制度のために複数の医療機関の円環にはまり込む。医療資源が消費される。

        • 少子高齢化の進んだ地方に住む祖母は医学部を受験するとき「こんな未来のない場所に来てはいけない」と言った。

        • 医療の価値に関する省察

          病院経営の短期的な解決策とその帰結

          病院経営を改善しようとする努力が長期的にもたらす帰結について書く。 DPC対応病院、つまり値段が原則として病名によって決まり、検査や治療に応じて支払われるわけではない病院を前提とする。 これはクリニック経営についての話ではない。 病院経営の難しさ 1.売り物の値段(診療報酬)は変えられない。 2.急性期病院など、特定の役割を果たすには雇用する人間の数を一定水準にしなければならない、つまり、人件費がかかり、減額は容易ではない。 なお、人件費の割合は一般病院では約50%である

          病院経営の短期的な解決策とその帰結

          急性期病院の方法論が高齢者医療を肥大化させる

           急性期病院というのは、原則として急性疾患を治療する場として存在する。骨折、心筋梗塞、脳梗塞、肺炎を治療する。脳梗塞や心筋梗塞ではエビデンスのある再発予防の治療を行う。今後の治療継続はかかりつけ医に依頼する。  悪性腫瘍の場合は抗がん剤治療の継続が必要だったりすることもある。だけど悪性腫瘍の場合は、どれくらい長生きしそうか、どんな経過をたどるかがある程度予測できるから、それに合わせて専門家が適切に対応できる。  老化と認知症に上記の方法論で対応すると、医療負担が増える。

          急性期病院の方法論が高齢者医療を肥大化させる

          医療費自己負担額に関する短い歴史と、なぜ医療費が高額になったかの一つの仮説

          まず、医療費自己負担額の対GDP比と、高齢者自己負担額の変化を年表にまとめる。 最後になぜこのような医療の濫用が起きたのかについて考察する。 上の図表を要約すると、戦後に健康保険制度が発足した。高齢者医療費は当初自己負担5割だったが、1973年から無償となった。1983年に無償化が廃止され、ゆっくりと自己負担割合が増えた。 国民医療費の対GDPは、高齢者医療費を無償化してから増加し始めた。 GDP伸び率は時代とともにどんどん低下している傾向にある。 高齢者の自己負担率が緩

          医療費自己負担額に関する短い歴史と、なぜ医療費が高額になったかの一つの仮説

          ABEMA TV 世代間格差特集の感想 印象論と説教で再反論を潰す高度な技術を見た。

          高齢者優遇は本当?負担増で手取りにも影響が...現役世代が望む社会保障とは? ↑エラー出てますが、リンクは有効です。 基本的に次世代運動:北村達哉氏の議論のうち 増額していく社会保障費を誰が負担するか?という面について議論になっていた。 医療費自体に無駄が多いこと、医療システムが腐敗している、という点については無視されていた。 茂木健一郎氏の反論はすごくて 議論が荒い 厚生労働省の官僚はよく考えているはずだ 世代間対立を煽るな 高齢者にも豊かな人も貧しい人もいる 若

          ABEMA TV 世代間格差特集の感想 印象論と説教で再反論を潰す高度な技術を見た。

          新型コロナウイルスで亡くなったのは高齢者が主だが、Long COVID(新型コロナウイルス感染症後遺症)を考えると流行の持続は何をもたらすのか

          新型コロナウイルス感染症で死亡したのは高齢者が主だから社会にとっては感染対策は不要だった、と主張する人たちがいる。 実際、死亡者数、死亡確率の変化を見てみると、高齢者にかなり寄っているのは事実だ。 しかし新型コロナウイルス感染症は若い人にもLong COVID(新型コロナウイルス感染症後遺症)を引き起こす。 また、自覚症状がないままに認知機能を低下させる。 米国CDCのアンケート調査では、2024年時点で、人口の6%が現在罹患している。過去に罹患したことのある人は、20代

          新型コロナウイルスで亡くなったのは高齢者が主だが、Long COVID(新型コロナウイルス感染症後遺症)を考えると流行の持続は何をもたらすのか

          暇空茜は「富のポンプ」を止める

           何度か本noteで触れてきたように、富のポンプとは、エリートが経済成長や歳入の一部を自らの懐にいれるための仕組みだ。  富のポンプを動かせば動かすほど、エリートが過剰に生産され、大衆は困窮化する。その結果国家が不安定になり、最終的には内戦や国家の崩壊を引き起こし得る。  現代の日本で、富のポンプは露骨に作用していないように思えるが、実際一部の開業医やNPOはこの富のポンプを作動させているように思える。 さて、ひまそらあかねとは何者だろうか、一言でまとめると法律とインター

          暇空茜は「富のポンプ」を止める

          どうして医療はフリーライダーを止められないのか

          まず、前提として、なぜ保険制度にフリーライドするのが危険か、という話をする。 健康保険を維持するために保険組合、市町村、都道府県、国が医療費を拠出している。これは、多くの人が保険料を支払うことが、いざというときの備えとして妥当だ、と考えているからだ。 しかしフリーライダーがひとたび増えてしまえば、彼らによって医療費がどんどん上がるし、フリーライダーの周囲はその振る舞いをみて、自分もこの制度から引き出せるだけ資源を引き出そうと考えるだろう。フリーライダーに医療を提供するために医

          どうして医療はフリーライダーを止められないのか

          患者が減ったら病院が赤字だから高齢者医療を維持しないといけない

          最近こんな記事があった。 急性期病院が急速に赤字になっていて、病床利用率を高めなければならない、という発表だ。 まず、なぜ急性期病院が赤字になるかだけど、端的に言うと病院と診療所で、医療費引き上げが連動する仕組みが、1961年に、日本医師会が運動して、「四原則合意」を取り付け、開業医に有利な診療報酬の仕組みを作り出したことだ。 具体的には  この、1961年の政治的合意が今も引き続いていることが最大の要因だ。 もちろん急性期病院で加算がついて1.3倍とかになったりはす

          患者が減ったら病院が赤字だから高齢者医療を維持しないといけない

          社会保障費負担の重さを変える方法

          国が意見を募集し始めた。 締め切りは10月7日まで。 僕の意見は医療費自己負担割合を一律3割にすることで、その根拠は このNoteとここに引用されている文献だ。 自己負担割合が増えても、健康に対する大きな悪影響はないと考えられるからだ。

          社会保障費負担の重さを変える方法

          高齢者は医療費が安いことによって得をしているのか?

          僕は決してそんなことはないと思う。 むしろ、医療費が安いせいでいろいろな決断をしないで済んでしまう。色々な問題を病院に任せてしまうのだ。 まずは典型的な高齢者救急医療を考えてみよう。 自分が認知症の高齢者になって施設に入所している気持ちになって読んでほしい。 あなたは10m程度であればなんとか歩ける、トイレには行ける。服は簡単な助けがあれば着れる。体を洗うには手助けが必要だ。 あなたは自分の名前と生年月日は言える。88歳である。自分が施設にいることも把握している。しか

          高齢者は医療費が安いことによって得をしているのか?

          どのようにフリーライダーは生まれ、その振る舞いを維持するのか

          ネットワーク理論では、ある特性を持つ友人がいると、その性質を持つ可能性が高まる。 実証されている例として肥満があって、あなたに肥満の友人が一人いると、肥満になる確率が4%上がる。肥満ではない友人が1人いると、肥満になる確率が2%下がる。このような性質を持つことから、肥満はゆっくりと広がる感染症のような性質を持ち、米国の肥満流行はこれで説明ができる。 価値観も同様だ。中世におけるイスラム教の流行には、感染症と同じモデルが使用できて、そのモデルは驚くほど宗教の広まりを予測する。

          どのようにフリーライダーは生まれ、その振る舞いを維持するのか

          時間があって自己負担が少ない人ほど外来で医療費を減らすのが難しい理由

          欲しい薬がある患者が外来に来ることがある。 不思議なことだが、自己負担三割かつ働いている人で、そのような人を見たことは殆どない。 稀に自分の病気について非常に勉強していて、提案してくる患者さんはいる。そうした提案は基本的には喜ばしいものだし、検討の余地もある。医学的な妥当性を話せば納得してくれることが多い。効果がわからなくても、勉強するんで次の外来でどうするか考えましょう、と話すことができる。 一方で、要領の得ない長話を延々話した末に、特定の薬がほしいという患者もいる。デ

          時間があって自己負担が少ない人ほど外来で医療費を減らすのが難しい理由