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藤井聡太の賞金1億7556万円だが…棋士トップ10の総額4億円は“30年前より減っている問題”「プロ野球などは観客数万人、大盤解説会は多くて…」

posted2025/02/23 06:01

 
藤井聡太の賞金1億7556万円だが…棋士トップ10の総額4億円は“30年前より減っている問題”「プロ野球などは観客数万人、大盤解説会は多くて…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

藤井聡太七冠の賞金が華やかに伝えられる一方で、将棋界全体の公式戦年間賞金という面では頭打ちの現実がある

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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Nanae Suzuki

 日本将棋連盟は2月3日、棋士が2024年に獲得した賞金・対局料ランキングのベスト10を発表した。1位は3年連続で藤井聡太竜王・名人(22=七冠)で1億7556万円。昨年6月に叡王のタイトルを失ったので、23年より約1000万円の減額となった。藤井の獲得賞金・対局料の推移、約30年前に比べて金額が頭打ちになっている事情、プロスポーツ選手との比較などについて田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書はいずれも当時】

羽生の歴代最高額…じつは七冠独占の96年ではない

 私こと田丸が将棋連盟の出版担当理事だった1990年、機関誌『将棋世界』で棋士の獲得賞金・対局料ランキングのベスト10を初めて発表した。それ以前は、棋士の収入の問題はタブー視されていた。しかし、87年に創設された竜王戦が賞金・対局料を明示したことや、ニューヒーローが続々と現れた状況を踏まえて、発表に踏み切ることにした。

 初めて発表した89年ランキングでは、1位は谷川浩司王位で6069万円。2位は中原誠名人で4773万円、3位は島朗竜王で4372万円と、タイトル保持者が上位を占めた。

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 初代竜王に就いた島は2600万円の賞金を獲得した。89年12月には羽生善治六段(当時19)が島竜王に挑戦して破ったが、賞金の支払は90年なので、89年ランキングでは7位の1869万円だった。

 囲碁界では小林光一棋聖の獲得賞金・対局料が1億円に達し、社会的にも話題に上った。将棋界の1位はそれに及ばなかったが、全体的に発表しがいのある水準になっていた。

 将棋連盟が89年ランキングを発表すると、反響は内外にわたり、一般誌の記事にも取り上げられた。

 90年代に入ると、羽生がタイトルを次々と獲得していった。93年ランキングでは1億円を初めて超えた。95年ランキングでは六冠を保持し、最高額(当時)の1億6597万円に達した。

 96年ランキングでは2月に全冠制覇の「七冠」を達成したが、7月に棋聖を失冠したので、前年より微減の1億6145万円だった。

ベスト10の総額約4億円…約30年前より減少のワケ

 2024年ランキングでは、1位の藤井竜王・名人に次いで、2位は伊藤匠叡王で4364万円、3位は永瀬拓矢九段で3026万円、4位は佐々木勇気八段で2900万円、5位は渡辺明九段で2594万円。タイトル獲得者や挑戦者が上位に並んだ。6位以下には豊島将之九段や菅井竜也八段らが名を連ね、10位は羽生九段で1622万円だった。

【次ページ】 八冠独占しても獲得額2億円に満たない現実

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